(株)聴涛館(TSR企業コード:450098605、浜松市中区東伊場1-3-1、設立平成5年12月、資本金4億5000万円、佐藤勲社長、従業員220名)は3月18日付で静岡地裁浜松支部に会社更生法の適用を申請した。負債総額は約58億円とみられる。
静岡県西部地区の有力企業による共同出資で(株)ニューオータニグランドホテル浜松として設立された。当初はコンサルタント業を営んでいたが、平成8年12月に旧:(株)聴濤館(TSR企業コード:450025136、同9年1月破綻)の不動産・営業権を買収し、以降、現在の業態へ業種転換した。
地元有力各企業を株主とし、同社が顧客として施設を利用するほか一般顧客のリピート層も抱えて、ピークの平成10年3月期には売上高約49億3200万円を計上した。しかし、以降は競争激化による売上減少、過大な金融債務の負担等、取り巻く環境は厳しさを増して減収推移をたどり、同24年3月期には約31億円まで落ち込んでいた。収益力の低迷も避けられず資金繰りは逼迫、自力での事業継続・再建は困難な状態に陥り今回の措置となった。
群馬県内で創造学園大学などを運営する(学)堀越学園(TSR企業コード:270158111、高崎市八千代町2-4-2、設立昭和41年9月、福田星人理事長、従業員100名)について、文部科学省は3月28日、私立学校法第62条に基づく解散命令を発令した。これを受けて法人は同日までにすべての学校運営を閉鎖した。負債総額は推定50億円。
同法の規定で解散後は理事が清算人となり、速やかに破産手続に移ることになっているが、ずさんな経営により債権債務が把握できていないなかで、その見通しは極めて不透明な状況。
同法人を巡っては、これまで職員給与未払い(総額2億円超)や公共料金滞納が発生したことのみならず、堀越哲二元理事長による金銭トラブルなどで多くの訴訟が行われている。
関係筋によると、平成24年3月期の負債総額は前期決算を踏まえて45億円とも言われるが、この時点の財務諸表はいまだに作成されていないほか、学校債の発行額(2億円超)を把握しきれていない問題も抱えている。
マル海光洋水産(株)(TSR企業コード:040026752、根室市西浜町10-143、設立昭和51年5月、資本金4000万円、小西英俊社長、従業員30名)は3月21日、札幌地裁に破産を申請した。申請代理人は村松謙一弁護士(光麗法律事務所、東京都中央区京橋3-9-8、電話03-5159-5055)。負債総額は約38億8600万円(平成24年3月期決算時点)。
昭和40年創業の水産食料品製造会社で、タラバガニを主力にズワイガニ、毛ガニのほか、サンマ等の冷凍冷蔵加工を行い、全国の水産商社や小売業者に販路を築いてきた。また、平成12年に札幌営業所を開設、同14年には東京営業所のほか、韓国へ拠点を設けるなど事業を拡大し、ピークとなった同15年3月期には138億8082万円の売上高を計上していた。その後も同16年に名古屋営業所、気仙沼営業所を開設、また、同20年には札幌市のイオン平岡店内、札幌市のイーアス内に回転寿司店を相次いでオープンさせるなど積極路線を歩んでいた。
しかし、最近はロシアからのカニの輸入が漁業規制により大きく低迷したことから売上高は減少し、平成24年3月期の年商は約43億7200万円にまで落ち込んでいた。また、売上高の減少に加えて、近年は金融デリバティブによる為替差損から大幅な赤字を計上し、債務超過に陥っていた。こうしたなか、資産の売却、不採算部門からの撤退など再建に向けた取り組みが行われてきたが、業績改善が進まず経営状況はさらに悪化、先行きの見通しが立たないことから事業継続を断念した。
(株)東京カソード研究所(TSR企業コード:291112587、板橋区板橋1-10-14、設立昭和28年4月、資本金23億2310万5195円、大久保尚武社長、従業員98名)は3月14日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。監督委員には香川明久弁護士(香川法律事務所、千代田区平河町1-1-1、電話03-5226-0327)が選任された。上場企業の倒産は今年初。負債総額は31億2300万円。
IC製造工程のウエハー検査装置のプローブカードの製造販売を中核事業とする、電子部品メーカー。平成7年10月に店頭登録、同16年12月にはJASDAQに株式を上場した。数年前までは売上高を順調に伸ばし、ピーク時の同20年3月期には年商約136億円を計上していた。
しかし、その後はリーマン・ショック以降の世界的な不況で半導体市況も悪化。さらに東日本大震災や、タイでの洪水被害の影響も受け業績は急激に落ち込み、5期連続の赤字を計上していた。このため、プローブカード事業に経営資源を集中し再建を目指していたが国内需要の回復気配も乏しく、平成24年3月期には年商25億7323万円にまで減少していた。
(株)菱山洋紙店(TSR企業コード:450036456、浜松市東区下石田町1850-5、設立平成16年10月、資本金5000万円、内山智一朗社長、従業員13名)は2月28日までに、資金ショートから事業を停止した。負債総額は約25億円(平成24年8月期決算時点)。
昭和25年に初代が創業、現代表が3代目となる洋紙卸売業者。業歴は61年を数え、地元斯業界では知名度が高かった。以前は印刷業も併営していたが、昭和56年以降は紙・紙製品の卸売専業となり、当地有力の印刷業者や官公庁、大手スーパーマーケットへの販路を構築し、営業の積極展開で売上高は伸長傾向をたどってきた。さらにM&Aの実施から受注が増えたことで、10億円台であった売上高は平成23年8月期には22億1693万円、同24年8月期には40億9123万円にまで急進した。しかしその反面で、損益は恒常的に低調であり、財務内容も脆弱域を脱せず資金繰りは多忙だった。
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