• TSRデータインサイト

2019年度上半期(4-9月)「人手不足」関連倒産

 2019年度上半期(4-9月)の「人手不足」関連倒産は、202件(前年同期比7.7%減)だった。年度上半期ベースでは、2017年度以来、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2019年度上半期の1カ月平均の「人手不足」関連倒産は33.6件で、このペースで推移すると過去最多を記録した2018年度(399件)を上回る可能性を残している。
 また、人手確保に苦慮した「求人難」型(前年同期比11.4%増)、事業運営に支障をきたす「従業員退職」型(同125.0%増)が増加し、中小企業の深刻な人手不足がうかがえる。


2019年度上半期、「求人難」型が前年同期比2.2倍増

 2019年度上半期(4-9月)の「人手不足」関連倒産は202件(前年同期比7.7%減)で、2017年度同期以来、2年ぶりに前年同期を下回った。しかし、2013年度同期以降では、2018年度同期(219件)に次ぐ、2番目の高水準となった。
 内訳は、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が122件(前年同期159件)、人手不足で事業継続に支障を来した「求人難」型が39件(同35件)、中核社員の独立、転職などで事業継続が困難になった「従業員退職」型が27件(同12件)、賃金等の人件費アップから収益が悪化した「人件費高騰」型が14件(同13件)。
 「従業員退職」型の2.2倍増(前年同期比125.0%増)を筆頭に、「後継者難」型を除くすべての要因が増加した。

人手不足関連 要因別倒産状況 年度上半期

産業別 サービス業他が最多

 2019年度上半期の産業別では、最多が介護関連業種や飲食業を含むサービス業他の66件(前年同期比11.8%増)。次いで、建設業34件(同27.6%減)、製造業24件(同35.1%減)、小売業20件(同42.8%増)、運輸業(同111.1%増)と卸売業(同47.2%減)が各19件で続く。小売業、運輸業で増勢が目立った。

人手不足関連 産業別倒産状況

2019年度上半期の地区別、9地区中4地区で増加

 2019年度上半期の地区別では、全国9地区のうち近畿(15→26件)、九州(30→32件)、四国(7→10件)、東北(15→16件)の4地区で前年同期を上回った。
 一方、関東(95→75件)を始め、中部(27→22件)、北海道(12→7件)、中国(14→11件)、北陸(4→3件)の5地区で減少した。

人手不足関連 地区別倒産状況

都道府県別、最多は東京34件

 都道府県別では、東京34件(前年同期47件)、福岡16件(前年同期同数)、神奈川(同12件)と大阪(同5件)が各13件、千葉10件(同4件)の順だった。

9月は3カ月ぶりに前年同月を上回る

 2019年9月の「人手不足」関連倒産は、33件(前年同月比22.2%増、前年同月27件)で、3カ月ぶりに前年同月を上回った。内訳は、「後継者難」型が26件(前年同月21件)、「求人難」型が1件(同3件)、「従業員退職」型が3件(前年同期同数)、「人件費高騰」型が3件(同ゼロ)。

9月の産業別 小売業とサービス業他が最多

 9月の産業別では、小売業(前年同月ゼロ)とサービス業他(同8件)が最多。次いで、運輸業(同1件)と製造業(同4件)が各6件、農・林・漁・鉱業(同ゼロ)と建設業(同5件)が各3件、不動産業が1件(前年同月同数)。
 地区別では、関東9件(前年同月11件)が最多。次いで、近畿(同1件)と九州(同7件)が各6件、四国(同ゼロ)と東北(同2件)が各3件、中国(同1件)と中部(同3件)が各2件、北海道(前年同月同数)と北陸(同)が各1件。

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ゴールデンウィーク明け、「退職代行サービス」の利用は慎重に

長かったゴールデンウィークが終わる。職場「復帰」を前に例年4月の新年度からGW明けにかけ、退職する人の話題が持ち上がる。この時期の退職代行サービスの利用も増加するという。4月に実施した「退職代行に関する企業向けアンケート調査」から利用するリスクの一端が浮き彫りになった

2

  • TSRデータインサイト

トーシンホールディングスの「信用調査報告書」

5月8日に東京地裁に会社更生法の適用を申請した(株)トーシンホールディングス(TSRコード:400797887、名古屋市、東証スタンダード)を取り上げる。

3

  • TSRデータインサイト

2025年度「医療・福祉事業」倒産、過去最多 ~ 健康と生活を支援する事業者の倒産急増 ~

生活に不可欠な医療機関や介護事業者の倒産が急増している。バブル経済1988年度(4-3月)以降の38年間で、2025年度は金融危機、リーマン・ショックを超える478件と最多を記録した。

4

  • TSRデータインサイト

2026年4月「人手不足」倒産 33件発生 春闘の季節で唯一、「人件費高騰」が増加

2026年4月の「人手不足」倒産は33件(前年同月比8.3%減)で、3カ月ぶりに前年同月を下回った。 4月の減少は2022年以来、4年ぶり。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の「早期・希望退職」 は2万781人 約7割が「黒字リストラ」、2009年度以降で4番目の高水準

2025年度に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は46社(前年度51社)で、人数は2万781人と前年度(8,326人)の約2.5倍に急増したことがわかった。社数は前年度から約1割(9.8%減)減少したが、募集人数は2009年度以降で4番目の高水準となった。

TOPへ