2026年上半期「監査法人の異動」上場企業は91社 過去2番目の低水準、異動理由は「監査期間」が最多
~2026年上半期 上場企業の「監査法人異動」調査 ~
国内の証券取引所に株式上場する約3,800社のうち、2026年上半期(1-6月)に「監査法人異動」を開示した上場企業は91社(前年同期比42.0%減)だった。
上半期では、2年ぶりに100件を下回り、調査を開始した2019年以降、2024年同期の83件に次ぐ2番目に低い水準となった。
監査法人の異動理由は、「監査期間」が42社で最も多く、コーポレートガバナンスの強化から定期的な監査法人の見直しが実施されていることを示している。また、自社の規模に見合う監査法人を選任する流れも強まり、退任監査法人では大手4社が上位に並んだ。
異動した監査法人の規模別は、最多が「中小から中小へ」が30社(構成比32.9%)。次いで、「大手から中小へ」、「大手から準大手へ」が各16社(同17.5%)、「大手から大手へ」が11社(同12.0%)で続く。
このほか、企業規模の拡大などを背景にした「中小から大手へ」(2社)、「中小から準大手へ」(4社)もあった。
監査法人が異動した上場企業の業種別は、最多が「製造業」の36社(構成比39.5%)だった。以下、「運輸・情報通信業」22社(同24.1%)、「サービス業」17社(同18.6%)の順。
ことし7月、準大手監査法人の仰星監査法人と三優監査法人が統合に向けて検討を開始した。監査品質に対する社会的要請の高度化、規制等の厳格化、人材確保の激化などが背景にあるなか、合併で社会・資本市場および企業に対し、より高い付加価値を提供できるとしている。
会計監査人の人手不足による監査法人の異動も散見されるが、AIなどの技術を活用した効率化や厳格化する監査手続きへの対応には、監査法人も一定の規模が必要となっている。監査品質の向上を目的とした業界再編は、今後も進むとみられる。
※本調査は、2026年上半期に「監査法人」「会計監査人」「公認会計士」の異動に関する適時開示を行った企業を集計した。
※大手監査法人はEY新日本有限責任監査法人、有限責任あずさ監査法人、有限責任監査法人トーマツ、PwCJapan有限責任監査法人の4法人、準大手監査法人を仰星監査法人、三優監査法人、太陽有限監査法人、東陽監査法人の4法人、その他を中小監査法人とした。
※業種分類は、証券コード協議会の業種分類に基づく。上場の市場は、東証プライム、スタンダード、グロース、名証プレミア、メイン、ネクスト、札証、アンビシャス、福証、Q-Boardを対象にした。2018~2021年は旧市場で分類した。

異動理由 「監査期間」が最多の42社
監査法人の異動理由別では、最多が「監査期間」の42社(構成比46.1%)だった。次いで、「監査報酬」の26社(同28.5%)、「会計監査人の辞任、監査人名簿への登録拒否等」の13社(同14.2%)が続く。
監査期間が長期にわたるケースや、会社の事業規模に適した監査対応と監査報酬の相当性を理由にあげるケースなどが目立った。
「その他」では、企業の役員変更に伴い、監査法人が監査を辞退するケースもある。
「監査法人の合併」による異動は、PwCあらた監査法人(東京都千代田区)が、PwC京都監査法人(京都市下京区)を吸収合併し、「PwC Japan有限責任監査法人」としてスタートした2023年の83件(下半期)以降、低水準で推移し、2026年上半期はゼロだった。

監査法人の異動規模 「中小から中小へ」が30社で最多
監査法人の異動規模は、「中小から中小へ」が30社(構成比32.9%)で最も多かった。 次いで、「大手から中小へ」、「大手から準大手へ」が各16社(同17.5%)、「大手から大手へ」が11社(同12.0%)と続く。
中小から中小への異動が最も多いが、構成比は2025年の64社(構成比40.7%)から7.8ポイント減少した。自社の規模に適した監査報酬にするため、大手から中小の監査法人へ変更するケースが目立つ。
「その他」では、監査法人の選任が未定の場合や、グローバル展開などを見据えた業務拡大などで、中小から大手の監査法人への異動などのケースもあった。
