• TSRデータインサイト

α・Z世代から大人まで巻き込み、「ぬい活」業界が好調 ~ 売上高は成長路線に、利益は4年前から倍増 ~

 「ぬい活」の勢いが止まらない。
 ぬいぐるみをカバンやポーチに付けて持ち歩き、パートナーや推しのように愛でる光景は広くみられるようになった。「おもちゃ」という枠を超え、1990年代中盤以降生まれの「α・Z世代」から大人まで活動に勤(いそ)しみ、ぬいぐるみ業界は特需に沸いている。
 東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースからぬいぐるみの販売やサービスなどを主な事業とする34社の業績を抽出した。
 34社の2025年(1-12月)の売上高は849億円で5年前の2021年から1.7倍に伸びた。最終利益は54億円とほぼ2倍だ。
 ぬいぐるみの着せ替え需要やクリーニングなども生まれ、大人を巻き込んだ「ぬい活」人気がマーケットを広げている。



 ぬいぐるみ業界の34社の業績をみると、2021年は売上高が504億円、最終利益は28億円だった。だが、「ぬい活」ブームが始まった2023年の売上高は682億円、最終利益は38億円に伸びた。円安によるコスト増も売上増と価格転嫁で乗り切った。そして、2025年は売上高が849億円、最終利益54億円と好調を持続している。
 ぬいぐるみ業界の特徴は、好調な売上に加え、安定収益を確保していることだ。
 物価高に見舞われても2024年は黒字32社(構成比94.1%)、赤字2社(同5.8%)と、黒字企業が9割を超えた。2025年も黒字30社(同88.2%)、赤字4社(同11.7%)で9割近くが黒字だった。
 ただ、増益企業は2024年19社(構成比55.8%)だったが、2025年は15社(同44.1%)へと減った。
 コスト増の影響は、ぬいぐるみ業界にも押し寄せている。

ぬいぐるみ業界の業績推移

恩恵はクリーニングにも

 「ぬい活」人気の恩恵は、ぬいぐるみメーカーや販売会社だけにとどまらない。34社の中には、ぬいぐるみのクリーニング会社もある。大人を癒し、SNSの映えアイテムである大切な「ぬいぐるみ」をクリーニングし、綿の入れ替え修理をするなど、ぬいぐるみの裾野は広がっている。



 魅力あるキャラクターやアニメの「推し活」が、ぬいぐるみ需要を広げている。
 物価高に揉まれながらも、根強い「ぬい活」「推し活」に支えられ成長を続けている。これが一過性のブームでとどまるか、2026年も目を離せない。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2026年6月10日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

個人破産、13年ぶり高水準 ~ 貸出姿勢の変化と業界を跨いだ悪循環 ~

法人破産より個人破産の動向が心配だ-。 いま、金融機関が個人破産の動向を懸念する。なかでも、物価高や地価上昇で高額の住宅を購入した結果、過剰債務を抱えた複数人世帯の動向が気になるという。

2

  • TSRデータインサイト

「鰻の成瀬」、株式譲渡を巡り対立が表面化~ 仮処分決定と株主間契約 ~

うなぎ料理専門店「鰻の成瀬」のフランチャイズ(FC)やコンサルティングなどを手掛けるフランチャイズビジネスインキュベーション(株)(TSRコード:136729983、滋賀県、以下FBI社)の周辺が騒がしい

3

  • TSRデータインサイト

キーボード「FILCO」のダイヤテック、忸怩たる破産 ~ 為替デリバティブと需要減、綱渡りの資金繰り ~

パソコン用キーボード「FILCO(フィルコ)」で知られあるダイヤテック(株)(TSRコード:292026617、東京都)が負債2億円あまりを抱えて4月30日、破産開始決定を受けた。

4

  • TSRデータインサイト

2026年1-5月の「飲食業」倒産 過去最多の411件 飲食業の苦境浮き彫り、「人件費高騰」が6.6倍に急増

2026年1-5月の「飲食業」倒産は、411件(前年同期比2.2%増)だった。同期間では、1997年以降の30年間で最多だった2024年の408件を超え、最多件数を更新した。

5

  • TSRデータインサイト

2026年5月の「人手不足」倒産 5月最多の37件 「人件費高騰」が2.4倍増、「従業員退職」も増加

2026年5月の「人手不足」倒産は37件(前年同月比60.8%増)で、2カ月ぶりに前年同月を上回った。 5月では2024年の28件を上回り、調査を開始した2013年以降、最多を更新した。

TOPへ