• TSRデータインサイト

8月の「税金滞納」倒産は14件、2カ月連続で増勢 1-8月累計110件、過去10年間で2番目の高水準

2025年1-8月の「税金滞納」倒産状況


 2025年8月の「税金(社会保険料を含む)滞納」倒産は14件(前年同月比16.6%増)で2カ月連続で前年同月を上回った。1-8月累計は110件(前年同期比10.5%減)で、2016年以降の10年では2番目の高水準で推移している。
 8月の負債総額は32億2,800万円(前年同月比23.8%増)だった。1-8月累計は368億4,500万円(同32.7%減)と、4年ぶりに前年同期を下回った。これは、負債10億円以上が8件(前年同期3件)と大幅に増えたが、5億円以上10億円未満が7件(同18件)、1億円以上5億円未満が37件(同56件)と大幅に減少し、負債を押し下げたことによる。

 コストアップが企業収益を圧迫し、事業継続のために運転資金を優先し、社会保険や税金など公租公課を納付する資金余裕のない企業も出ている。このため、税金滞納が一因の倒産は高水準をたどる可能性が高い。

 2025年1-8月の「税金(社会保険料を含む)滞納」による倒産は110件で、このうち破産が104件(前年同期比9.5%減)と全体の94.5%を占めている。物価高や賃上げ、金利上昇で企業の資金負担は増しており、税金を滞納した企業が経営再建を図ることが難しい実態を映している。

※本集計は、2025年1-8月の全国企業倒産(負債1,000万円以上)の「コンプライアンス違反」倒産のうち、「税金滞納」関連を集計・分析した。

「税金滞納」倒産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ