「モームリ」前社長らに有罪判決、退職代行サービスは転機に
8月28日、東京地裁は報酬目的で業務を弁護士に紹介した容疑などに問われていた退職代行サービス「モームリ」運営の(株)アルバトロス(TSRコード:694377686、横浜市、以下モームリ)の法人と前社長の谷本慎二被告らに有罪判決を言い渡した。
判決は、法人が罰金200万円、谷本被告は懲役2年、執行猶予3年(求刑・懲役2年)とした。
判決を受け、モームリは同日、「本件は紹介料の受領に関する判決であり、サービス自体に対する司法判断ではありません」とリリースし、サービスを継続している。だが、時代の寵児として扱われた退職代行ビジネスは大きな転機を迎えている。
東京商工リサーチ(TSR)が今年4月に実施した「退職代行に関する企業向けアンケート調査」では、企業の30.4%が退職代行サービスに非弁行為の危険性をあげた。また、弁護士や労組以外の「退職代行」サービス業者から連絡があっても、3割(30.4%)の企業が取り合わないと回答した。
この問題は根深く、サービス手法を問われる退職代行サービス業者も出てきそうだ。
TSRの企業データベースで、営業項目に「退職代行」を掲げる企業は、弁護士法人を除き、56社(2026年5月時点)ある。
56社すべてが設立10年未満と業歴が浅いのが特徴だ。最も多い設立年は2025年の32社で、ブームに便乗した参入ラッシュがうかがえる。
都道府県別では東京都が最多の20社で、大阪府と愛知県が各6社と大都市が中心だが、多くの地方都市でも確認できた。
市場規模が拡大すると見られた退職代行サービスだが、以前からサービスの一部に非弁行為が含まれる危険性を指摘されていた。
東京弁護士会は2024年11月、「退職代行サービスと弁護士法違反」と題する注意喚起をホームページ上に掲げ、「退職代行サービスの利用を考える際には、退職だけでなく、退職に関係して発生する法律的な問題にも目を向ける必要があります」と注意を呼び掛けていた。
業界最大手の「モームリ」らに対する今回判決で、退職代行業者はコンプライアンスの徹底を改めて問われている。
法令を遵守すると、法律事務となる残業代や有休消化の交渉などは行えず、退職代行サービス業者は、あくまで企業に退職の意思を伝える役割にとどまる。
すでに、退職代行サービス業者とほぼ同様の料金で広告する弁護士法人もある。退職代行は、代行サービス業者、労組、弁護士が相まみえる市場になりつつあり、今後は淘汰の波が押し寄せる可能性もある。

モームリのアドトラック(2025年6月TSR撮影)