こうして倒産した

2023年(令和5年)7月度こうして倒産した・・・
(株)OUNHほか6社
  • 東京
  • 飲食業
負債総額
351億5900万円
 

 (株)OUNH(旧:(株)TBIホールディングス、TSR企業コード:300060424、法人番号:8010001151296、新宿区新宿2-16-6、設立2013(平成25)年1月、資本金5000万円)と関連会社6社は7月28日、東京地裁に破産を申請した。
 申請代理人は岸本容司郎弁護士(西村あさひ法律事務所、千代田区大手町1-1-2、)ほか。
 負債は、OUNHが92億800万円で、7社合計351億5900万円。
 2003年10月に前身企業が居酒屋の経営などを目的に事業を開始。その後、積極的な出店を続け、飲食業を中心に美容業や内装、不動産事業等にも進出していた。
 OUNHは、前身企業の事業を譲り受ける目的で、投資ファンドの資本参加を得て設立。個店ブランド方式による飲食店の多店舗展開を特徴とし、経験を積んだ社員を店長兼社長とした複数の子会社をグループに抱えていた。また、2017年には東証スタンダード上場で飲食業を展開するホリイフードサービス(株)(TSR企業コード:280229968、法人番号:2050001002286、茨城県水戸市)の発行済み株式の52.5%を取得して子会社化した。
 新規出店やM&A戦略で、一時は全国に150店舗以上出店し、2017年3月期は売上高約193億400万円を計上していた。しかし、「新型コロナウイルス」感染拡大により2020年3月以降、業績が急激に悪化。店舗の閉鎖や業態転換などを進めてきたが、2021年3月期は売上高約39億4600万円に対して約31億2100万円の赤字を計上し、債務超過に転落した。
 その後も業況は回復せず、再建のめどが立たなくなったことから、2023年6月30日付で飲食事業をスポンサーに譲渡するとともに、現商号に変更し、今回の措置となった。

 同時に破産を申請したのは以下の6社。
 (株)OUNホールディングス(旧:(株)Treeホールディングス、TSR企業コード:026601664、法人番号:1010001187883、千代田区丸の内1-9-2、設立2017(平成29)年11月、資本金1億円、負債総額85億円)
 (株)OUNJ(旧:(株)TBI JAPAN、TSR企業コード:298238039、法人番号:2011101055038、新宿区新宿2-16-6、設立2009(平成21)年12月、資本金300万円、負債総額88億円)
 (株)OUNS(旧:(株)SeeD、TSR企業コード:014734001、法人番号:3011101072957、同所、設立2015(平成27)年4月、資本金300万円、負債総額3600万円)
 (株)OUNT(旧:(株)TWJ、TSR企業コード:294778098、法人番号:2011101061291、同所、設立2007(平成19)年12月、資本金300万円、負債総額4900万円)
 (株)OUNM(旧:(株)merry、TSR企業コード:014734249、法人番号:3011101072965、同所、設立2015(平成27)年4月、資本金300万円、負債総額85億円)
 (株)OUNU(旧:(株)UP、TSR企業コード:912097752、法人番号:1290001036253、福岡市博多区博多駅東3-3-16、設立2008(平成20)年1月、資本金300万円、負債総額6600万円)

(株)茂原火力発電所
  • 東京
  • 火力発電所
負債総額
158億円
 

 (株)茂原火力発電所(TSR企業コード:023212403、法人番号:3010401128857、千代田区麹町4-5-21、設立2016(平成28)年12月、資本金1億円)と、関連の(株)椎の森発電所(TSR企業コード:016294122、法人番号:9010701031557、同所、設立2015(平成27)年10月、資本金1億円)は6月6日、東京地裁に特別清算を申請し7月10日、特別清算開始決定を受けた。
 申請代理人は鐘ヶ江洋祐弁護士(長島・大野・常松法律事務所、千代田区丸の内2-7-2)ほか。
 負債は、茂原火力発電所が158億円、 椎の森発電所が154億円。
 茂原火力発電所は千葉県茂原市で、椎の森発電所は千葉県袖ケ浦市で、それぞれ火力発電所を運営していた。発電した電力を(株)F-Power(現:(株)エフ管財、TSR企業コード:297969072、法人番号:2010701022133、東京都中央区)へ販売する計画だったが、同社の経営不振で計画は中断した。2021年3月には単独契約先であったF-Powerが東京地裁へ会社更生法の適用を申請。他社への販売も模索したものの、条件面で大きく見劣りするため難航し、発電所の建設代金の支払いが困難となっていた。
 こうしたなか、2社の発電所を新会社へ承継したうえで、(株)東京ガスコルザパワー(TSR企業コード:695324250、法人番号:8010001225554、東京都港区)に事業を集約。2社は2023年3月16日、株主総会の決議により解散していた。

(株)オージー
  • 千葉
  • プラスチック容器製造
負債総額
31億円
 

 (株)オージー(TSR企業コード:322079381、法人番号:3040001021476、八千代市大和田新田598、登記上:東京都新宿区四谷4-1、設立2002(平成14)年2月、資本金1000万円)は7月7日、東京地裁より特別清算開始決定を受けた。
 負債総額は31億円。
 プラスチック容器の製造業者。スーパーやコンビニ向けのドリンクカップ、インサートカップ、ドリンクカップ用リッド(ふた)や各種食品用容器など、幅広い種類の飲食物向け容器の製造を手掛けていた。「新型コロナウイルス」感染拡大前は一定の売上伸長を維持していたが、コロナ禍以降は外出自粛の影響もあり、ドリンクカップや食品トレーなどの需要が大きく落ち込み業績が悪化。親会社からの借入のほか、コロナ対応の緊急融資を利用するなどして、損失補填を図ってきた。
 しかし、物価高を背景とした原材料価格の高騰により、業績ならびに財務改善の見通しが立たなかったことから、合成樹脂成型品製造等を手掛けるグループ会社の(株)台和(TSR企業コード:298188660、法人番号:2010501029873、東京都台東区)へ事業を譲渡する合理化策を実施。当社は2022年12月、ポリマープラス(株)から現商号に変更するとともに登記上本社を東京都新宿区へ移し、2023年3月31日開催の株主総会の決議により解散していた。

(医)社団泉翔会
  • 宮城
  • 老人介護施設運営
負債総額
19億6000万円
 

 (医)社団泉翔会(TSR企業コード:142128228、法人番号:3370005002010、仙台市青葉区国見ケ丘5-43-1、設立2002(平成14)年12月)は7月3日、仙台地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。
 監督委員には玉山直美弁護士(エール法律事務所、仙台市青葉区一番町2-10-26)が選任された。
 負債総額は19億6000万円。
 介護老人保健施設・藤の里(栗原市)を2004年4月に、泉翔の里(仙台市)を2009年4月にそれぞれ開設し、2拠点とも比較的順調な稼働率で推移していた。しかし、2016年3月に開設したサービス付き高齢者向け住宅「国見幸迎館」の負担が重く、2017年3月期は売上高11億2314万円に対し1億5566万円の赤字を計上した。
 2018年4月の介護報酬改定に加え、入居率の低下により資金繰りが悪化。また、「新型コロナウイルス」感染拡大による影響も重なり厳しい業績推移を強いられ、その後は赤字を散発。金融機関に対し返済条件の変更を要請し、事業を維持していたものの、2022年3月期は11億3256万円の売上高に対し5783万円の赤字となり債務超過に転落した。
 こうした状況から、医療関係の投資やコンサルティング等を展開するエヌエスパートナーズ(株)(TSR企業コード:298333015、法人番号:2011001070541、東京都港区)とスポンサーに関する基本合意書を締結。スポンサーへの事業承継による再生を目指すこととし、今回の措置となった。

(株)理喜
  • 大阪
  • インナー製造販売ほか
負債総額
15億1600万円
 

 (株)理喜(TSR企業コード:570221358、法人番号:7120901021092、箕面市船場東2-3-50、設立1968(昭和43)年3月、資本金9800万円)は7月19日、大阪地裁より破産開始決定を受けた。
 破産管財人には豊島ひろ江弁護士(中本総合法律事務所、大阪市北区西天満5—9—3)が選任された。
 負債総額は15億1600万円。
 メンズ・レディースインナーの製造販売業者。OEMを主体とするほか、自社ブランドのゴルフウェアなども手掛け、ピーク時の1996年1月期には売上高51億7355万円を計上した。
 しかし、その後は中国等からの安価な輸入製品が大量に出回ったことで価格競争が激化し、採算性は低調だった。このため、鹿児島県内の工場2カ所に加え、生産拠点としてタイに子会社および合弁会社の工場を設置し、厳しい生産・品質管理を武器に業容の維持を図っていた。
 一方で、海外子会社に対する貸付金などから資金需要は旺盛に推移し、厳しい運営が続いていた。金融機関と協議し、借入金返済のリスケジュールを受けるなどして再建を模索したが、この間、2020年1月期に鹿児島県の工場を1ヶ所に統合したことなどから生産量が減少。さらに「新型コロナウイルス」感染拡大以降は個人消費低迷の影響を受け、2021年1月期の売上高は22億1097万円にとどまった。
 従業員のリストラなどで立て直しを目指したが、物流費の増加もあり収益性は悪化。また、経営のスリム化のためにタイの合弁会社の株式を売却したことで、生産量のさらなる減少を招き、2022年1月期の売上高は16億2625万円に落ち込み、1億155万円の赤字を計上。業績の悪化に歯止めがかからず、資金繰りも限界に達し、今回の措置となった。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
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