「マッチングアプリ」は“出会い“のインフラに 運営会社数はコロナ前の7倍、広がるニッチ戦略
~ 2026年「婚活・恋活マッチングアプリ」企業動向調査 ~
20代、30代を中心に、真剣な恋活や婚活などの出会いの場として「マッチングアプリ」の利用が広がっている。
運営会社数は、2026年は35社(前年比25.0%増)で、コロナ前の2019年(5社)の7倍に増加した。
顔写真不要や通話重視、特定の職業・年代向けなど、利用者ニーズの細分化に対応した特化型サービスが相次いで登場し、市場規模は拡大をたどっている。一方で、サービス終了を決定する事業者も現れ、市場拡大の裏では淘汰も加速している。
「アプリで出会いました」。そんな会話が自然な時代風潮になりつつある。
『With』、『Omiai』を提供する(株)エニトグループ(TSRコード:294770496、東京都)とマッチングアプリメディア事業を手がける(株)Parasol(TSRコード:023568984、東京都)の共同調査で、マッチングアプリ利用を周囲に伝えた際の反応は、「ポジティブな反応だった」は2023年の55.6%から2026年は61.7%へ上昇した。一方、「ネガティブな反応だった」は27.8%から17.5%へ低下した。世間のマッチングアプリへの抵抗感は薄れ、受容は進んでいるようだ。
また、こども家庭庁の「令和6(2024)年度 若者のライフデザインや出会いに関する意識調査」では、既婚者が結婚相手と出会った場所・機会は、マッチングアプリが25.1%で最も多く、出会いのインフラとして定着しつつある。
当初、マッチングアプリは幅広い利用者層を対象にしていた。だが、近年は利用者ニーズを細分化し、特定の価値観やライフステージに着目した特化型アプリが増えている。顔写真でなくアバターを介した交流、再婚希望者、シニア層に対象を絞ったサービスなど、多様なアプリが登場し、市場のニッチ化に伴うニーズへの対応力を深めている。
ただ、市場拡大に伴い利用者の獲得競争はますます激化しており、サービス終了に追い込まれるアプリも出現している。利用者ニーズの細分化が進むなか、事業者には独自の強みを打ち出す差別化戦略がこれまで以上に求められている。
※ 本調査は、東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース(約440万社)から、「婚活・恋活マッチングアプリ」を事業内容に含む企業を抽出、分析した。
2026年の運営会社数は前年比25.0%増
マッチングアプリの運営会社は、コロナ禍の2021年から増加が顕著となった。2026年の運営会社数は35社(前年比25.0%増、前年28社)で、過去最多を記録した。
増加が続く背景には、特定ニーズに対応した特化型アプリの台頭があり、アプリのコンセプトやターゲット層のニッチ化が進んでいることが挙げられる。
一方、(株)サイバーエージェントの子会社、(株)タップル(TSRコード:300377070、東京都)が提供していた『Koigram』は2026年4月でサービスを終了した。市場拡大の裏で新陳代謝が加速し、競争環境は厳しさを増している。
マッチングアプリの普及が進む一方で、利用者獲得競争は激しさを増している。今後は、利用者の多様なニーズを捉えた独自性の高いサービスを提供できるかが、競争力を左右する鍵になるとみられる。

資本金別 小資本での参入が多い
資本金別では、1百万円未満と1百万円以上5百万円未満が各10社(28.5%)で最も多く、次いで、1千万円以上5千万円未満が7社(20.0%)で続く。
5百万円未満は20社(57.1%)と6割近くに達し、小資本での参入が多いことを示している。
1億円以上は(株)タップル(TSRコード:300377070、資本金1億2,000万円、東京都)の1社だった。

地区別 都内集中が顕著
関東が28社(80.0%)で突出している。次いで、近畿、九州が各2社(5.71%)だった。
関東の28社のうち、27社が東京都に集中し、運営会社の東京一極化が顕著だった。
これはIT人材を確保しやすいことに加え、ベンチャーキャピタルや金融機関が集積し資金調達環境が充実していること、さらに広告企業やシステム開発会社など関連事業者との連携が図りやすいことが背景にあるとみられる。
マッチングアプリ事業はシステム開発やマーケティングへの継続的な投資が不可欠で、経営資源が集中する東京都に本社を構える企業が多いとみられる。

業歴別 業歴浅い企業は独自路線化へ
業歴別では、3年以上10年未満が18社(51.4%)でトップ。次いで、1年以上3年未満が8社(22.8%)、10年以上20年未満が6社(17.1%)の順だった。
10年未満が27社(77.1%)と約8割を占めた。
業歴が浅い企業では、Goens(株)(TSRコード:695583476、設立2022年、愛知県)が50歳以上をターゲットとするなど、独自コンセプトを持つアプリを展開する企業が多く見受けられた。
古参企業や規模の大きい企業に対し、ニッチを埋める特化型コンセプトで対抗している。

