• TSRデータインサイト

「人手不足」関連倒産(2018年11月)

 企業倒産が低水準で推移している一方で、厚生労働省が11月30日に発表した10月の有効求人倍率は1.62倍だった。8カ月ぶりに前月を下回ったが、依然として高水準が続き、中小企業を中心とした深刻な人手不足の状況に変わりはない。


11月は38件、「求人難」型が7件発生

 2018年11月の「人手不足」関連倒産は、38件(前年同月比52.0%増、前年同月25件)で、2カ月ぶりに前年同月を上回った。
 内訳は、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が24件(前年同月22件)、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が7件(同1件)、賃金等の人件費のコストアップから収益が悪化した「人件費高騰」型が5件(同1件)、中核社員の独立、転職などの退職から事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が2件(同1件)だった。

人手不足関連倒産月次推移

11月の産業別、サービス業他が最多

 11月の産業別では、最多がサービス業他の10件(前年同月7件)だった。次いで、製造業6件(同2件)、建設業6件(同7件)、運輸業5件(同1件)、卸売業4件(同5件)、不動産業4件(同1件)、小売業2件(同ゼロ)、情報通信業1件(同2件)の順。

11月の地区別、9地区のうち、7地区で倒産が発生

 11月の地区別では、全国9地区のうち、北陸と中国を除く7地区で倒産が発生した。内訳は関東21件(前年同月10件)を筆頭にして、中部6件(同2件)、近畿4件(同2件)、九州3件(同1件)、東北2件(同2件)、北海道1件(同3件)、四国1件(同1件)の順。

11月の都道府県別、最多は東京11件

 11月の都道府県別では、東京11件(前年同月5件)、愛知4件(同1件)、埼玉4件(同ゼロ)、福岡3件(同1件)の順だった。

2018年1-11月の要因別、「求人難」型が6割増

 2018年1-11月の「人手不足」関連倒産は362件(前年同期比23.1%増、前年同期294件)で、前年同期より2割増で推移している。
 内訳をみると、「後継者難」型が261件(前年同期比13.4%増、前年同期230件)、「求人難」型が53件(同65.6%増、同32件)、「従業員退職」型が24件(同33.3%増、同18件)、「人件費高騰」型が24件(同71.4%増、同14件)になった。「後継者難」型が7割(構成比72.0%)を占めた一方で、「求人難」型や「人件費高騰」型の増加ぶりが目立つ。

2018年1-11月、サービス業他が最多100件

 2018年1-11月の産業別では、最多がサービス業他の100件(前年同期比42.8%増、前年同期70件)。次いで、建設業70件(同2.7%減、同72件)、卸売業59件(同59.4%増、同37件)、製造業58件(同48.7%増、同39件)、運輸業23件(同15.0%増、同20件)の順。
 2018年1-11月の地区別では、9地区のうち関東(126→157件)、九州(36→46件)、中部(30→44件)、近畿(32→34件)、東北(15→28件)、四国(9→14件)の6地区で前年同期を上回った。一方、減少は中国(20→19件)と北海道(22→16件)だけで、同数が北陸(4→4件)。

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「倒産発生率」ワーストは京都府 近畿2府4県がワースト10位内、地域の格差拡大

2025年の「倒産発生率」は0.199%で、2024年から0.005ポイント上昇した。地区別は、ワーストの近畿が0.31%、最低の北海道は0.126%で、最大2.4倍の差があり、地域格差が拡大したことがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

新型コロナ破たん、2カ月連続の150件割れ

2月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円未満含む)が140件判明し、2020年2月の第1号の発生から累計1万3,715件に達した。2026年1月は143件で2022年1月の117件以来、4年ぶりに150件を下回ったが、2月も140件と小康状態が続いている。

3

  • TSRデータインサイト

2025年の株主優待「導入」上場企業は175社 個人株主の取り込みが課題、優待廃止は68社に

2025年に株主優待の導入(再導入を含む)を発表した上場企業は175社だった。一方で、廃止を発表した上場企業は68社だったことがわかった。

4

  • TSRデータインサイト

2026年度の「賃上げ」 実施予定は83.6% 賃上げ率「5%以上」は35.5%と前年度から低下

2026年度に賃上げを予定する企業は83.6%で、5年連続で80%台に乗せる見込みだ。 2025年度の82.0%を1.6ポイント上回った。ただ、賃上げ率は、全体で「5%以上」が35.5%(2025年8月実績値39.6%)、中小企業で「6%以上」が7.2%(同15.2%)と、前年度の実績値から低下した。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 上場企業の「監査法人異動」は196社 「中小から中小」が78社、理由のトップは「監査期間」

全国の証券取引所に株式上場する約3,800社のうち、2025年に「監査法人異動」を開示したのは196社(前年比43.0%増、前年137社)だった。

TOPへ