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「地方公共団体・中小企業等向け貸出金残高」調査 銀行109行(2020年3月期決算)

 国内銀行109行の2020年3月期の総貸出金残高は、476兆6,224億円(前年同期比2.4%増)で、3月期では2012年同期から9年連続で伸びた。このうち、地方公共団体(以下、地公体)向け貸出は33兆5,587億円(前年同期比6.4%増)で、調査を開始した2010年同期以降、最高を記録した。
 また、中小企業等向け貸出も326兆4,355億円(同1.9%増)で、3月期では2012年同期から9年連続で伸びた。
 貸出金伸び率は、地公体向けが前年同期(2.2%増)から4.2ポイント増となった一方で、中小企業等向けは前年同期(3.1%増)から1.2ポイントダウンし、対照的となった。
 総貸出金残高では、地公体向け割合は7.04%(前年同期6.77%)で、初めて7%台に乗せた。一方、中小企業等向けは68.48%(同68.83%)で、2年連続で低下した。
 金融機関は低金利の下、金利の高い貸家向け不動産貸出を積極的に推し進め、中小企業等向け比率は2018年3月期に69.68%まで拡大した。だが、シェアハウス等の不正融資問題で不動産向け貸出が急速に鈍化。資金需要の活発だった大企業の建設業や不動産業などへの貸出に注力したことで、中小企業向け貸出比率は2年連続で低下した。
 2020年4-6月期は、新型コロナ関連支援で中小企業向け貸出が急増した。コロナ禍の収束が見えないなか、地域金融機関としての中小企業支援と与信コスト上昇というパラドックスの狭間で、今後の貸出動向が注目される。

  • 本調査は、国内銀行109行の2020年3月期決算の「地方公共団体向け」と「中小企業等向け」の貸出金残高を前年同期と比較、分析した(りそな銀行、沖縄銀行は信託勘定を含む)。「中小企業等」には、個人向け貸出金を含む。

地公体向け貸出金残高 前年同期比6.4%増

 2020年3月期の地公体向け貸出金残高は33兆5,587億円(前年同期比6.4%増)で、2011年同期から10年連続で増加し、過去最高を記録した。109行のうち、地公体向け貸出金残高が前年同期を上回ったのは56行(構成比51.3%)で、前年同期の46行から10行増加した。
 総貸出金残高のうち、地公体向け構成比は7.04%を占めた。前年同期の6.77%を0.27ポイント上回り、調査を開始した2010年同期以降、7%台に乗せたのは初めて。地公体向け貸出金の構成比が前年同期を上回ったのは46行(同42.2%)で、前年同期の28行から18行増加した。

三セク1

中小企業等向け貸出金残高 前年同期比1.9%増

 2020年3月期の中小企業等向け貸出金残高は、326兆4,355億円(前年同期比1.9%増)で、3月期としては2012年同期から9年連続で増加した。ただ、総貸出金残高に占める中小企業等向け貸出の構成比は68.48%(前年同期68.83%)で、前年同期より0.35ポイント低下し、2年連続で前年同期を下回った。
 中小企業等向け貸出金残高が増加したのは97行(構成比88.9%)で、前年同期の100行から3行減少した。大手行は7行(前年同期6行)で、前年同期より1行増加した。一方、地方銀行は56行(同60行)で、4行減少。第二地銀は34行(同34行)で前年同期と同数だった。
 中小企業等向け貸出金残高の伸び率トップは、福島銀行の10.2%増。中小企業等向け貸出金は3,970億円で、総貸出金に占める構成比は74.56%と、前年同期から3.40ポイント上昇した。
 次いで、あおぞら銀行9.5%増、百五銀行7.7%増、山陰合同銀行7.1%増、名古屋銀行7.0%増と続く。
 一方、減少率は、不動産向け貸出が減少したスルガ銀行が14.3%減(4,083億円減)で、最も減少幅が大きかった。以下、東京スター銀行3.9%減、東日本銀行3.5%減の順。
 中小企業等向け貸出金の構成比トップは、スルガ銀行の97.92%(前年同期98.40%)。以下、関西みらい銀行93.95%(同93.43%)、南日本銀行93.71%(同93.68%)、静岡中央銀行93.27%(同93.53%)、神奈川銀行91.90%(同91.35%)の順。
 貸出金構成比の上位10行は、第二地銀7行、地方銀行3行だった。
 中小企業等向け貸出の構成比が最も低かったのは、十八銀行の47.74%。前年同期から4.40ポイント低下した。貸出構成比が50%を下回ったのは、十八銀行のほか、山口銀行(48.42%)、東邦銀行(48.76%)の3行で、前年同期の1行から2行増加した。


 国内銀行109行の2020年3月期の地公体向け貸出金残高と、中小企業等向け貸出金残高は全業態で増加した。ただ、地公体向け貸出に比べ、中小企業向け貸出の伸び率は鈍化した。
 不動産向け貸出の急速な減少に加え、2019年9月以降、企業倒産が前年同月を上回り、12月以降は増加率が10%以上で推移したことが影響し、資金運用だけでなくリスク分散で地公体向けの貸出に舵を切った可能性もある。
 ただ、2020年2月以降、新型コロナ感染拡大の支援策で、国、自治体が積極的に中小企業の資金繰り支援を打ち出した結果、政府系だけでなく民間金融機関の貸出も大幅に増加した。今後は、「withコロナ」で中小企業への資金支援にどう取り組むか、動きが注目される。

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