• TSRデータインサイト

2025年9月中間期 預貸率は65.7%に上昇 貸出金を大きく伸ばすが、預貸ギャップは拡大

~ 2025年9月中間期 国内104銀行「預貸率」調査 ~


 国内104銀行の2025年9月中間決算期の預貸率は、65.70%(前年同期64.86%)と9月中間期としては4年連続で前年同期を上回り、貸出が堅調に伸びていることがわかった。
 預金合計(預金+譲渡性預金)は1,046兆959億円(前年同期比2.7%増)と伸ばしたが、貸出金合計は687兆3,329億円(同4.1%増)と伸び率が1.4ポイント上回った。
 コロナ禍が落ち着き、円安を背景に大手を中心に業績が好調で、運転資金や設備投資による資金需要が活発になり、銀行貸出が伸びたことが背景にある。

 預金と貸出金の差を示す預貸ギャップは358兆7,630億円(前年同期比0.3%増)で、2年ぶりに拡大した。預貸ギャップは、地方銀行(同6.8%減)、第二地銀(同5.9%減)が大幅に縮小する一方で、大手行(同2.8%増)は堅調に伸ばした。
 業態別の預貸率は、大手行56.85%(前年同期56.55%)、地方銀行78.80%(同76.86%)、第二地銀79.84%(同78.22%)と、すべての業態で上昇した。ただ、大手行は貸出金(前年同期比4.0%増)、預金(同3.5%増)のいずれも大きく伸ばし、預貸率の上昇は僅少にとどまった。
 大手企業や地場大手企業の多くを顧客に抱える大手行、地方銀行は貸出の伸びが目立つ。2024年3月、日本銀行がマイナス金利を解除し、金利ある世界に突入したことで預金獲得競争が激化している。だが、多くの中小企業は、物価高や人件費上昇で収益確保に苦慮している。企業実態に即してリスクを取りながら貸出に取り組めるか、銀行の存在意義が問われている。

※預貸率は、銀行預金の運用状況を示す経営指標の一つで、預金残高に対する貸出残高の比率。
※預貸率(%)は、「貸出金÷預金×100」で算出。「貸出金」は貸借対照表の資産の部から、「預金」と「譲渡性預金」は貸借対照表の負債の部から抽出した。
※本調査は、国内104銀行の2025年9月中間期の単独決算の預貸率を調査した。銀行業態は、1.埼玉りそなを含む大手行7行、2.地方銀行は全国地銀協加盟行、3.第二地銀は第二地銀協加盟行。


預貸率65.70% 4年連続で上昇

 国内104銀行の2025年9月中間期の預貸率は65.70%(前年同期64.86%)で、9月中間期としては2022年から4年連続で上昇した。
 2025年9月中間期は、貸出金が687兆3,329億円(前年同期比4.1%増)、預金が1,046兆959億円(同2.7%増)で、ともに2008年以降で最大となった。預貸ギャップは、358兆7,630億円(同0.3%増)で2年ぶりに拡大した。
 預貸ギャップは、大手行が270兆8,751億円(同2.8%増)に拡大したが、地方銀行73兆1,393億円(同6.8%減)、第二地銀14兆7,485億円(同5.9%減)は縮小した。
 預貸率の上昇は、73行(構成比70.1%)で、前年(65行)より8行増加した。

預貸率推移

業態別 全業態で預貸率が上昇

 業態別の預貸率は、全業態で上昇した。
 大手行は7行のうち、4行で預貸率が上昇した。だが、預貸率は56.85%(前年同期56.55%)で0.3ポイントの微増だった。貸出金は356兆9,152億円(前年同期比4.0%増)と大きく伸ばしたが、預金も627兆7,904億円(同3.5%増)に増加したことが要因。
 地方銀行は61行のうち、47行(構成比77.0%)で預貸率が上昇、預貸率は78.80%と前年同期(76.86%)から1.94ポイント上昇。
 第二地銀は36行のうち、22行で預貸率が上昇、預貸率は79.84%(前年同期78.22%)だった。
 預貸率を最も伸ばしたのは、栃木銀行の76.60%で、前年同期から11.04ポイントアップした。次いで、北國銀行の62.41%(前年同期比9.78ポイントアップ)、東邦銀行の67.90%(同6.55ポイントアップ)と続く。
 最も低下したのは、熊本銀行の128.58%(同13.14ポイントダウン)だった。預金は1兆7,017億円(同1.2%増)に伸びたが、貸出金が2兆1,881億円(同8.0%減)と大きく減少した。

左:業態別 預貸率推移 右:業態別 預金推移

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「建設コンサルタント」 の業績拡大 ~ 災害対策や老朽化修繕など、安全対策が寄与 ~

2025年1月に埼玉県八潮市で発生した下水道管の破損による大規模な道路陥没事故から1年が経過した。事故を機に普段何気なく利用するインフラの老朽化を身近に感じた人も多いだろう。工事を直接担うのは建設会社だがその裏で設計監理する土木工事の「建設コンサルタント」の業績が好調だ

2

  • TSRデータインサイト

病院経営の法人、採算悪化で赤字法人が5割に迫る 収入は微増、利益はコロナ禍から1兆円以上の大幅減

全国で「病院」を経営する6,266法人の直近決算は、約半数にのぼる3,021法人(構成比48.2%)が赤字だったことがわかった。赤字法人率はコロナ禍以降、3年連続で上昇した。

3

  • TSRデータインサイト

2月の「人手不足」倒産 「求人難」が3.3倍に急増 従業員の採用と賃上げで中小企業は苦悩強まる

2026年2月の「人手不足」倒産は47件(前年同月比147.3%増)で、2025年9月の48件以来、5カ月ぶりに40件台に乗せた。2026年1-2月累計は83件(前年同期比45.6%増)で、同期間では調査を開始した2013年以降、最多だった前年の57件を大きく上回り、増勢を強めている。

4

  • TSRデータインサイト

2月の「ゼロゼロ融資」利用後倒産は27件 返済開始の最後のピークを控え、今後増勢の懸念も

2026年2月の「ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)」を利用した企業の倒産は、27件(前年同月比18.1%減)で、2カ月連続で前年同月を下回った。

5

  • TSRデータインサイト

2月の「税金滞納」倒産は10件、3カ月ぶりに減少 10件すべて破産、税金滞納が経営再建の障害に

2026年2月の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、10件(前年同月比33.3%減)だった。3カ月ぶりに前年同月を下回り、2月としては2年連続で減少した。

TOPへ