こうして倒産した

2013年(平成25年)2月度こうして倒産した・・・
(社)愛知県農林公社
  • 愛知
  • 農林業振興事業
負債総額
227億円
 

(社)愛知県農林公社(TSR企業コード:400927217、名古屋市東区白壁1-50、設立昭和40年6月、後藤政則理事長)は2月21日、名古屋地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は伴野友昭弁護士(伴野・小池法律事務所、同市中区丸の内2-17-22、電話052-220-1118)。負債総額は約227億円。
愛知県をはじめ49団体の出資により運営。愛知県下の農地保有合理化事業のほか、治山・農林経営基盤の強化を主な目的とする農林公社であり、愛知県植林センターも運営していた。平成18年3月期には約67億6400万円の売上高を計上していたが、その後は木材販売事業の不振が続き、同24年3月期の売上高は11億3680万円まで落ち込んでいた。
同事業を含め不採算部門が散見され、資金面も借入過多が常態化して事業継続の見込みが立たなくなっていたことから、平成24年9月には愛知県知事が解散の方針を示していた。

(株)KHコーポレーション
  • 北海道
  • 温泉ホテル経営
負債総額
75億円
 

(株)KHコーポレーション(TSR企業コード:050014269、札幌市中央区大通西11-4、設立昭和19年9月、資本金5000万円、代表清算人:佐々木泉顕弁護士)は2月15日、札幌地裁に特別清算を申請した。申請代理人は佐々木泉顕弁護士(佐々木綜合法律事務所、同区大通西11-4、電話011-261-8455)。負債総額は約75億円。
昭和16年5月創業の温泉ホテル経営業者。「洞爺湖萬世閣ホテルレイクサイドテラス」や「登別萬世閣」、「定山渓萬世閣ホテルミリオーネ」など北海道内でも人気の温泉地でホテルを運営し、ピークとなった平成11年12月期には年商約74億9000万円を計上していた。しかし以降は、団体観光客の減少などから減収傾向となり、同16年12月期には2億3300万円の当期損失を計上し債務超過に転落した。平成22年にはホテルを改装したことで集客は増加したものの、黒字転換には至らなかった。
こうしたなか、元役員などからパワーハラスメントや不当解雇などをめぐる訴訟を起こされるトラブルも発生。さらに、東日本大震災による影響で海外団体客の予約キャンセルがあるなどで業績は低迷、同23年12月期の売上高は約43億円まで後退、当期損失は9億1475万円となり債務超過額は膨らんでいた。このため、同24年7月1日付けで会社分割し、同24年3月に設立した(株)萬世閣(虻田郡洞爺湖町、代表取締役:濱野清正氏、小石尚武氏)に旅館事業を継承。当社は同24年8月31日の株主総会により解散を決議し、清算業務に入っていた。

(株)春陽堂
  • 京都
  • 食料・飲料卸
負債総額
49億3300万円
 

1月15日、UAゼンセン春陽堂労働組合および従業員から京都地裁に破産を申し立てられていた(株)春陽堂(TSR企業コード:641098979、京都市南区吉祥院清水町2、岡田正陽社長)と(株)茶月(TSR企業コード:642038074、同所、同社長)は2月8日、大阪地裁から破産手続開始決定を受けた。両社ともに破産管財人は森本宏弁護士(北浜法律事務所・外国法共同事業、大阪市中央区北浜1-8-16、電話06-6202-1089)。負債総額は春陽堂が49億円3,300万円、茶月が28億3,100万円。
春陽堂は、持ち帰り・宅配寿司「茶月」「百花撰」「神田一番寿司」、カレーハウス「スパイシー」、弁当・惣菜の「旬菜楽市」、ピザ・パスタ料理「サンマルコ」、中華レストラン「春陽堂」などを運営し一大外食チェーンを形成、全国に619店舗を展開しピークの平成4年3月期には年商約364億円を計上していた。
その後は、競合激化や消費者ニーズの変化に対応できず売上高は激減、平成16年10月以降、営業地域や業態ごとの競争力強化を目的に茶月ほか複数の子会社を会社分割により設立して主力事業を移管、春陽堂はグループ会社への食材の供給や経営指導を行う業態に転換した。しかし、非効率的な運営によりグループ業績はさらに悪化したため、同20年10月には再びグループ子会社9社を茶月に集約するなど経営面での混乱も続いた。同22年3月には産業活力再生特別措置法の認定を受けたが業績は改善せず、給与支払の遅延が常態化する中で動向が注目されるようになった。同24年3月期中には回転寿司と弁当・惣菜事業から撤退、カレー事業は別会社に譲渡。同24年10月には関東地方の直営60店舗、フランチャイズ27店舗の事業を(株)小僧寿し(TSR企業コード:570067898、東京都中央区築地3-9-9、木村育生社長)グループの子会社に7億円で譲渡したが資金繰りを緩和するまでには至らず、未払いとなっている労働債権約5億円を持つ労働者側から破産を申し立てられた。

クラウン製靴(株)
  • 東京
  • 靴製造販売
負債総額
36億7000万円
 

クラウン製靴(株)(TSR企業コード:330089838、調布市菊野台1-36-8、設立昭和33年5月、資本金7500万円、堀内捷靖社長、従業員80名)は2月22日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には大西裕弁護士(丸市綜合法律事務所、中央区日本橋兜町15-12 、電話03-3667-0899)が選任された。負債総額は36億7000万円。
高級革靴の専業メーカーとして紳士靴を中心に全国の専門店や百貨店に商品販売し、ピーク時の平成18年5月期には年商約39億円をあげていた。ビジネスからカジュアルまで幅広い商品を扱い、「キャサリン・ハムネット」「カステルバジャック」「ランバン」などの高級ブランド靴も扱い、全国のアウトレットパーク内を含め15店舗近くに出店し、24年5月期は年商30億2940万円をあげていた。しかし、23年3月には東日本大震災により仙台市に所在する2店舗が大きな被害を受けたほか、デリバティブの解約損により23年5月決算では7500万円以上の特別損失を計上するなど厳しい財務状況にあった。
こうしたなか、主要仕入先で皮革材料を調達していた(株)櫛原(TSR企業コード:290193508、台東区)が2月8日、破産開始決定を受け、商材の仕入れがストップしたうえに、同社はクラウン製靴の株主でもあったことから信用を大きく低下した。期日の到来する手形決済資金の調達のために金融機関から借入れを予定していたが、融資当日になって融資実行を拒絶され、他からの不足資金の調達もできずに支えきれなくなった。

ニチエイ事務機(株)
  • 東京
  • システム開発、OA機器販売
負債総額
25億円
 

ニチエイ事務機(株)(TSR企業コード:291272398、千代田区九段北1-4-5、設立昭和49年2月4日、資本金2800万円、友納博文社長)は2月27日、東京地裁に破産を申請した。
破産管財人には相羽利昭弁護士(三宅・今井・池田法律事務所、新宿区新宿1-8-5、電話003-3356-5251)が選任された。負債総額は約25億円。
大手電機メーカーの特約店として、病院、薬局、電気設備工事業者などを営業基盤としシステム開発や各種OA機器、パッケージソフトの販売などを行い、平成24年9月期には年商14億5265万円を計上していた。
しかし、財務面は不動産の購入、運転資金需要などで外部資金に対する依存が大きかったうえ、業績も同業との競合、納期の遅れなどで最近は伸び悩んでいたことから資金繰りは多忙化していた。こうしたなか、不透明な取引に関連する受取手形が決済されなかったことから買い戻しを請求され、資金繰りが逼迫し今回の措置となった。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
負債額順にまとめた記事はこちら

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

コロナ破たん累計が1万件目前 累計9,489件に

4月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が244件(前年同月比9.9%減)判明した。3月の月間件数は2023年3月の328件に次ぐ過去2番目の高水準だったが、4月は一転して減少。これまでの累計は9,052件(倒産8,827件、弁護士一任・準備中225件)となった。

2

  • TSRデータインサイト

堀正工業(株) ~約50行を欺いた粉飾、明細書も細かく調整する「執念」 ~

東京には全国の地域金融機関が拠点を構えている。今回はそれら金融機関の担当者が対応に追われた。最大54行(社)の金融機関やリース会社から融資を受けていた老舗ベアリング商社の堀正工業(株)(TSR企業コード:291038832、東京都)が7月24日、東京地裁から破産開始決定を受けた。

3

  • TSRデータインサイト

インバウンド需要で「ホテル経営」が好調 8割のホテルが稼働率80%超、客室単価の最高が続出

コロナ禍の移動制限の解消と入国審査の緩和で、ホテル需要が急回復している。ホテル運営の上場13社(15ブランド)の客室単価と稼働率は、インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に、コロナ禍前を上回った。

4

  • TSRデータインサイト

2024年4月の「円安」関連倒産 1件発生 発生は22カ月連続、円安の影響はさらに長引く可能性も

2024年4月の「円安」関連倒産は1件発生した。件数は、3カ月ぶりに前年同月を下回ったが、2022年7月から22カ月連続で発生している。 3月19日、日本銀行はマイナス金利解除を決定したが、じりじりと円安が進み、4月29日の午前中に一瞬34年ぶりに1ドル=160円台に乗せた。

5

  • TSRデータインサイト

約束手形の決済期限を60日以内に短縮へ 支払いはマイナス影響 約4割、回収では 5割超がプラス影響

これまで120日だった約束手形の決済期限を、60日に短縮する方向で下請法の指導基準が見直される。約60年続く商慣習の変更は、中小企業の資金繰りに大きな転換を迫る。 4月1~8日に企業アンケートを実施し、手形・電子記録債権(でんさい)のサイト短縮の影響を調査した。

記事カテゴリを表示
記事カテゴリを閉じる

プリントアウト

RSS

CLOSE
TOPへ