• TSRデータインサイト

2月の「円安」関連倒産は10件、7カ月ぶり10件台 幅広い業種に拡大、各地の中堅企業も淘汰される

2025年2月 「円安」関連倒産(2月28日現在)


 2025年2月の「円安」関連倒産は10件(前年同月比100.0%増)で、2022年7月から32カ月連続で発生した。件数が10件台に乗るのは、2024年7月(16件)以来、7カ月ぶり。
 負債総額は、136億200万円(前年同月比977.8%増)で10.7倍増に急増した。これは、負債10億円以上の倒産が5件(前年同月ゼロ)発生したため。負債総額の100億円超は、2023年5月の1,796億7,500万円以来、21カ月ぶり。
 2月28日の為替相場は一時、1ドル=148円63銭と2024年10月16日以来の円高水準に進み、その後も1ドル=150円を挟んで推移している。

 2月の「円安」関連倒産は、卸売業4件(前年同月2件)、製造業3件(同3件)、サービス業他2件、小売業1件で、幅広い産業で発生した。
 円安で製品や燃料関連の仕入価格が高止まりし、企業収益や資金繰りに影響を及ぼしている。一時に比べ円が下落するが、2023年の水準にとどまり価格引き下げを期待できる水準にはない。このため、為替相場の変動はあっても、当面は「円安」関連倒産は続くと見込まれる。


円安関連倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ