こうして倒産した

2024年(令和6年)1月度こうして倒産した・・・
(株)ジャパンマルチメディア放送
  • 東京
  • i-dio放送事業
負債総額
49億1900万円
 

(株)ジャパンマルチメディア放送(TSR企業コード:300398980、法人番号:8010001158127、千代田区麹町1-7、設立2014(平成26)年1月、資本金1000万円)は1月12日、東京地裁より特別清算開始決定を受けた。
 負債総額は49億1900万円。
 アナログ放送終了後のVHF-Low帯を利用したマルチメディアサービス(i-dio放送事業)の提供・推進などを目的に、(株)エフエム東京(TSR企業コード:290585554、法人番号:1010001012439、千代田区)の主導で設立された。
 i-dio放送事業は当初、映像やデータ放送を通じた防災・災害情報等の伝達サービスなどへの活用が期待されていたが、利用者数が伸び悩み、採算ベースに乗らなかった。
 こうしたなか、エフエム東京が2020年3月末を以て同事業から撤退することを決定。当社はその後、サービス提供先の地方自治体に対して清算に向けた補償交渉などを実施、2022年4月、補償について合意。2023年9月14日、株主総会の決議により解散し、今回の措置となった。

(株)A.L.I.Technologies
  • 東京
  • 空中移動用バイク開発ほか
負債総額
21億円
 

 (株)A.L.I.Technologies(TSR企業コード:022350926、法人番号:9010001178677、港区芝公園3-1-8、設立2016(平成28)年9月、資本金1億円)は12月27日、東京地裁に破産を申請し1月10日、破産開始決定を受けた。
 破産管財人には飯田岳弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、中央区八重洲2-8-7)が選任された。
 負債総額は21億円。
 東京大学航空宇宙専攻の学生らによって創業。ドローン技術の開発から、ホバーバイクなどのエアーモビリティー分野に領域を広げ、同分野のスタートアップとして高い知名度を有し、将来的なIPOを目指していた。近年は世界初とされる空飛ぶバイク「実用型ホバーバイク(XTURISMO Limited Edition)」を開発し、2022年12月に第一号機を納品していた。
 一方で、開発費用が重くのしかかり、2020年12月期は13億6595万円の赤字を計上。さらに、2021年12月期は16億3192万円、2022年12月期は19億4382万円と赤字額は年々拡大していた。この間、コロナ関連融資など金融機関からの資金調達やベンチャーキャピタル、ファンドなどからの増資で凌いでいた。2023年2月には当社の株主である米国企業の株式上場を通じた資金調達も目指したが、計画通りの調達ができなかったことで資金繰りが一段と悪化。取引先への支払遅延が発生するなどして信用が低下していた。
 こうしたなか、同年7月18日には代表取締役が退任し、その他取締役2名も解任されたほか、8月以降は従業員の大半が退職。実質的な事業停止状態に陥り、動向が注目されていたところ、今回の措置となった。

(株)オカベイ
  • 福岡
  • 米穀・特定米穀販売
負債総額
19億円
 

(株)オカベイ(TSR企業コード:880219009、法人番号:9290801000517、北九州市小倉南区中吉田2-5-3、設立1960(昭和35)年8月、資本金3000万円)は1月23日、福岡地裁小倉支部に破産を申請した。
 申請代理人は木﨑良平弁護士(木﨑法律事務所、北九州市小倉北区堺町1-9-10)。
 負債総額は19億円。
 1930年8月に創業した老舗で、米穀や業務用米、無洗米の販売を主体に、酒造用や味噌用原料向け加工米販売も展開していた。本社工場で精米、椎田工場で特定米を加工し、高品質でバラエティに富んだ品揃えに努め、地元の食品スーパーや量販店のほか、酒造メーカー、味噌メーカーにも販路を築き、2018年8月期は約29億円の売上高を計上していた。
 しかし、米穀需要の縮小などで減収傾向が続き、2023年8月期の売上高は約24億5000万円に減少。本業の低迷を補填する形で2023年2月、福津市に業務用食品スーパーをオープンし、同地区周辺の飲食店を対象に営業を開始したものの軌道に乗らず、多額の設備投資が資金繰りを圧迫し、今回の措置となった。

武村建設(株)
  • 京都
  • 土木工事
負債総額
12億円
 

 武村建設(株)(TSR企業コード:641305940、法人番号:8130001001274、京都市右京区宇多野長尾町8-13、設立1982(昭和57)年10月、資本金4000万円)は1月16日、京都地裁より破産開始決定を受けた。
 破産管財人には松枝尚哉弁護士(松枝法律事務所、同市中京区富小路通二条上ル鍛冶屋町368-2)が選任された。
 負債総額は12億円。
 1970年4月に創業し、民間企業より受注を得て土木工事業を開始。1986年には大津市のガス管設備工事・上下水道配管工事を請け負い、1992年には京都市水道局指名業者となるなど、地元建設会社のほか官公庁にも受注基盤を構築し、2020年6月期には完工高6億9115万円を計上していた。
 2023年9月には現社長が就任し新体制によるスタートを切ったが、同年10月に京都府より指名停止措置を受けたほか、資金流出も発生。さらに、同年11月13日には資金ショートを起こし、信用が失墜していた。
 こうしたなか、資産の流出を抑えるため12月26日、債権者である取締役から破産を申し立てられ、今回の措置となった。

明和ベンディクス(株)
  • 埼玉
  • 自販機用見本缶開発ほか
負債総額
11億円
 

 明和ベンディクス(株)(TSR企業コード:310236703、法人番号:2030001080210、川口市上青木1-21-6、設立1976(昭和51)年9月、資本金1億円)は1月10日、さいたま地裁より破産開始決定を受けた。
 破産管財人には井本大輔弁護士(弁護士法人永島法律事務所、さいたま市浦和区高砂3-12-9)が選任された。
 負債総額は債権者約100名に対して11億円。
 自動販売機関連の販売促進ツールや飲食店のメニュー、各種広告、製品パッケージ等のデザインを行い、自動販売機に並ぶ商品ダミーサンプルを業界でいち早く開発していた。飲料メーカーとの取引を主体とし、2005年3月期には売上高約42億5700万円を計上していたが、販売単価引き下げ要請や競合等もあって徐々に売上が減少し、近年の年間売上高は10億円を割り込んでいた。
 人件費負担も重く、2020年には松戸工場を閉鎖し本社工場のみの稼働として経費削減を図っていたが、赤字を散発して資金繰りに行き詰まり、事業継続を断念した。

(株)エッチ・エヌ・オー
  • 滋賀
  • ホテル経営
負債総額
11億円
 

 (株)エッチ・エヌ・オー(TSR企業コード:652000150、法人番号:1160001010650、近江八幡市鷹飼町1481、登記上:大阪市中央区北浜2-3-9、設立2002(平成14)年10月、資本金2000万円)は1月11日、大阪地裁より特別清算開始決定を受けた。
 負債総額は11億円。
 2002年12月に特別清算開始決定を受けた(株)ホテルニューオウミ(TSR企業コード:650185617、近江八幡市)の営業権を譲り受け、事業を開始。JR近江八幡駅より徒歩数分の場所にて「ホテルニューオウミ」を経営していた。
 地元のシンボル的なシティホテルとして親しまれ、宿泊以外にも結婚式に対応可能な宴会場や日本料理、中国料理、鉄板焼きレストランなどを併設。2014年8月にはペットと過ごすことができる「ホテルビワドッグ」を開設し、ドッグラン設備も整えるなど他の宿泊施設との差別化に努めていた。さらに、近年はインバウンド需要も取り込み、2019年3月期には売上高15億9477万円を計上していた。
 しかし、「新型コロナウイルス」感染拡大により利用者が減少し、2021年3月期はホテルの利用者・客単価ともに大きく低下し、売上高は7億5274万円にまで縮小。2億3144万円の赤字を計上し、債務超過額が拡大した。以降は、タレントによるショーなどのイベントを開催しテコ入れに努めていたものの、長引くコロナ禍によって集客は伸び悩み、財務体質の悪化に歯止めが掛からず、資金繰りも限界に達していた。
 こうしたことから、(株)オウミリゾート(TSR企業コード:696802597、法人番号:6160001024679、近江八幡市)を新たに設立し、ホテル事業および付帯する事業を2023年1月に同社に移管。当社は2023年10月、株主総会の決議により解散し、今回の措置となった。

2024年

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
負債額順にまとめた記事はこちら

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「人手不足」企業、69.3%で前年よりも悪化 建設業は8割超が「正社員不足」で対策急務

コロナ禍からの経済活動の再活性化で人手不足が深刻さを増し、「正社員不足」を訴える企業が増加している。特に、2024年問題や少子高齢化による生産年齢人口の減少などが、人手不足に拍車をかけている。

2

  • TSRデータインサイト

「食品業」倒産 2年連続増加の653件 原材料やエネルギー価格、人件費上昇が負担

歴史的な円安が続くなか、歯止めが掛からない食材の価格上昇、人件費などのコストアップが食品業界の経営を圧迫している。2023年度(4-3月)の「食品業」の倒産(負債1,000万円以上)は653件(前年度比16.3%増)で、2年連続で前年度を上回った。

3

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】テックコーポレーションと不自然な割引手形

環境関連機器を開発していた(株)テックコーポレーションが3月18日、広島地裁から破産開始決定を受けた。 直近の決算書(2023年7月期)では負債総額は32億8,741万円だが、破産申立書では約6倍の191億円に膨らむ。 突然の破産の真相を東京商工リサーチが追った。

4

  • TSRデータインサイト

2024年の「中堅企業」は9,229社 企業支援の枠組み新設で、成長を促進し未来志向へ

東京商工リサーチの企業データベースでは、2024年3月時点で「中堅企業」は9,229社(前年比1.2%増、構成比0.7%)あることがわかった。うち2023年の中小企業が、2024年に「中堅企業」に規模を拡大した企業は399社だった。一方、「中堅企業」から「中小企業」へ規模が縮小した企業も311社みられた。

5

  • TSRデータインサイト

「経営者保証」 75%の企業が「外したい」 保証料率の上昇、金融機関との関係悪化を懸念する声も

資金調達時の経営者(個人)保証について、「外したい」と回答した企業が75.5%にのぼり、経営者保証に拠らない融資へのニーズが大きいことがわかった。ただ、保証料率の上乗せや金融機関との関係悪化を懸念して経営者保証を外すことに慎重な企業も多い。

記事カテゴリを表示
記事カテゴリを閉じる

プリントアウト

RSS

CLOSE
TOPへ