• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

老人福祉・介護事業の倒産 前年同期より6割増の44件

2013年1-10月の老人福祉・介護事業の倒産件数は、44件(前年同期比62.9%増)に達した。介護保険法が施行された2000年以降では、2008年(46件)に迫り、過去最多のペースで推移している。なかでも訪問介護事業は1-10月累計で26件に達し、年間で過去最多の2009年(25件)をすでに上回り過去最多を更新した。

  • 調査対象の「老人福祉・介護事業」は、有料老人ホーム、通所・短期入所介護事業、訪問介護事業などを含む。

負債別 小規模企業が9割を占める

2013年1-10月の負債総額は、19億300万円(前年同期比4.7%減)と微減で推移した。負債10億円以上の大型倒産の発生がなかった(前年同期ゼロ件)のに対し、負債1億円未満の小規模倒産が40件(前年同期比100.0%増、前年同期20件)と9割(構成比90.9%)を占めたことによる。

訪問介護事業の倒産 過去最多を更新

老人福祉・介護事業倒産の内訳をみると、訪問介護事業が26件(前年同期比73.3%増、前年同期15件)、施設系の有料老人ホーム、通所・短期入所介護事業など18件(前年同期比50.0%増、前年同期12件)だった。
このうち訪問介護事業は、介護保険法が施行された2000年以降では、これまで最多だった2009年の25件を上回り、過去最多を更新している。

原因別 販売不振(業績不振)が最多

原因別で最も多かったのは、販売不振(業績不振)の26件(前年同期比85.7%増、前年同期14件)で増加ぶりが目立った。次いで、事業上の失敗が前年同期同数の8件、他社倒産の余波が4件、運転資金の欠乏が3件の順だった。

従業員数別 5人未満が7割を占める

従業員数別では、5人未満が31件(前年同期比55.0%増、前年同期20件)で全体の7割(構成比70.4%)を占め、小規模事業所の倒産が目立った。

形態別 破産が全体の9割

形態別では、事業所の解体・消滅である破産が41件(前年同期比70.8%増、前年同期24件)と全体の9割(構成比93.1%)を占めた。一方、再建型の民事再生法は2件(前年同期1件)にとどまり、業績不振の事業所が再建を図るのが難しいことを浮き彫りにした。


介護関連事業は、高齢化社会に伴ない将来性の高い産業として注目を集めてきたが、慢性的な人手不足に加え、他産業からの新規参入で競争が激化し、厳しい経営環境が続いている。
特に、訪問介護事業は少ない資金で開業できるため、資本力の脆弱な小規模事業者の参入が多かった。これまで小規模事業者は中小企業金融円滑化法により資金繰りを下支えされてきたが、経営改善ができないまま赤字を累積させ、息切れするケースが増えているとみられる。
介護保険のスタートから13年を経て、介護サービスの利用者は開始時の約3倍になったという。しかし、利用者数は増えても1人当たりの利用額は抑えられているとの指摘もあり、小規模事業者を中心に厳しい経営から脱皮できず、今後のさらなる倒産増加も懸念されている。

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

賃金上昇、従業員退職による倒産が過去最多 8月の「人手不足」倒産 8月では最多の32件

2026年8月の「人手不足」倒産は、32件(前年同月比39.1%増)だった。8月としては、前年の23件を大幅に上回り、最多を更新した。1-8月は333件(前年同期比38.7%増)で、年間最多ペースが続く。

2

  • TSRデータインサイト

出版業の倒産急増、利益も悪化傾向 ~ 存続に向けた書店との直取引、目指す姿と課題 ~

電子書籍が普及するなか、紙の書籍を主体に手掛ける老舗出版社を中心に、「出版業」の倒産(負債1,000万円以上)が急増している。 2026年1-7月の「出版業」の倒産は21件(前年同期比90.9%増)で、2019年同期の21件以来7年ぶりに20件を超えた。

3

  • TSRデータインサイト

「フィットネスクラブ」の倒産が過去最多を更新へ 1-8月は26件、市場拡大もレッドオーシャンの兆し

拡大するフィットネス市場で、「フィットネスクラブ」の倒産が急増している。2026年1-8月は26件(前年同期比160.0%増)と前年同期の2.6倍に達し、2023年同期の16件を抜いて過去最多を更新した。 現在のペースで推移すると、2026年は年間最多の2023年の27件を上回り、40件台も視野に入ってきた。

4

  • TSRデータインサイト

泥臭い再生支援と粉飾決算、銀行員の「違和感」~ 「実務家座談会」を開催(後編)~

(後編)事業再生に携わる金融機関は企業にどう向き合うのか。東京商工リサーチ(TSR)は、事業再生に携わる金融機関の担当者に、取り組みの現状や事例、特色、留意点などを聞いた。

5

  • TSRデータインサイト

「半導体関連メーカー」生成AI普及で業績好調 売上トップはキオクシア、TSMC日本子会社は売上高約143倍

生成AIの普及やデータセンター向け需要拡大で、国内の主要半導体関連メーカーの業績が好調だ。東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース(約440万社)から、全国の主な半導体関連メーカー154社の2025年度業績を分析した。

TOPへ