• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

「SNS投稿」約50社に1社が情報漏えいを経験 就業中の個人スマホ使用 7割超が「禁止していない」

~2026年6月「個人スマホによる社内や顧客情報の漏えい」アンケート調査~

 個人スマホによるSNS投稿で、社内や顧客情報等の漏えいが相次いでいる。直近3年で、「漏えいがあった」と回答した企業は2.2%で、約50社に1社が経験していることがわかった。
 これまで情報漏えいは、不正アクセスや紛失などの後、発覚するケースが多い。だが、SNS投稿の情報漏えいは、時間や共有範囲を限定しても、スクリーンショット等で保存・複製され、時間をおいて発覚するケースもある。
 さらに、投稿から長期間・広範囲に拡散され、 いったんSNS投稿で情報が漏えいすると、削除しても回収はほぼ不可能になる。
 こうしたSNS投稿のきっかけとなる個人スマホについて、就業中の使用を全面的または特定の条件下で禁止している企業は23.1%にとどまり、7割超の企業はいつ、どこで、誰が拡散するかわからないリスクを抱えている。

 東京商工リサーチ(TSR)は2026年6月1日~6月8日、個人スマホによる社内や顧客情報の漏えいについて、アンケート調査を実施した。
 就業中、従業員の個人スマホの取り扱いについて、使用を「禁止していない」と回答した企業は76.8%(6,900社中、5,304社)で、7割超の企業が個人の裁量に委ねている。
 一方、「就業中は全面的に使用を禁止している」、または、時間や場所など「特定の条件下で使用を禁止している」と回答した企業のうち、規定が「きちんと守られている」と言い切った企業は33.8%(1,584社中、536社)にとどまった。
 一度刻み込まれたデジタルタトゥーは、信用失墜に直結する。単に社内研修の強化だけで十分な対応策にならないことは、これまで起きた問題が証明している。「情報漏えい」に対する社員のリスク意識と、個人スマホの取り扱いに企業がどこまで関与するか難しい問題になっている。
※本調査は、2026年6月1日~6月8日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答6,942社を集計・分析した。調査は今回が初めて。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。

Q1.SNSを通じた社内や顧客情報などの漏えいが相次いでいます。貴社では、直近3年で漏えいはありましたか?(単一回答)

■「漏えいがあった」は2.2%
 1回以上の社内や顧客情報などの「漏えいがあった」と回答した企業は、2.2%(6,942社中、154社)だった。「漏えいがあった」と回答した企業のうち、「1回あった」と回答した企業は1.4%(100社)、「2回あった」は0.2%(20社)、「3回以上あった」は0.4%(34社)だった。
 規模別では、「漏えいがあった」は大企業1.2%(489社中、6社)、中小企業2.2%(6,453社中、148社)で、中小企業が1.0ポイント高かった。
 一方、「漏えいはない」は97.7%(6,788社)で9割超を占めた。

Q1.SNSを通じた社内や顧客情報などの漏えいが相次いでいます。貴社では、直近3年で漏えいはありましたか?(単一回答)

産業別 農・林・漁・鉱業が「漏えいあった」3.4%で最大

 Q1の回答を産業別で分析した。「漏えいがあった」と回答した割合が大きい産業は、農・林・漁・鉱業で3.4%(58社中、2社)だった。次いで、不動産業3.1%(258社中、8社)、サービス業他2.8%(1,455社中、41社)と続く。
 一方、「漏えいはない」は、運輸業が98.8%(272社中、269社)で最も高く、金融・保険業98.7%(83社中、82社)が続く。

産業別 回答状況

Q2.貴社は就業中、従業員の個人スマートフォン(スマホ)の取り扱いについて、規定を設けていますか?(単一回答)

■「禁止していない」76.8%
 6,900社が回答した。「特に使用は禁止していない」が最も多く、76.8%(5,304社)だった。規模別では、大企業75.4%(369社)、中小企業76.9%(4,935社)で、中小企業が1.5ポイント高かった。
 一方で、全企業で「就業中は全面的に使用を禁止している」と、時間や場所など「特定の条件下で使用を禁止している」を合わせた割合は23.1%(1,596社)だった。
 「特定の条件下で使用を禁止している」のうち、規模別で最も差が開いたのは、「特定の場所では使用を禁止している」だった。大企業8.1%(489社中、40社)、中小企業4.9%(6,411社中、319社)で、大企業が3.2ポイント高かった。

Q2.貴社は就業中、従業員の個人スマートフォン(スマホ)の取り扱いについて、規定を設けていますか?(単一回答)

業種別 「全面的に禁止」飲食店が25.0%

 Q2の回答を業種別で分析した(回答分母10社以上)。「就業中は全面的に使用を禁止している」は、「飲食店」が25.0%(52社中、13社)で最も高かった。次いで「電子部品・デバイス・電子回路製造業」21.5%(65社中、14社)、「飲食料品小売業」20.0%(45社中、9社)、「鉄鋼業」19.5%(41社中、8社)と続く。

「全面的に禁止」業種別(上位)

Q3.全面的/特定の業務中/特定の場所/特定の時間において使用を禁止していると回答された方に伺います。その規定は遵守されていますか?(単一回答)

■「きちんと守られている」33.8%
 1,584社が回答した。「きちんと守られている」と「ある程度守られている」を合わせた「守られている」は、90.5%(1,435社)だった。「守られている」のうち、「ある程度守られている」は56.7%(899社)で、「きちんと守られている」と言い切った企業は、33.8%(536社)にとどまった。
 規模別では、「守られている」は大企業92.3%(118社中、109社)、中小企業90.4%(1,466社中、1,326社)で、大企業が1.9ポイント高かった。
 一方で、全企業で「あまり守られていない」と「全く守られていない」を合わせた「守られていない」は、7.0%(112社)だった。

Q3.全面的/特定の業務中/特定の場所/特定の時間において使用を禁止していると回答された方に伺います。その規定は遵守されていますか?(単一回答)

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

「渋谷区」が倒産最多、2年連続も視野 ~ 倒産企業の半数が業歴10年超、新設法人は伸び鈍化 ~

街の主役は若者から大人へ。再開発で変貌を遂げる「シブヤ」に異変が生じている。 渋谷区に本社を構える企業倒産(1-8月)は、全国の市区郡別で最多の123件に達した。昨年(2025年1-12月)は161件で2007年以来、18年ぶり全国ワーストだった

3

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

4

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

5

  • TSRデータインサイト

「畳製造業」 伝統産業に忍び寄る市場変化と後継問題 売上は3年連続で低迷、業歴100年超の老舗が2割超

9月24日は「畳の日」。全国畳産業振興会が4月29日と9月24日の年2回定めている。日本の住文化の伝統を引き継ぐ畳のすばらしさをアピールすることが目的だが、畳製造業が長期低迷に陥っている。 全国の主な「畳製造業」256社の2025年度の売上高合計は402億7,700万円(前年度比1.3%減)だった

TOPへ