取引企業の増収増益率 CCIグループ北國銀行がトップ 三井住友銀行が唯一、メガバンクで取引社数増
~ 2026年 全国162万4,517社の“メインバンク“調査 ~
全国162万4,517社の“メインバンク”社数は、14年連続で三菱UFJ銀行(12万7,218社)がトップを守った。2位は三井住友銀行(10万2,557社)、3位はみずほ銀行(8万575社)で、メガバンクが上位を独占した。
3行の取引社数を前年と比べると、三菱UFJ銀行(46社減)とみずほ銀行(266社減)が減少し、三井住友銀行(前年比0.84%増、860社増)が唯一、増加した。2026年に三井住友銀行をメインバンクにした約3割の企業が設立5年未満で、中小企業や新設法人向け金融サービス「Trunk(トランク)」が寄与した可能性がある。
地銀の統合や再編が加速し、予定を含む1県1行体制は全国13県に増えた。2026年1月に八十二長野銀行が誕生し、5月に福井銀行と福邦銀行が合併。2027年1月にフィデアHD傘下の荘内銀行と北都銀行が合併しフィデア銀行が誕生する。同年4月には千葉銀行と千葉興業銀行が統合し「ちばFG」を発足する。ほか、第四北越銀行と群馬銀行(群馬新潟FG)、あいちFG(あいち銀行)と三十三FG(三十三銀行)、いよぎんHD(伊予銀行)と愛媛銀行、しずおかFG(静岡銀行)と名古屋銀行など、同県だけではなく、県をまたぐ統合も予定されている。
取引先の増収増益率ランキングは、CCIグループの北國銀行が初のトップに躍り出た。2位は北陸銀行、3位は宮崎銀行で、地域支援の効果が表れている。また、取引社数の増加率トップではGMOあおぞらネット銀行などネット銀行が台頭。SBI新生銀行は、大型融資に地銀14行と協定締結し今後20行超まで連携が広がる。業態を超えメインバンクの獲得競争が激化している。
※ 本調査は、東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースから2013年-2026年の各3月末の取引企業のメインバンクを集計した。商号変更や統合等は、2026月8月5日判明分までを採用。メインバンクが複数の場合、最上位行をメインバンクとした。
※ 統合した金融機関の統合前の社数は単純に合算し、順位は合算後の順位を採用した。
※ 1県1行体制は、経営統合や子会社化、合併の予定も含み、本店所在地を基に集計した。

業態別ランキング 銀行別では1万社超は1行増の37行に
メインバンクの取引社数の上位5位まで変動はなかった。6位の福岡銀行は7位の千葉銀行と入れ替わり、11位に長野銀行と合併した八十二長野銀行が17位から6ランクアップした。1万社超は、北國銀行が加わり、前年から1社増の37行となった。
信用金庫は、京都中央信金が9,126社で増加率は鈍化したがトップを堅持。2位の大阪シティ信金、3位の多摩信金、4位の尼崎信金、5位横浜信金は、順調に取引先を拡大した。
信用組合は、茨城県信組(3,129社)がトップ。2位の広島市信組は1,470社、3位の長野県信組は1,269社で、ともに社数を大幅に増やす。
その他では、ネットバンクのGMOあおぞらネット銀行が5位にランクインした。
都道府県別シェア ≪東日本≫
【北海道】全国5位の北洋銀行(シェア37.5%)が高シェアを維持するが、シェア率は微減。2位の「ほくほくFG」の北海道銀行(同15.7%)もシェア低下。3位の北海道信金(同5.7%)、4位旭川信金(同4.0%)、5位帯広信金(同3.6%)など、信金が健闘。
【東北】1県1行の青森は「青森みちのく銀行」が1万2,208社(同71.2%)で、シェア71.2%は全国2位も224社減。岩手トップは、秋田銀行と「秋田・岩手アライアンス」で連携する岩手銀行(同45.0%)。2位にSBI提携の東北銀行(同16.7%)、3位の北日本銀行(同15.8%)とシェア争いが続く。いずれも1万社以下で過半シェアはなく、再編に注目。宮城は、1万社超、シェア5割強の七十七銀行(同56.9%)が盤石。2位はSBI提携の「じもとHD」の仙台銀行(同13.3%)。秋田は、1位の秋田銀行(同53.9%)がシェア5割超。2位に山形の荘内銀行との合併でフィデア銀行となる予定の北都銀行(同28.9%)で、合併後は実質1県1行に。山形は、1万社超も過半シェアもなし。トップの山形銀行(同37.4%)、2位SBI提携の「じもとHD」のきらやか銀行(同23.6%)。3位の荘内銀行(同18.4%)は合併でフィデア銀行となる予定で、合併後の取引社数は岩手銀行や秋田銀行に肉薄する。福島は、1万社超の東邦銀行(同41.1%)がシェアを伸ばす。2位に東邦銀行が筆頭株主の大東銀行(同9.2%)、3位はSBI提携の福島銀行(同8.4%)。
【北関東】茨城は「めぶきFG」の常陽銀行(同47.8%)が1万社超で安定。2位にSBI提携の筑波銀行(同19.0%)、3位に信組全国トップ社数の茨城県信組(同9.7%)。栃木トップは「めぶきFG」足利銀行(同46.3%)が1万社超。2位は一定のシェアを持つ栃木銀行(同23.9%)で動きに注目、3位は群馬銀行(同3.9%)。群馬は、群馬銀行(同50.1%)が強固、第四北越FGと群馬新潟FGを設立予定。2位はしののめ信金(同8.1%)、3位の東和銀行(同6.7%)はSBI提携。
【首都圏】 埼玉は、りそなHDの埼玉りそな銀行(同28.3%)が約2万社でトップ。2位は千葉銀行と「千葉・武蔵野アライアンス」を組む武蔵野銀行(同12.0%)。千葉は、2万社超の千葉銀行(同41.1%)と3位の千葉興業銀行(同8.2%)が統合し「ちばFG」設立へ。2位の京葉銀行(同14.1%)が再編の鍵に。東京は、三菱UFJ銀行(同22.5%)、みずほ銀行(同20.3%)、三井住友銀行(同17.6%)の3メガが強い。神奈川は2万社近い横浜銀行(同21.6%)が地盤を固め、東日本銀行と神奈川銀行で「横浜FG」形成し、グループ含め実質1県1行体制。次の連携に注目。
【甲信越】新潟は、第四北越銀行(同59.5%)が高シェア。「群馬新潟FG」設立へ。2位にSBI提携の大光銀行(同11.4%)。山梨は、1県1行の山梨中央銀行(同56.8%)がトップ。長野は、1位の八十二銀行と2位の長野銀行が合併し、八十二長野銀行(同64.1%)が誕生し、1県1行体制。
【中部】岐阜は、1位の十六銀行(同33.4%)と2位の大垣共立銀行(同20.5%)が激しいシェア争い、3位の岐阜信金(同13.4%)も強い。再編の注目地域。静岡は、1万7,000社強の静岡銀行(同39.2%)がトップ、しずおかFGと名古屋銀行が統合へ。2位に浜松磐田信金(同10.7%)、3位しずおか焼津信金(同7.1%)など、信金も強い。愛知は、1位は三菱UFJ銀行(同22.7%)。2位のあいち銀行(同11.9%)までが1万社超え、あいちFGと三十三FGが統合へ。3位は静岡FGと統合予定の名古屋銀行(同10.8%)が続く。三重は、1万社に迫る百五銀行(同45.0%)がトップ。2位は三十三銀行(同27.5%)で、三十三FGとあいちFGが統合へ。

都道府県別シェア ≪西日本≫
【北陸】富山は、「ほくほくFG」の北陸銀行(シェア48.4%)がトップで、2026年の取引先の増収増益率ランキング全国2位。2位の富山第一銀行(同13.5%)、3位の富山銀行(同7.5%)が続く。1県1行の石川は、「CCIグループ」北國銀行(同54.0%)がトップで過半シェア、取引先の増収増益率1位に躍進。福井は、福邦銀行と合併した福井銀行(同56.6%)が圧倒し、1県1行。
【近畿】滋賀は、1万社近い滋賀銀行(同60.5%)が高シェア、1県1行。京都は、1万社超の「京都FG」京都銀行(同32.4%)がトップで1県1行。2位は信金トップの京都中央信金(同25.5%)も強い。大阪は、1位の三菱UFJ銀行(同18.8%)、2位の三井住友銀行(同18.5%)がシェア減。3位りそな銀行(同12.7%)と4位関西みらい銀行(同9.7%)は「りそなHD」で2行合計シェアは2割超え。兵庫は、三井住友銀行(同21.4%)がトップ。2位に「りそなHD」のみなと銀行(同12.4%)。奈良の南都銀行(同59.2%)、和歌山の紀陽銀行(同61.7%)はそれぞれ6割シェア。両県とも1県1行だが、1万社弱でスケールメリットが課題に。
【中国】山陰合同銀行が鳥取48.2%、島根66.8%と両県でトップ。鳥取の2位は鳥取銀行(同27.2%)。島根の2位は島根中央信金(同7.9%)、3位にSBI提携の島根銀行(同7.5%)。岡山は、1万社超の「ちゅうぎんFG」の中国銀行(同48.6%)が強固。2位にトマト銀行(同11.5%)。広島は、1万社超の「ひろぎんHD」の広島銀行(同39.6%)が安定。2位に「山口FG」もみじ銀行(同16.7%)。山口は、1万社弱の「山口FG」の山口銀行(同59.2%)が高シェア、2位は西京銀行(同13.2%)。静けさをみせる中国地区の再編動向に関心集まる。
【四国】徳島は、阿波銀行(同55.5%)がトップ。2位に「トモニHD」の徳島大正銀行(同21.2%)もシェア確保。香川は、1位の百十四銀行(同47.3%)、2位が「トモニHD」の香川銀行(同18.4%)。愛媛は、 四国で唯一の1万社超の「いよぎんHD」の伊予銀行(同57.4%)が盤石、2位の愛媛銀行(同18.5%)と、経営統合の方針を固め1県1行に、シェアは7割超え。高知は、1位の四国銀行(同51.2%)が過半超え、2位の高知銀行(同29.0%)もシェアが高い。各県トップ行は「四国アライアンス」で連携も、いよぎんHDと愛媛銀行の統合で再編の火蓋が切られたか。
【九州・沖縄】激戦続く福岡の1位「ふくおかFG」の福岡銀行(同37.7%)と2位「西日本FHD」の西日本シティ銀行(同32.2%)のシェア争い続く。3位に福岡ひびき信金(同3.9%)、4位にSBI連携外れた筑邦銀行(同3.5%)、5位は「ふくおかFG」の福岡中央銀行(同2.9%)。佐賀は、佐賀銀行(同56.7%)が高シェア維持。2位に佐賀共栄銀行(同7.4%)。長崎は、シェア全国トップの「ふくおかFG」の十八親和銀行(同82.7%)が1万社強で強固。2位にたちばな信金(同3.2%)、3位「西日本FHD」の長崎銀行(同3.2%)。熊本は、鹿児島銀行と「九州FG」を組む肥後銀行(同57.8%)が1万社超で安泰。2位に「ふくおかFG」の熊本銀行(同20.6%)。大分のトップは大分銀行(同51.5%)、2位に豊和銀行(同11.9%)。宮崎トップは、宮崎銀行(同59.9%)で増収増益率ランキング全国3位。2位に宮崎太陽銀行(同14.0%)。鹿児島トップは、「九州FG」で1万社超の鹿児島銀行(同52.9%)。2位に鹿児島相互信金(同11.9%)、3位に南日本銀行(同11.4%)。沖縄は、1位の琉球銀行(同41.5%)と2位「おきなわFG」の沖縄銀行(同38.9%)が激戦。3位は沖縄海邦銀行(同12.7%)、4位にコザ信金(同2.7%)が続く。

取引先企業の増収増益率ランキング 1位北國銀行、2位北陸銀行、3位宮崎銀行
金融機関別にメインバンクとなっている取引先企業(2025年1-12月期)の売上高、最終利益を対象に増収増益率を算出した。
取引企業の増収増益率は、「CCIグループ」の北國銀行(構成比「増収増益率」40.4%)が初のトップ。4年連続でトップ3に入る効果的な取引先支援について、「2024年に導入した業界別営業を通じて業界ごとの知見を蓄積しながら、事業性理解とコミュニケーションを重視した営業活動により、お客さまと課題を共有し、その解決に取り組んできた。CCIグループ(旧:北國FHD)が提供する金融・非金融の様々なソリューションによる支援が、お客さまの成長につながった結果と考えている。引続き、この取組みを継続・進化させていくことで、お客さま及び地域の持続的な成長に繋げていきたい」とコメント。ランキング常連の北國銀行の施策に学ぶ点も多い。
2位は「ほくほくFG」の北陸銀行(同37.9%)。北陸銀行は、「金融・非金融の融合によって地域・お客さまの課題解決力を深化させ、事業性貸出のみならず、事業承継・M&A、経営コンサルティング、SX推進等を通じた取引先の持続的成長支援、人材、DX・AI活用支援、ビジネスマッチングによる販路開拓支援など、最適なソリューションの提供に取り組んでいる」と支援効果が出ていると分析した。
3位は、2022年にトップだった宮崎銀行(同37.6%)。「地域から信頼される「First Call Bank」を目指し、お客さま一社一社の課題に向き合い、解決まで伴走してきた取り組みの成果だと受け止めている。今後も事業承継やDXをはじめ、経営課題の解決を通じて地域やお取引先の成長に貢献する」とコメントした。

倒産企業のメインバンク調査
各年度(4-3月)に倒産した企業(負債1,000万円以上)のメインバンク(判明分)を分析した。
社数では、取引社数も多い地方銀行が1,977社(構成比37.4%)。次いで、信用金庫が1,464社(同27.7%)、都市銀行の998社(同18.9%)、第二地銀の536社(同10.1%),信用組合の179社(同3.3%)、政府系金融機関やネット銀行などその他が126社(同2.3%)の順だった。
業態別メインバンクの取引社数を分母にして、2025年度の倒産企業数を除した「倒産比率」(その他除く)は、小・零細企業の取引が多い信用組合や信用金庫の倒産比率が高い。それだけ窮境状態にある小・零細企業への支援の裏返しと読み解くこともできる。倒産比率順では、信用組合の0.50%が最も高く、信用金庫の0.40%、第二地銀の0.35%、地方銀行の0.30%、都市銀行の0.26%だった。
メイン企業数の増加率ランキング
メインバンクの取引社数(500社以上)を前年と比較した増加率ランキング。
1位は、3年連続トップのGMOあおぞらネット銀行で、64.3%増の3,217社だった。
2位は、8月に「ドコモSMTBネット銀行」に商号変更をした旧:住信SBIネット銀行(前年比37.7%増)、3位にPayPay銀行(同12.9%増)、4位に楽天銀行(同12.4%増)、5位に福岡銀行(同6.2%増)の順
6位は、前年同順位の滋賀中央信金が高水準を持続。7位に九州ひぜん信金、8位に福岡中央銀行、9位に福岡県信組と九州地区が伸ばし、10位に岡山県の笠岡信組がランクインした。
福岡県は2025年のTSR調査で新設法人率が4位だったほか、県外取引先を増やした可能性もある。
