「冷凍調理食品メーカー」 3期連続増収増益 人手不足やタイパ志向の高まりなどが追い風に
~ 2025年度「冷凍調理食品製造業」業績動向調査 ~
コロナ禍が明けると同時に、あらゆる商品、サービスの価格が上昇している。そんな中、ライフスタイルの多様化などを背景に、冷凍食品のマーケットが拡大していることがわかった。
野菜や肉などを調理し、急速凍結する冷凍食品メーカー135社の2025年度の売上高は、9,722億円(前年度比3.6%増)と5期連続で増収を達成した。利益も、328億円(同11.5%増)と3期連続で増益を維持し、自宅や中食、外食産業まで幅広く使われ、食卓に欠かせない存在になっている。
一方で、2025年の倒産は2013年以降で最多の7件(前年比75.0%増)、休廃業・解散も7件と前年比で3.5倍に急増し、2025年は合計14件と2020年(15件)に次ぐ高水準だった。
市場全体は拡大をたどるが、物価高や燃料費高騰などコスト増への対応が遅れた企業の淘汰も始まっている。政府は食料品を対象にした消費税減税を、2027年4月から2年間限定で1%に引き下げる方向を示しており、冷凍調理食品に追い風となるのか注目される。
一般社団法人日本冷凍食品協会の「令和7年の生産・消費動向」によると、2025年の冷凍食品生産量は157.4万トン(前年比2.4%増)、金額(工場出荷額)は8,577億円(同6.4%増)で、いずれも増加した。また、国内消費量は302万9,325トンと初めて300万トンを突破した。
同協会は、市場の伸長要因として「生活スタイルの変化によるタイパ(タイムパフォーマンス)志向の高まり」や「給食産業の調理現場での人手不足」をあげた。一方で「輸入原材料や人件費の上昇といったコスト上昇分を十分転嫁できているとは言えない」と市場の不安要素もあげている。
急速冷凍技術の進化に加え、一食完結型のワンプレートや生鮮野菜の価格高騰で「冷凍野菜」の需要が伸びており、家庭内個食ニーズも消費を押し上げている。また、百貨店や大手外食チェーンは高級冷凍食品での差別化に力を注いでおり、多様化するライフスタイルや消費ニーズの中でマーケットはさらに成長が期待される。
※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約440万社)から、2025年度の業績(2025年4月期~2026年3月期)を最新期とし、7期連続で業績が判明した冷凍調理食品製造業135社を抽出、分析した。

冷凍調理食品製造業、10億円以上50億円未満が約半数
冷凍食品メーカーの売上高分布は、最多が売上高10億円以上50億円未満で63社(構成比46.6%)。次いで、同1億円以上5億円未満の21社(同15.5%)、同5億円以上10億円未満の16社(同11.8%)と続く。100億円以上も15社(同11.1%)あった。
売上高伸長率は、最多が0~5%未満の38社(構成比28.1%)。次いで、▲5~0%未満が32社(同23.7%)、5~10%未満と10~100%未満が同数の23社(同17.0%)の順。市場が拡大するなか、増収が78社(同57.7%)と半数以上を占め、減収は51社(同37.7%)で横ばいは6社(同4.4%)だった。

黒字が微減も8割を維持
損益別では、黒字企業が111社(構成比82.2%)で8割を超えた。
2024年度は、黒字が112社(同82.9%)、赤字が23社(同17.0%)で、黒字企業の構成比はほとんど変化がない。
主な冷凍食品メーカー135社は売上高の合計が1兆円に迫るなか、利益を手堅く確保している。ただ、採算を確保できない企業も一定数あり、淘汰の伏線になっている。
冷凍調理食品メーカーの倒産が急増
2025年の冷凍食品メーカーの倒産(負債1千万円以上)は、2013年以降で最多の7件だった。休廃業・解散の7件を加えると14社が市場から撤退した。
市場は拡大をたどるが、コスト上昇分を十分に転嫁できないと利益確保が難しく、淘汰につながりやすい。
2025年に倒産した7件は、すべて「販売不振」が主因だった。また、コロナ禍の影響もまだ尾を引く企業もあり、コロナ関連倒産は2件(前年2件)発生した。
メーカー各社は複数回にわたり価格改定を繰り返すが、今後は価格競争だけでなく、企業体力の差が顕在化する局面を迎えている。
