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環境経営総合研究所の「粉飾の手口」

 環境経営総合研究所の代表者が粉飾した決算で融資をだまし取ったとして、逮捕されました。「TSR情報全国版」2025年4月14日号に掲載した記事で、粉飾の手口を振り返ります。

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(株)環境経営総合研究所(TSRコード: 294046615、渋谷区、以下ERI)が3月26日、東京地裁から破産開始決定を受けた。2024年8月20日、日本政策投資銀行(DBJ)から会社更生を申し立てられ、同年9月30日に同開始決定を受けたが、今年2月27日に更生手続き廃止決定を受けていた。
 会社更生は再建型の倒産で、通常であれば法人の存続を志向する。存続できない場合でも、主要事業は何かしらの形で残されるケースがほとんどだ。しかし、ERIはいずれも叶わなかった。
 東京商工リサーチ(TSR)が独自入手した資料や関係者が「実際の売上は100分の1程度」と語る粉飾の実態がみえてきた。


保全管理命令と異常な営業実績

 会社更生申立書によると、ERIが金融機関に提出した売上高は、2021年8月期409億7,983万円、2022年8月期480億2,875万円、2023年8月期519億2,635万円だった。  
 だが、税務申告の売上高は2021年8月期31億316万円、2022年8月期48億287万円、2023年8月期46億9,281万円と10倍以上の乖離があった。
 2024年9月30日に会社更生開始決定を受けた後、裁判所に提出された「月間報告書」には、2024年10月以降の営業業況や関連会社について以下のような文章がある。

 一部取引先からは取引終了の通告を受け、他の取引先からも現金取引又は支払いサイトの短縮を要求されるなどしたが、交渉の結果、主要な取引先とは取引を継続することができ、保全管理命令発令後も事業継続にあたって重大な支障は生じていない。

 報告書には、「千葉、札幌、茨城にある工場の一部は開始決定以前と同程度の受注を維持していたが、稼働を停止した工場もある」とも記載されている。
 税務申告の業績と「月間報告書」などを踏まえると、月商は約3億円になるはずだが、添付の単月業績には異常な数値が並ぶ。
 2024年9月はリースバック取引による決算修正で、売上高15億5,340万円(リースバックを除いた売上高は約4,000万円)だった。だが、同年10月は2,960万円、同年11月は4,259万円、同年12月は3,372万円、2025年1月は2,377万円と桁違いの売上高が記載されている。
 2024年10月から2025年1月にかけて、平均3,000万円程度の売上しかない。そこにERIの実態が透けて見えてくる。
 取引先はERIからどのような説明を受け、保全管理命令後も取引を継続したのか。


ERIの売上高

 ERIの売上高:保全管理命令後

粉飾決算の追及

 関連会社を巻き込んだ粉飾決算の追及も始まった。2024年12月に作成された「会社更生第84条に基づく調査報告書」には、ERIと関連会社間の取引が詳細に記載されている。

要旨は以下の通り。

①2024年9月27日に破産開始決定を受けたEIF西日本(株)(TSRコード:712192000、津山市)は、断熱用材料の製造販売を手掛けていたが、会社を維持できるだけの売上を確保できていなかった。賃借料や借入金、従業員給与といった必要経費もERIからの借入で対応しており、2024年8月時点で、ERIの債権は15億7,049万円だった。

②3月5日に破産開始決定を受けたみちのくエコランドマネジメント(株)(TSRコード:192036831、洋野町)は、有機燃料の製造を目的に設立されたが、岩手県から工場の建設許可が得られなかった。高齢者向弁当宅配事業や電力供給の取次などを手掛けていたが、慢性的な赤字が続いていた。ERIが資金援助していたが、ERIが会社更生開始決定を受けたため、みちのくエコランドマネジメントは事業の移管などを行った。2024年8月時点で、ERIの債権は19億8,169万円だった。

③アメリカの子会社(Eco Bio Plastics Midland Inc.)は粗利すら確保ができない状況が続き、ERIが32億円以上を手当していた。

④韓国の出資会社(Eco Bio Plastics Korea Co., Ltd)には実態に即さない多額の売掛金が計上されており、債権額は49億円近くだった。同社は韓国の裁判所で破産手続きの申し立てを行ったという。


 回収不能、または資産性のない売上債権、棚卸資産、関係会社宛て債権を踏まえると以下の貸借対照表になる。
 いずれも異常な数値が並ぶ。貸付金や前渡金の多くは実態がなく、売上債権に至っては約100分の1だ。

ERI 2024年8月期決算

粉飾の果ての破産

 ERIには法人事業税や法人住民税といった未払いの公租公課が、2025年2月時点で約5,200万円あった。また、従業員給与などの共益債権を含めた金額は約8,500万円に達する。
 稼働を停止した工場もあり、2024年10月から粗利も確保できず、本社経費を含め毎月約3,000万円の赤字が生じていた。工場は数社に事業譲渡の交渉を行ったが、粗利すら確保できない工場の引継先は見つからなかった。
 この状況では手元資金の減少が続き、共益債権を全額弁済できたとしても、清算価値保障原則を充当する更生計画案を作成できないため、2月27日に更生手続廃止が決定した。
 ERIは3月11日、破産に移行する説明会を開き、同26日に破産開始決定を受けた。



 「会社更生第84条に基づく調査報告書」によると、ERIはここ10年、株主総会や取締役会が開催されず、決算書の粉飾も代表者ひとりの独断によるものだった。
 ERIは、経済産業省の「グローバルニッチトップ企業100選」に選ばれ、多くの受賞歴があった。粉飾決算を見逃した金融機関の歴代の担当者はこの技術を理解していたのか。
 「環境」、「脱炭素」、「SDGs」などのワードに目を奪われ、不正を見破る知識や意識、検証能力を問われても仕方ない。
 決算を粉飾し、ガバナンス(企業統治)の欠如したERIは、早晩行き詰まるのは当然だった。「環境」や「脱プラ」など、心地よい言葉を巧みに操り、資金を調達した責任は重い。
 なお、ERIの出資企業に取材を申し込んだが、「コメントは差し控える」と回答があった。

ERIの本社入口(2024年TSR撮影)

ERIの本社入口(2024年TSR撮影)


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年4月14日号掲載「破綻の構図」を再掲)

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