• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

「ペット・ペット用品小売業」 好調から苦戦へ 利益はコロナ禍前から4割減、売上高も鈍化

~ 2025年度「ペット・ペット用品小売業」業績動向調査 ~

 コロナ禍の巣ごもり需要で成長したペット市場だが、物価の上昇が続き変化が生じている。
 全国の主なペット用品販売業98社の2025年度売上高合計は、2,417億円(前年比0.5%増)で2020年度から6期連続の増収を果たした。だが、伸び率は鈍化し、成長にブレーキがかかった。一方で、利益は19億円(同53.6%減)に半減するなど、コスト上昇が重くのし掛かっている。
 コロナ禍の2020年度に売上が前年比13.6%増と急成長したペット市場は、2023年度が同2.6%増、2024年度が同1.2%増、2025年度が同0.5%増と急減速している。売上高は物価高に伴う値上げで嵩上げされた側面もあり、実情では売上増がコスト増に追いつかず、利益は2期連続で大幅な減益となった。
 こうした状況を背景に、2026年1-7月のペット・ペット用品小売業の倒産(負債1,000万円以上)は、前年同期と同じ10件と高止まりしている。また、2025年(1-12月)の休廃業・解散は48件で、最多を更新したが、この流れは2026年も続く可能性が高い。
 
 一般社団法人ペットフード協会によると、2024年度の出荷量は前年比1.0%減で、3年連続で減少した。ただ、出荷総額は同105.6%と9年連続で増加した。この要因について同協会は、値上げの影響で出荷総額は前年以上の成長をしたと説明する。
 減益については、「原材料高の影響、また製品の44%が輸入品で、これまで輸入品は価格競争力に優れていたが、円安の影響でそうではなくなった」と分析する。原材料高や円安の影響について、「直近2期は市場が2ケタ成長してきたが、最新期は2ケタにならない可能性もある」と危機感を示す。価格転嫁が進んでもコスト増がそれを上回る状況で、先行きに暗雲が広がっている。
※本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約440万社)から、2025年度の業績(2025年4月期~2026年3月期)を最新期とし、7期連続で業績が判明した98社を抽出、分析した。


ペット・ペット用品小売業 売上高が鈍化、利益はコロナ禍から7割減

 全国のペット・ペット用品小売業98社の売上高合計は2,417億円(前年比0.5%増)で、鈍化が鮮明になった。また、利益もコスト上昇の直撃を受け、2024年度は41億円(前年比29.5%減)だった、2025年度は同19億円(同53.5%減)と半減し、2期連続で大幅減益に追い込まれた。
 コロナ禍の2021年度の利益は66億円で、コロナ禍前の2019年度の32億円から2倍に伸長した。だが、2025年度にはコロナ禍の2021年から7割(70.8%減)の減益で、コロナ禍前の2019年度の32億円も下回った。
 急成長をたどったペット市場は、物価高で成長が鈍化している。これはペットを慈しむ飼い主の行動の変化を反映しており、今後は飼い主が時間と工夫で家計を守りながら、ペットの健康管理にも気を付けることが必要だろう。

ペット・ペット用品小売業の業績推移

ペット・ペット用品小売業の休廃業・解散、倒産が急増

 2025年のペット・ペット用品小売業の休廃業・解散と倒産(負債1,000万円以上)の合計は、64件(前年比45.4%増)で前年から急増した。休廃業・解散を集計開始した2013年からの12年間で最多だった。
 2026年1-7月の倒産は10件で、前年同期と同数のハイペースで推移している。原因別では、すべて「販売不振」で、前年同期から42.8%増加した。従業員数別は、5人未満が9件(90.0%)で小規模の倒産が目立った。
 市場全体の成長が鈍化し、利益も2期連続で大幅減益となったことで、今後も休廃業・解散や倒産の増加が懸念される。コロナ禍の巣ごもり需要で広がった市場も、出社回帰や原材料高、円安などの影響で厳しい経営環境にさらされている。また、小規模の事業者が多いだけに、市場の安定成長にはより安いペットフードや用品の調達先の開拓なども求められる。

ペット・ペット用品小売業の休廃業・解散、倒産件数(年次推移)

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「最低賃金」改定で、51.3%の企業が「給与変更」 2020年代の1,500円 「対応不可能」が4割切る

厚生労働省は9月3日、2026年度の全国の最低賃金額(平均)を1,177円(56円増)に引き上げた。 1978年度に目安制度が始まって以降、平均引き上げ額56円は前年度に続き2番目の高さで、これを受けて給与改定を迫られる企業が半数に達することがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

1-9月「医療機関」倒産 過去最多の59件 身近なクリニック、歯科医院で苦境が鮮明

医療機関の倒産が再び勢いを増している。2026年1月-9月に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は59件(前年同期比28.2%増)と、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

「税金滞納」倒産が168件、前年同期の2倍に大幅増 2026年度上半期の「税金滞納」倒産 破産が97.6%

2026年度上半期(4-9月)の「税金滞納(社会保険を含む)」倒産は、168件(前年同期比100.0%増)と、前年同期の2倍に達し、この10年で最多を記録した。物価や人件費などのコストアップが企業収益を圧迫し、納税原資を確保できない小・零細企業の行き詰まりに拍車を掛けている。

4

  • TSRデータインサイト

「社会保険の適用拡大」 中小・零細企業ほど負担増 企業の44.9%が「働き控え」懸念、「未対応」も半数

2026年10月から非正規従業員にも社会保険の適用が拡大された。「月収8万8,000円以上」の賃金要件が撤廃され給与額に関わらず条件を満たす社員は、新たに厚生年金や健康保険の加入対象となる。10月1~8日企業を対象に「社会保険適用の基準変更」に関するアンケート調査を実施した。

5

  • TSRデータインサイト

2026年1-9月「デイサービス」倒産47件 同期間で過去最多、介護業界の苦境鮮明

デイサービスなど「通所・短期入所介護事業」の倒産が増加している。2026年は9月までに47件(前年同期比34.2%増)と大幅に増加し、1-9月で過去最多を更新した。多様化するサービスなど、他社との競争が激化するほか、物価高に人手不足も重なり、苦境が深まっている。

TOPへ