「女性社長」 72万132人、初めて70万人突破 16年間で3.4倍増、女性社長率トップは沖縄県
第15回 2026年「全国女性社長」調査
全国の約450万社のうち、女性社長が72万132人(前年比5.1%増)に達し、過去最多を更新したことがわかった。前年から3万5,463人増え、全社長の15.8%(前年15.5%)を占めた。女性社長は、調査を開始した2010年は21万2,153人で、全体の10.1%にとどまっていた。それから16年間で約3.4倍(239.4%増)に増え、初めて70万人を超えた。
都道府県別で、最多は東京都の18万4,688人、最少は島根県の1,818人で、100倍以上の差があった。また、女性社長率は、沖縄県が20.8%で唯一、20%を超えた。最低は、新潟県の10.1%だった。
女性活躍推進の浸透で、女性が活躍する場が広がっている。創業支援や事業承継支援に加え、企業や地域金融機関などでの人材育成の取り組みも進み、女性社長の躍進につながっているようだ。
女性社長の増加は、地域経済の活性化やイノベーション創出、さらに深刻な後継者難への対応という観点からも意義が大きい。ただ、仕事と家事、育児などのライフイベントとの両立には、周囲の支援・協力が欠かせない。女性の起業、経営参画への後押しには、資金調達や事業支援に加え、育児・介護支援の充実や働き方改革など、社会全体で挑戦を支える環境整備が求められる。
女性経営者の活躍を一過性の動きに終わらせず、持続的な成長につなげられるかどうか、社会に課された理解が問われている。
※本調査は、東京商工リサーチの保有する約450万社の企業データベースから、経営者情報(個人企業を含む)のうち、女性社長(病院、生協などの理事長を含む)を抽出し、分析した。調査は今回が15回目(前回は2025年10月27日発表)。

女性社長率 過去最高の15.8%、都道府県別は沖縄県の20.8%が最高
2026年の全国の女性社長は72万132人(前年比5.1%増)で、初めて70万人を突破した。全国の社長の15.8%(前年15.5%)を占め、女性社長率は過去最高を更新した。都道府県別では、最多が東京都の18万4,688人(前年17万5,258人)で、18万人台に乗せた。次いで、大阪府、神奈川県、愛知県、福岡県の順で、企業数が多い大都市圏が上位に並ぶ。
一方、最少は島根県の1,818人(同1,768人)。前年から2.8%増えたが、全国で唯一、2,000人に届かなかった。次いで、鳥取県2,354人、福井県2,544人、高知県2,709人、佐賀県2,846人の順。41位の秋田県2,928人から7県が3,000人を下回っている。
2026年1月1日現在の女性人口との対比では、10万人当たりの女性社長は東京都の2,577人が最多で唯一、2,000人を超えた。次いで、沖縄県が1,534人、大阪府が1,521人、山梨県が1,506人の順。一方、最少は新潟県の532人で、以下、島根県554人、山形県562人の順。
都道府県別の「女性社長率」(全社長数に対する女性社長の割合)は、最高が沖縄県の20.8%(前年20.6%)で唯一、20%を超えた。次いで、茨城県18.1%、山梨県17.8%、東京都17.7%と続く。一方、前回は10%を下回っていた新潟県10.1%(同9.9%)と山形県10.3%(同9.9%)の2県も10%を超え、すべての都道府県が10%台に乗せた。
地区別 「女性社長率」16%超は3地区
地区別の「女性社長率」トップは、関東が16.62%(前年16.3%)で、前年トップだった近畿の16.60%を抜いた。次ぐ九州16.2%までの上位3地区が16%を超えた。以下、中国15.2%、北海道14.7%、四国14.2%、中部14.0%、東北13.5%、北陸12.0%と続き、すべての地区で前年の女性社長率を上回った。「女性人口10万人当たり」の女性社長数は、関東が1,430人(同1,351人)で最多。2位の近畿1,188人(同1,130人)、3位の九州1,015人(同969人)までが1,000人を超えた。以下、中国898人、北海道878人、四国866人、中部856人、北陸758人、東北757人の順。
女性社長数の増加率は、北海道が前年比11.0%増で最も高く、関東(前年比5.8%増)の上位2地区が全国平均(同5.1%増)を上回った。一方、中国(同3.5%増)と中部(同3.8%増)の2地区は低調で、4%未満だった。
産業別 女性社長の過半数が「サービス業他」で活躍、女性社長率は不動産業がトップ
女性社長が最も多い産業は、「サービス業他」の36万5,522人(構成比50.7%)で、全体の過半数を占めた。飲食業や美容業、介護関連など女性の活躍が目立つ業種を含み、前年に続いて最多となった。次いで、不動産業10万6,675人(同14.8%)、小売業7万80人(同9.7%)、製造業4万3,004人(同5.9%)、卸売業4万66人(同5.5%)と続く。
「女性社長率」は、不動産業が25.3%で最も高く、4社に1社以上を女性が率いる。次いで、サービス業他19.6%、小売業16.1%、情報通信業13.7%の順。
一方、「女性社長率」が最も低いのは、建設業で5.5%だった。このほか、農・林・漁・鉱業
8.4%、運輸業9.5%の順で低く、下位の3産業は10%を下回った。経営層に限らず、一般的に男性就業者の比率が高い産業で女性社長率は低水準にとどまっている。
女性社長の平均年齢は65.2歳、男性より1.5歳高い 年代別分布では70代が最多
女性社長の平均年齢(年齢判明分)は65.2歳で、男性社長の平均63.7歳より1.5歳高かった。産業別では、不動産業が67.9歳で最も高く、小売業67.5歳、建設業66.4歳、卸売業65.9歳、運輸業64.8歳、製造業64.5歳が続く。一方、情報通信業は55.5歳(前年57.3歳)で唯一、60歳を下回った。年代別の分布は、70代が24.8%で最も多い。以下、60代24.3%、50代21.6%、80代以上15.3%、40代10.0%、30代3.2%、20代以下0.4%の順。
産業別は、農・林・漁・鉱業、建設業、卸売業、小売業、不動産業で70代の社長が多い。一方、運輸業は唯一、50代の社長が最も多かった。また、情報通信業は、20代以下4.1%、30代12.1%と若い世代が際立った。
業種別 若さが際立つIT関連、女性社長率は生活関連サービスが上位に
女性社長の平均年齢を業種別にみると、最も若かったのは「移動電気通信業」の43.5歳だった。続いて、「アプリケーション・サービス・コンテンツ・プロバイダ(ASP)」が43.6歳、「ゲームソフトウェア業」が43.7歳と、上位をIT・デジタル関連業種が占めた。「パッケージソフトウェア業」(48.1歳)や「ポータルサイト・サーバ運営業」(48.5歳)も上位に入り、デジタル分野で若い女性経営者の活躍が目立つ結果となった。また、「アニメーション制作業」(49.7歳)、 「芸術家業」(49.8歳)、「助産所」(50.0歳)も上位に入り、新しい技術や専門性を生かした分野で女性の起業・経営進出が進んでいることを示している。
業種別の女性社長率は、「助産所」が93.0%と、ほぼ女性が経営の中心を担っている。続いて、「母子健康相談施設」77.7%、「芸ぎ業」76.0%と、女性の専門性や経験が生かされる業種が上位に並んだ。
上位業種は、医療・福祉、生活支援、教育・文化サービスなどが目立ち、女性ならではの知見や顧客との密接な関わりが求められる分野で、女性社長の存在感が高いことを示す結果となった。
規模別 女性社長は売上高、従業員数ともに小規模傾向、7割超が売上1億円未満
売上高や従業員数が判明した企業を分析した。売上高別の最多は、1億円未満が71.1%で7割を占める。男性社長の同レンジは59.6%で、女性社長が11.5ポイント上回る。次いで、1億円以上5億円未満が22.2%(男性社長27.5%)で続き、5億円未満が93.3%(同87.1%)と9割超を占めた。
一方、100億円以上は0.23%にとどまり、男性社長の1.0%とは約5倍の差があった。このほか、50億円以上100億円未満は0.27%(同0.8%)で、50億円以上は0.5%(同1.8%)にとどまる。
従業員数別では、女性社長は最多が5人未満の68.1%だった。男性社長の58.2%を9.8ポイント上回る。このほか、5人以上10人未満が15.3%(同18.7%)、10人以上20人未満が8.8%(同10.7%)、20人以上50人未満が5.1%(同7.2%)、50人以上300人未満が2.3%(同4.2%)、300人以上が0.2%(同0.7%)の順。
売上規模、従業員数とも女性社長の企業は、男性社長より小規模の傾向があるようだ。
女性社長に最も多い名前は「和子」 15回連続でトップを守る
女性社長の名前は、1位が「和子」の6,657人だった。本調査では15回連続のトップで、不動の地位を守る。女性の生まれ年別では、昭和初期から昭和27(1952)年まで最も多い名前で、女性社長にもその傾向が表れている。次いで、「幸子」6,290人、「洋子」6,074人、「裕子」5,699人、「陽子」5,040人と、上位5位が5,000人を超える。このほか、3文字では「久美子」4,863人、「由美子」4,456人が名を連ねる。年代別では、70代・80代以上では全体1位の「和子」、60代では「裕子」、50代では「陽子」、40代では「智子」、30代以下では「愛」が最も多かった。

出身大学別 日本大学がトップを守る、上智大学、中央大学、法政大学が浮上
女性社長の出身大学は、卒業生が日本一多い日本大学が489人(前年499人)でトップだった。2位は慶應義塾大学466人(同433人)、3位は早稲田大学408人(同382人)で、年々、日本大学の牙城に接近している。このほか、東京女子医科大学314人、青山学院大学268人が続く。
東京都以外に本部を置く大学では、7位の同志社大学が223人で健闘している。
国公立大学は、6位の東京大学が239人で最も多く、14位に大阪大学147人、16位に広島大学141人、18位に九州大学135人、24位に神戸大学120人、26位に京都大学112人、29位に東京医科歯科大学107人、 30位に千葉大学105人、 31位に筑波大学104人が続き、9大学が100人を超えた。
