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【TSRの眼】代表逮捕の環境経営総合研究所、絡みあう資本と融資 ~ 金融機関は矜持の検証を ~

 与信業界を賑わせた粉飾の実態解明は司直に委ねられた。
 素材メーカーとして急成長を取り繕っていた(株)環境経営総合研究所(TSRコード:294046615、東京都、以下ERI)の代表者(当時)が詐欺の疑いで警視庁に逮捕された。

 対外的に年商500億円超を自称していたが、実態は10分の1以下だった。また、倒産前の純資産300億円超としていた財務も大幅な債務超過だった。ERIは、2024年8月に日本政策投資銀行(DBJ)から会社更生法を申し立てられ、9月に開始決定を受けたのち、2025年3月に破産へ移行。2026年5月に手続きが終結している。

 東京商工リサーチ(TSR)が独自入手したERIの取引先明細には、政治フィクサーに繋がる企業の名前も記載されている。
 ERIは、EIF西日本(株)(TSRコード:712192000、岡山県、断熱材製造)を(株)船井興産(TSRコード:571644031、大阪府、資産管理)と概ね案分する形で保有(出資)していた。船井興産は、船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府、家電製造)の関連会社だ。船井電機は一時期、出版業を営む(株)秀和システム(TSRコード:292007680、東京都)の傘下となり、グループを通じて脱毛サロン「ミュゼプラチナム」の運営会社の経営権を取得。船井電機の親会社がミュゼプラチナム側の債務を連帯保証した経緯がある。
 
こうした企業の詳細な説明は避けるが、結末は以下の通りだ。

 ・EIF西日本:2024年8月会社更生(同年9月に破産へ移行)
 ・船井興産:2025年2月破産
 ・船井電機:2024年10月破産
 ・秀和システム:2025年7月破産
 ・MPH(株)(TSRコード:036547190、東京都、ミュゼプラチナムの運営を担っていた1社):2025年8月破産

 上記のほかにも関係会社の法的手続きが進んでいる。
 ERIを巡っては、粉飾が一部で明るみになった2024年春以降、代表者が私的整理を探っているとの情報が伝わっていた。TSRが入手した代表者とDBJの面談記録によると、代表者は同席させた弁護士を「私的整理のプロ」とDBJ側に紹介した上で、「私は引き続き最前線でやっていきたい」と発言している。
 近年急速に環境整備が進む私的整理だが、倒産法に詳しい弁護士によると「法的整理を考える前にまず検討する実務が定着している」という。商取引債権者の保護や事業価値の毀損の最小化などがメリットだが、手続きは非公開のため、その企業で何が起こっていたのかを広く検証できず、経営陣の過去のふるまいをその後の与信に生かすことが難しい面がある。
 また、経営者保証ガイドラインを活用することで、経営者個人が負っている会社債務に対する連帯保証の遡及を軽減できる。
 私的整理や経営者保証ガイドラインの実務運用について、粉飾企業の事案であっても「経営者の私利私欲ではなく、会社のため、従業員のためなら、金融機関などは真摯に検討すべき」との意見もある。応じない場合はレピュテーションとなるケースもあり、金融機関の担当者は対応に苦慮する。
 金融当局が推し進める、担保と保証に依存しない融資慣行に向けた取り組みは、代表者と金融機関のパワーバランスを変化させ、「社長の首に鈴をつけにくくなった」との声もあがる。こうした融資慣行が目指しているのは、適切なリスクテイクによる成長機会の最大化であり、野放図な経営や不当な経営判断の責任回避ではない。企業破たんの現場を見続けると、このシーソーゲームがいびつに展開されている側面もみえる。

 今回、DBJは債権者としてERI代表者の申し出にNOを突き付け、会社更生を申請した。粉飾決算を見抜けず、優先株の引き受けや融資判断の是非は検証が必要だが、ファイナンサーから究極のガバナンスを効かせた決断は一目置くべきだろう。一連のケースでは、ほかにもデットガバナンスの発揮に向けて取り組んだ金融機関もある。
 ERIの事件は関係先への資金の流れを含め、重層的な構造も指摘されている。当局によるメスが入った今、金融界は教訓の素材にすべきだろう。ファイナンサーとして、矜持とすべきものは何か。象徴的な事件こそ、アンタッチャブルにしてはならない。

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