• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

「焼肉店」の倒産が高止まり、「ヤキニクの日」食べる支援も一案

 換気能力の高さから、コロナ禍で脚光を浴びた「焼肉店」が淘汰の波に揉まれている。2026年1-8月(20日まで)の「焼肉店」倒産は29件に達した。年間最多(59件)を記録した前年同期の35件に次ぎ、2009年以降、2024年同期と並ぶ2番目の高水準だ。
 円安による輸入肉の高騰に加え、ガスや電気などの光熱費、人件費などのコスト上昇が追い打ちを掛けている。一方、競争力の乏しい「焼肉店」では、客足に直結する値上げは簡単ではない。  
 「焼肉店」は、価格や肉質、接客、サービスなどを高次元でバランスさせる必要がある。生き残り競争はシビアになっている。



 2026年1-8月の「焼肉店」倒産(負債1,000万円以上)は、29件(前年同期比17.1%減)に達した。
 従業員数10名未満、資本金1千万円未満(個人企業含む)は、それぞれ28件(構成比96.5%)で、小規模店の倒産が多い。
 また、24件(同82.7%)が負債5,000万円未満で、資金力の乏しい小規模店に倒産が集中している。原因別では、販売不振が24件(同82.7%)で最も多い。
 コロナ禍で飲食業界は大打撃を受けたが、高い換気能力と「ひとり焼肉」ブームで「焼肉店」は勝ち組の筆頭格だった。ところが、他業態の大手飲食店が参入すると様相が一変、一気に競争が激化した。

 焼肉店の倒産 件数推移


 大手組は「焼肉店」の出店を加速し、低価格や食べ放題を前面に打ち出すほか、希少部位の提供などで客層を広げている。
 さらに高級和牛、高単価メニューの開発にも力を注ぎ、積極的に人気を訴求している。
 一方、小・零細規模の「焼肉店」は食材の価格高騰に加え、運営コストの上昇が収益を圧迫し、人手不足も深刻さを増している。
 特に、家族連れが主力の焼肉店は、仕入コストの上昇分を安易に価格転嫁しても、値上げが客離れに直結する。物価高と客足の板挟み解消に妙薬はなく、倒産に追い込まれる小規模な「焼肉店」が増え続けている。



 8月29日は「ヤキニクの日」。1993年に事業協同組合全国焼肉協会が制定した。焼肉でスタミナをつけ、夏バテ防止を促す狙いがあるという。
 飲食業の経営は客単価と客数に大きく左右される。苦境の焼肉店が倒産・廃業した後に嘆いても仕方ない。まだまだ猛暑日が続くだけに、近所の焼肉店でスタミナをつける頃かもしれない。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2026年8月28日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

一般社団法人日本ショートスリーパー育成協会(東京)が解散

一般社団法人日本ショートスリーパー育成協会(TSRコード: 017886082、法人番号: 6011005006736、渋谷区)は10月26日、官報に同協会の解散を公告した。

2

  • TSRデータインサイト

「社長の住む街」 「赤坂」が14年連続で全国トップ 「港区」は住民の6人に1人、 「福岡市中央区」も人気

全国の「社長の住む街」トップは、14年連続で「港区赤坂」の4,709人だった。前年から113人増えた。2位は「新宿区西新宿」の4,038人で、初めて4,000人を突破した。3位は「港区六本木」の3,638人だった。

3

  • TSRデータインサイト

1-9月「医療機関」倒産 過去最多の59件 身近なクリニック、歯科医院で苦境が鮮明

医療機関の倒産が再び勢いを増している。2026年1月-9月に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は59件(前年同期比28.2%増)と、過去最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

佐川急便の個人情報漏えい、過去最多の5,323万件

佐川急便(株)(TSRコード:641070357、京都市南区)は10月23日、Webサイトの「お荷物問い合わせサービス」への第三者による不正アクセスについて、流出した可能性のある個人情報の件数が最大約5,323万件(重複を含む)に及ぶことを発表した。

5

  • TSRデータインサイト

滋賀銀・池田泉州銀の統合検討 メインバンク取引社数は金融グループ17位に

地銀再編が各地で本格化してきた。TSR「2026年メインバンク」調査で、「滋賀銀行」(滋賀県:メインバンク取引社数1万799社、金融G取引社数順位27位)と、「池田泉州銀行」(大阪市:同9,085社、同37位)を傘下に持つ池田泉州ホールディングスの2行が経営統合を検討していることを発表した。

TOPへ