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「新型コロナウイルス」関連破たん【12月10日16:00 現在】

 12月10日は16時時点で、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が6件(倒産5件、弁護士一任・準備中1件)判明し、2月からの累計は全国で781件(倒産719件、弁護士一任・準備中62件)となった。

 月別では、103件発生した6月以来、7月は80件、8月は67件と前月を下回ってきたが9月は100件で3カ月ぶりに前月を上回り、以降11月まで3カ月連続で100件を上回った。

 12月は10日までに34件が判明、依然として月間100件台のペースで推移している。

 なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満の小規模倒産は累計37件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計818件に到達した。

 飲食業支援を目的とした「GoToイート」キャンペーンはポイント付与事業が予算額に達成し、終了した。また、感染再拡大を受けて各地で利用自粛要請などが広がりつつある。年末の書き入れ時を前に経営体力の乏しい飲食業者など、消費関連の小・零細企業への影響が懸念される。

 感染拡大防止との難しい舵取りが続くなかで、コロナ関連破たんは引き続き予断を許さない状況が続いている。

【都道府県別】(負債1,000万円以上)~ 東京都が全体の2割以上 ~

 都道府県別では、東京都が186件(倒産170件、準備中16件)で、全体の2割以上(構成比23.8%)を占め、突出している。以下、大阪府が77件(倒産73件、準備中4件)、兵庫県(倒産34件、準備中4件)と神奈川県(倒産32件、準備中6件)がそれぞれ38件、北海道34件(倒産34件)、愛知県33件(倒産32件、準備中1件)と続く。
 10日は神奈川県で3件、東京都で2件、兵庫県で1件判明した。都道府県別では10~20件未満が12府県、20~30件未満が3県、30件以上は6都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食業が135件、アパレル関連77件、宿泊業60件 ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が135件と最多。来店自粛や特定業種への時短営業要請などの影響で、今後の推移に注目が集まる。次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が77件。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業は60件に達した。
 以下、工事計画の見直しなど影響を受けた建設業が53件にのぼるほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が38件、食品製造業も28件と多く、飲食業界の不振が影響している。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した754件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で286件(構成比37.9%)。次に、1千万円以上5千万円未満237件(同31.4%)、5千万円以上1億円未満121件(同16.0%)、5億円以上10億円未満と10億円以上がそれぞれ55件(同7.2%)の順。
 負債1億円未満が358件(同47.4%)を占める。一方、100億円以上の大型倒産も4件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した719件の形態別では、破産が638件(構成比88.7%)で最多。次いで、取引停止処分40件(同5.5%)、民事再生法が38件(同5.2%)、特別清算3件(同0.4%)と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の民事再生法は1割未満にとどまる。また、9月以降に発生した民事再生8件のうち、5件は個人企業の小規模個人再生によるもの。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した725件の従業員数の合計は1万2,232人にのぼった。
 725件の内訳では従業員5人未満が350件(構成比48.2%)と、半数近くを占めた。次いで、5人以上10人未満が143件(同19.7%)、10人以上20人未満が118件(同16.2%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 従業員50名以上の破たんは8月以降、月間2件以下の発生にとどまり、小規模化が顕著となっている。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。


日本地図1210①

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日本地図1210②

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