• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

サッカーW杯 日本代表を支える40社 売上1兆円以上8社 設立10年未満も

~ 「日本サッカー協会スポンサー企業」動向調査 ~


 2026年6月11日、米国・カナダ・メキシコの3カ国共催で、史上最大規模のFIFAワールドカップが開幕する。5月15日、日本代表メンバー26名も発表され、関心が集まるなか、スポンサーシップやパートナーシップなど、サッカー日本代表・日本サッカー協会を支援する企業40社を調査した。
 スポンサー企業は、売上高50兆円のトヨタ自動車など、各業界の有力企業が並ぶ一方で、設立10年未満の企業も4社ある。また、洗濯用洗剤「アタック」(花王)など、企業名でなく商品名やブランド名のスポンサー契約もあり、各企業の多様な広告戦略も浮かび上がる。
 上場企業はキリンホールディングスなど16社で、市場区分別では東証プライム上場14社、スタンダード上場2社だった。非上場は24社で、全体の6割(構成比60.0%)を占めた。このうち、アディダスジャパン、サムソナイト・ジャパン、グーグルなど、世界的企業の日本法人も含まれている。
 また、国内最大級のクラウドファンディングサービスのプラットホームを展開するCAMPFIREなど、日本代表チームを支える多様な企業が集まった。

 FIFAワールドカップ注目の試合は世界で10億人以上の視聴が見込まれ、世界にブランドをアピールできる絶好の機会となる。サッカーに限らず、スポーツ放映権料が高騰し、地上波での露出が減少する一方、動画配信サービスが意欲的に放映権獲得に動き、視聴環境は変革期にある。こうしたなか、スポンサー企業は投資対効果(投資利益率・ROI)の見直しを迫られている。
 スポンサー企業にとって圧倒的なメディア露出は、ブランドの認知向上のチャンスと同時に、巨額を投じた経営戦略の一つとして企業の社会的責任(CSR)の実践にもなっている。
 また、スポンサー企業は、社内では従業員のモチベーションやエンゲージメントのアップというインナーブランディングにもつながり、人材確保に有益な投資効果も見込まれる。
※本調査は、公益財団法人日本サッカー協会が開示したスポンサー40社を対象に、東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース(約440万社)から業績が判明した企業36社を分析した。上場企業は、連結業績を採用した。


日本を代表する企業が上位に並ぶ

 サッカー日本代表のスポンサー企業40社のうち、業績が判明した36社を分析した。
 売上高トップは、トヨタ自動車で売上高50兆6,849億円(前期比5.5%増)。次いで、みずほフィナンシャルグループ、 MS&ADインシュアランスグループホールディングスの金融・保険が続く。売上高1兆円以上は8社(構成比22.2%)だった。
 売上高1,000億円以上が19社と半数以上(同52.7%)を占める一方で、10億円未満も5社(同13.8%)あった。スポンサーは、大手から新興企業まで、多様な企業が支えている。

左:売上高ランキング(上位10社) 右:売上高規模別

非上場企業が約6割

 スポンサー企業40社のうち、上場企業は16社あった。市場別では、東証プライム上場が14社(構成比35.0%)、スタンダード上場が2社(同5.0%)。非上場は24社(同60.0%)で、6割を占めた。
 これは2023年に従来のスポンサーシップを刷新し、新設した「SOCIAL VALUE PARTNER」など、柔軟なスポンサー区分があり、非上場・新興企業の参入ハードルを下げたとみられる。

スポンサー企業(市場区分別)

スポンサー開始時期 キリンHDが最古

 契約の開始時期をTSRが独自に調査した。
 最古参は、1978年から日本サッカーをスポンサードしているキリンホールディングス。
 次いで、アディダスジャパン(1999年)、クレディセゾン(2001年)、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(2008年)と続く。
 キリンホールディングスは、1978年に始まった「キリンカップ」(現キリンチャレンジカップ)をはじめ、プロリーグ(Jリーグ)のない時代から支え続けている。
 マーケティング投資より、スポーツ文化育成という社会貢献に寄与している。
 また、2024年以降は、設立間もない新興企業が増えた。知名度や信頼獲得にスポンサー制度を活用する背景も見え隠れする。

スポンサー企業(スポンサー開始時期別)



 スポンサー企業は、「サッカー日本代表を支える企業」としての認知が社会的評価につながるメリットがあり、取引先や消費者への強力なブランドメッセージにもなる。また、大会期間中に限定パッケージ・商品の販売やキャンペーンで、認知度の向上や購買意欲を直接刺激できる。特に、消費者向けの商品を提供する企業は、売上に直結するW杯特需への期待も大きい。
 キリンホールディングスは、1978年からスポンサー支援を開始し、日本サッカー界の成長を支えてきた。スポンサー支援は単なる広告宣伝費だけでなく、社員の一体感向上にも繋がるほか、社会・地域貢献にも寄与する。
 一方で、スポンサー契約は巨額投資でもある。日本代表の成績に左右される面もあるが、近年は広告対効果の厳格化が進み、株主などから投資効果への視線も強まっている。その結果、スポーツスポンサー契約を見直す企業も増えている。こうした観点では、W杯の開幕以降のスポンサー企業の株価、プロモーション効果、業績が注目されるが、消費者やユーザーには試合結果より試合がもたらす感動がスポンサード効果をより高めるだろう。

スポンサー企業一覧

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「モームリ」前社長らに有罪判決、退職代行サービスは転機に

 8月28日、東京地裁は報酬目的で業務を弁護士に紹介した容疑などに問われていた退職代行サービス「モームリ」運営の(株)アルバトロス(TSRコード:694377686、横浜市、以下モームリ)の法人と前社長の谷本慎二被告らに有罪判決を言い渡した。

2

  • TSRデータインサイト

「マッサージ業界」の倒産増加 ~ 1-7月は過去最多、低価格台頭と施術者確保 ~

2026年1-7月の「マッサージ業」(接骨院・鍼灸院を含む)倒産が68件(前年同期比7.9%増)に達し、同期間では過去15年間で最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

失業なき労働力移動の行方 ~窮境状態にある業種と「人手不足倒産」発生率の相関~

経営資源の配分は、各企業がその時々の最適を探っている。赤字法人率が6割を超え(※1)、人手不足に陥る企業も少なくない。今回は4つの経営資源のうち、「ヒト」「カネ」に注目し、業績が窮境状態に置かれ、かつ人手不足にも悩まされる業種に迫った。

4

  • TSRデータインサイト

芸能事務所に異変、倒産が相次ぐ

メディアの多様化で芸能事務所(プロダクション)が転換期を迎えている。2025年(1-12月)は倒産が26件発生し、2014年以降で過去最多だった。2026年も7月までに12件発生し、倒産が相次いでいる。

5

  • TSRデータインサイト

「焼肉店」の倒産が高止まり、「ヤキニクの日」食べる支援も一案

換気能力の高さから、コロナ禍で脚光を浴びた「焼肉店」が淘汰の波に揉まれている。2026年1-8月(20日まで)の「焼肉店」倒産は29件に達した。年間最多(59件)を記録した前年同期の35件に次ぎ、2009年以降、2024年同期と並ぶ2番目の高水準だ。

TOPへ