• TSRデータインサイト

2025年「介護事業者」の休廃業・解散653件 苦境の「訪問介護」が押し上げ、過去最多を更新

~ 2025年「介護事業」休廃業・解散動向調査 ~


 2025年の「介護事業者」は、倒産以外で事業を停止した「休廃業・解散」が653件(前年比6.6%増)に達し、 4年連続で最多を更新した。倒産も過去最多の176件発生しており、物価高、人手不足の深刻さが増す介護事業者の苦境が鮮明になってきた。
 「休廃業・解散」の653件のうち、訪問介護が465件(同3.7%増)と突出し、通所・短期入所が95件(同35.7%増)、有料老人ホームが23件(同8.0%減)と続く。

「老人福祉・介護事業」休廃業・解散件数 年次推移
 

 介護事業者(老人福祉・介護事業者)は、コロナ禍前からヘルパーなどの人手不足が慢性化している。さらに、高齢化が加速するなかで、賃上げが進む他産業に比べて介護職員への処遇改善が遅れ、人手不足に輪をかけている。このため、2024年10月の介護職員数は212万6,227人(対前年比+487人)と微増にとどまり、人材確保が喫緊の課題になっている。
 また、大手の参入による競合や、物価高に伴う運営コストの上昇などで、先行きが見通せない介護事業者の諦めが「休廃業・解散」の増勢に反映しているようだ。赤字累積や過剰債務の拡大で倒産する前に、早めの休廃業・解散の選択が増えている。
 倒産も過去最多を更新し、「休廃業・解散」と倒産が紙一重の状況が続いている。政府は介護職員の賃上げ対策や介護報酬の臨時改定など、介護事業者への支援を進めるが、すでに体力が低下している事業者への効果は未知数だ。
※ 本調査は、「老人福祉・介護事業」を対象に、訪問介護事業、通所・短期入所介護事業、有料老人ホーム、その他に分類した。倒産は、介護保険制度が始まった2000年以降、負債1,000万円以上を対象にした。「休廃業・解散」は、統計を開始した2010年(内訳は2013年)以降を対象にした。

2025(令和7)年 老人福祉・介護事業 都道府県別 「倒産・休廃業」状況

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「退職代行」からの連絡、企業の3割取り合わず 有給や退職日の交渉などの通知を3割が経験

ことし2月、大手退職代行サービスの代表らが弁護士法違反の疑いで逮捕された。4月に入り、退職代行の話題も出始めたが、弁護士や労働組合以外の「退職代行」業者から連絡があっても、3割(30.4%)の企業が非弁行為が含まれる可能性があり、取り合わないことがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

「マッサージ業」の倒産が過去30年で最多の108件 大手チェーン、リラクゼーション店と競合激化

店舗乱立による過当競争や光熱費、人件費の上昇で「マッサージ業(療術業)」の倒産が増勢をたどっている。 2025年度に倒産した「マッサージ業」は、1996年度以降の30年間で最多だった2019年度の98件を抜き、過去最多の108件(前年度比14.8%増)に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の「医療機関」倒産 20年で最多の71件 クリニック・歯科医院の淘汰が加速、「破産」が97%超

2025年度に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院を合計した「医療機関」は、71件(前年度比20.3%増)だった。2006年度以降の20年間では、2024年度の59件を大幅に上回り、最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

「士業」の倒産、2年連続最多

「士業」の倒産が目立ってきた。給付金の不正受給の指南や、顧客から預かった資金の流用など、近年はコンプライアンス違反が原因で倒産するケースも目立つ。

5

  • TSRデータインサイト

食品メーカー 売上高は値上げで24兆円に 利益は物価高に値上げが追い付かず二極化

肉・魚加工や菓子類などの「食品メーカー」4,994社の2025年の業績は、売上高24兆2,824億円(前年比3.4%増)、利益は8,806億円(同9.5%減)だった。コロナ禍以降の5年間で売上高は最高を記録した。ただ、利益はコスト上昇で減益の構図が鮮明となった。

TOPへ