京都駅南開発特定目的会社(TSR企業コード:297483200、中央区日本橋1-4-1、設立平成18年9月、資本金5億10万円、代表清算人:南裕史弁護士)は東京地裁に特別清算を申請し6月27日、特別清算開始決定を受けた。負債総額は約204億円。
京都駅八条口(京都市南区)の大型商業施設「ヴィノワ」の開発構想に基づき設立された特定目的会社。不動産デベロッパーの(株)ジョイント・コーポレーション(TSR企業コード:293182280、東京都港区)が事業主体となり、テナント誘致や店舗運営を進め、京都府内最大級の商業施設として平成21年10月の開業を目指していた。
しかし、ジョイント・コーポレーションが21年5月、会社更生法の適用を申請したため、事業の継続が困難となっていた。同年11月、イオンモール(株)(TSR企業コード:292216980、千葉市美浜区)が商業施設の引き受けを決定し、22年3月「イオンモールKYOTO」として開業していた。その後、施設からの賃貸収入で事業を継続していたが債務超過の解消は困難で6月3日、定款に定めた事由の発生により解散していた。
(株)テクノ・シーウェイズ(TSR企業コード:294996222、港区浜松町2-2-15、設立平成12年12月、資本金1億円、柴原三朗社長)は7月10日、東京地裁から破産開始決定を受けた。破産管財人には伊藤尚弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、中央区八重洲2-8-7、電話03-3273-2600)が選任された。負債総額は約150億円。
国や東京都も関与して計画が進められた東京-小笠原父島間を結ぶ新型超高速船TSL(テクノスーパーライナー)の保有・リースを目的に設立された。
TSLは、官民連携のもとで開発が進められ、三井造船(株)(TSR企業コード:291022928)が建造。小笠原航路での導入を検討、時速70キロでの高速運行が可能で、就航により東京-小笠原間の所要時間は従来の26時間半から16時間への短縮が見込まれていた。
ところが、航路運行を予定し傭船契約を結んでいた小笠原海運(株)(TSR企業コード:290955807、港区)が燃料高騰など採算面の悪化を理由に平成17年に運行契約を見合わせたことから計画が事実上頓挫した。東日本大震災の際には、宮城県石巻港に停泊し食事、シャワーなど被災地支援にも利用されたことで話題となったが、TSLは総工費約115億円をかけたが本格稼働することはなかった。24年3月、TSLを保有していた三井造船が解体を前提に他社に売却していた。
工立化成(株)(TSR企業コード:350407045、横浜市港北区新羽町1180-2、設立昭和45年11月、資本金2000万円、佐竹徹社長、従業員66名)は7月26日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には上田智司弁護士(上田法律事務所、千代田区九段北4-1-5、電話03-3222-0776)が選任された。負債総額は48億3100万円。
携帯電話用ケースの製造を主力とし、本社新羽工場のほか、静岡県掛川市にある掛川工場の国内2拠点体制を敷いていた。平成12年9月期には折りたたみ携帯電話のブームに乗り、年商約60億円をあげた。16年3月には上海に合弁会社を開設して海外需要を取り込むほか、スマートフォン向け筐体に取り組み、23年1月には金型から成形、塗装、加工に至るまでの一貫生産体制を構築して、24年9月期には年商115億円へと急伸した。
その後も受注増を見込み、中国工場への投資を加速させてきたさなか、日本本社からの指示がないまま25年5月中旬に、中国工場の現地責任者が突然稼働休止を告げた。さらに同月末までに工場内で暴動、略奪行為があり、工場の再稼働が絶望的となり生産計画が頓挫した。中国工場への投資がかさんで資金繰りに余裕がなくなっていたところに、債権者による仮差押えなどが行われ、7月末の決済が困難となる見通しになったため、今回の措置となった。
(株)釧路丸水(TSR企業コード:040002993、白糠郡白糠町庶路甲区6-577、設立昭和40年4月、資本金7650万円、近藤信治社長、従業員45名)は7月30日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。
申請代理人は中澤裕子弁護士(中澤法律事務所、千代田区麹町1-8-8、電話03-3288-8681)。負債総額は34億円。
老舗の水産物加工会社。地元で水揚げされる水産物の加工を主業務として、全国展開する食品スーパーや市場に営業基盤を築き、加工設備の増強も行ってきた。ピークとなる昭和53年3月期には売上高約167億円を計上していたが、以降は漁獲量の変化や消費低迷の影響もあって売上高は60億円から80億円で推移していた。浜値高、売価安など低迷する水産市況の影響で利幅が圧縮され、過去に行った設備投資の償却負担等も重荷となって収益は低調に推移し、最近は多額の債務超過に陥っていた。このため、対応策として平成21年3月期から金融機関、取引先の了承を得て、5カ年の再建計画に取り組んできた。しかし、業況が改善しなかった。
べんりーい食品工業(株)(TSR企業コード:310204682、川口市柳崎2-14-20、設立昭和55年4月、資本金1200万円、織田咲子社長、従業員100名)は再度の資金ショートを起こし7月8日、行き詰まりを表面化した。負債総額は約30億円。
弁当および総菜の製造業者として、大手食品スーパーや病院、大学生協など多方面に販路を築き、平成13年3月期には売上高約55億5900万円を計上した。しかし、ここ数年は同業者との競合が厳しさを増したことなどから苦戦を強いられ、23年3月期には売上高が約40億円にとどまった。業績不振のなか、たびたび支払遅延が発生して、信用不安の情報が流れるなど動向が注目されていた。最近は、中小企業金融円滑化法に基づく返済猶予を受けて、一時的に資金繰りを維持してきた。しかし、業績が改善せずに資金繰りも一段と厳しさを増し、24年9月には金融機関が債権を譲渡、25年1月には本社不動産が自治体に差し押さえられていた。
関連サービス
人気記事ランキング


2025年度の業績見通しに大ブレーキ 「増収増益」見込みが16.6%に急減
トランプ関税、物価高、「価格転嫁」負担で、国内企業の業績見通しが大幅に悪化したことがわかった。2025年度に「増収増益」を見込む企業は16.6%にとどまり、前回調査(2024年6月)の23.3%から6.7ポイント下落した。
2

2025年3月期決算(6月20日時点) 役員報酬1億円以上の開示は117社・344人
2025年3月期決算の上場企業の株主総会開催が本番を迎えた。6月20日までに2025年3月期の有価証券報告書を510社が提出し、このうち、役員報酬1億円以上の開示は117社で、約5社に1社だった。
3

チャプター11をめぐる冒険 ~ なぜマレリはアメリカ倒産法を利用したのか ~
ずっと日本にいるのに時差ボケが続いている。 「マレリのチャプター11が近いから関連サイトをチェックし続けろ」と6月6日に先輩に言われて以降、私の生活はアメリカ時間だ。
4

代金トラブル相次ぐ、中古車販売店の倒産が急増
マイカーを売却したのに入金前に売却先の業者が破たん――。こうしたトラブルが後を絶たない。背景には、中古車価格の上昇や“玉不足”で経営不振に陥った中古車販売店の増加がある。倒産も2025年1-5月までに48件に達し、上半期では過去10年間で最多ペースをたどっている。
5

定量×定性分析 危ない会社は増えたのか?
2024年度の全国倒産が1万144件(前年度比12.0%増)と11年ぶりに1万件を超えたが、企業の倒産リスクはどの水準にあるのか。東京商工リサーチが企業を評価する「評点」と「リスクスコア」のマトリクスからみてみた。