26年3月期の「中小企業等向け貸出」 初の400兆円超 金利上昇で全業態が伸ばす、大手行が前年比7.4%増
~ 国内銀行103行「中小企業等・地方公共団体向け貸出金残高」調査 ~
国内銀行103行の2026年3月期の総貸出金残高は、過去最高の601兆4,033億円(前年比4.7%増)に達した。3月期では2012年から15年連続で伸ばし、初めて600兆円台に乗せた。
このうち、中小企業等向け貸出金は405兆2,113億円(同5.3%増)、地方公共団体(以下、地公体)向け貸出金は40兆3,153億円(同3.1%増)で、それぞれ過去最多を記録した。
金利が上昇局面に入り、銀行貸出の伸びが収益に反映されるようになった。ただ、業績回復が遅れた企業は多い。物価や人件費などの上昇で収益力が低下するなか、金利上昇は収益を直撃するだけに、銀行はリスクを取りながら企業支援にどう取り組むか注目される。
中小企業等貸出金残高は、大手行が161兆2,171億円(前年比7.4%増)、地方銀行が199兆1,661億円(同4.1%増)、第二地銀が44兆8,280億円(同3.1%増)と、各業態で過去最高となった。
総貸出金に占める中小企業向け貸出金の比率は67.37%(前年67.03%)で、4年ぶり前年を上回った。
銀行は貸出金利の引き上げに動き、採算重視の貸出に変化しつつある。今後も貸出金利は上昇が見込まれており、銀行の行動変化を前提に、企業も収益確保に向けたビジネスモデルの見直しが急務になっている。
※本調査は、国内103銀行の2026年3月期決算で、「地方公共団体向け」と「中小企業等向け」の貸出金残高を前年と比較、分析した(りそな銀行、沖縄銀行は信託勘定を含む)。「中小企業等」は、個人向け貸出を含む。
中小企業等向け貸出金残高は過去最高、貸出比率は4年ぶり上昇
2026年3月期の中小企業等向け貸出金残高は、405兆2,113億円(前年比5.3%増)だった。3月期では2012年以降、15年連続で貸出金が伸びており、初めて400兆円台に乗せた。
総貸出金残高に占める中小企業等貸出金残高の比率は67.37%(前年67.03%)で、4年ぶりに上昇した。
日本銀行は2024年3月、マイナス金利を解除した。2024年7月、2025年1月、同12月にそれぞれ政策金利を0.25%引き上げ、2026年6月に政策金利は1%程度まで引き上げられた。
この前後から銀行の貸出金利は上昇し、銀行は貸出金の伸びが収益に直結するようになった。銀行間で広がった低金利の貸出競争は終焉を迎え、採算を意識した貸出に変わったが、水面下ではメリハリのある貸出に移りつつある。
ただ、コロナ禍を経て過剰債務を抱えた中小企業は多く、さらに物価や人件費などのコストアップが企業収益に悪影響を与えている。事業再生の流れが広がるなかで、リスクを取りながら貸出を増やし、企業育成にどこまで寄与できるか銀行の力量が試されている。
【業態別】中小企業等向け貸出金 全業態で過去最高に
中小企業等向け貸出金残高は、大手行が161兆2,171億円(前年比7.4%増、11兆1,603億円増)で、2010年3月期以降で初めて160兆円台に乗せた。また、地方銀行は199兆1,661億円(同4.1%増)、第二地銀も44兆8,280億円(同3.1%増)と、過去最高となった。
中小企業等向け貸出の伸びは、大手行が全7行(前年5行)、地方銀行が61行のうち57行(同53行)、第二地銀が35行のうち28行(同27行)の合計92行(同85行)に増えた。
貸出比率は、大手行が60.95%(前年59.79%)と4年ぶりに上昇した。一方、地方銀行は71.62%(同71.81%)で2年連続、第二地銀は76.15%(同76.61%)で4年連続で前年を下回った。
コロナ禍から円安が進み、物価高や人件費上昇が企業収益を圧迫するなかで、2024年3月には日本銀行がマイナス金利政策を解除した。これにより貸出金の伸びが収益に反映するようになり、積極的に貸出を伸ばしているが、大手行の伸びが地銀を圧倒している。
貸出金残高の伸び率の最高は、SBI新生銀行の前年比18.8%増で唯一、10%を超えた。
貸出比率の最高は、第二地銀の佐賀共栄銀行の97.74%(前年96.81%)で、地方銀行トップの関西みらい銀行は90.94%(同91.37%)で全体の5番目、大手行トップはりそな銀行の73.00%(同73.11%)で同58番目だった。最低は東邦銀行の48.83%(同49.86%)で唯一、50%を下回った。

地公体向け貸出金 貸出比率は3年連続で低下
地公体向け貸出金残高は40兆3,153億円(前年比3.1%増)で、3年ぶりに前年を上回った。ただ、貸出比率は6.70%(前年6.80%)にとどまり、3月期では2023年の7.43%から3年連続で低下した。総貸出金残高の伸びが大きく、相対的に比率低下につながった。
地公体向け貸出金が前年を上回ったのは53行(構成比51.4%、前年41行)で、前年より12行増えた。内訳は大手行3行(前年4行)、地方銀行32行(同24行)、第二地銀18行(同13行)。
貸出比率の上昇は38行(構成比36.8%、前年28行)で、大手行3行(前年3行)、地方銀行17行(同15行)、第二地銀18行(同10行)だった。
地公体向け貸出比率の最高は、熊本銀行の38.01%(前年34.56%)。次いで、十八親和銀行の30.41%(同30.62%)、青森みちのく銀行の27.59%(同28.01%)の順。
貸出比率が30%以上は2行、同20%以上30%未満は8行で、前年と同数だった。
