• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

「経営の逆風時」 金融支援が事業を下支え13.6% 信用保証や伴走支援の在り方次第で、単なる延命も

~ 2026年 「金融支援と事業継続に関するアンケート」調査 ~
 いま、企業への有効な支援策が課題に浮上している。そうしたなか、経営が苦境にある企業への支援策は、新規借入や既存借入のリスケジュール(条件変更)が事業継続に大きな役割を果たすことがわかった。
 一方で、経営改善の見込みがないまま事業を継続している企業も多く、出口戦略を見据えた支援の必要性が改めて浮き彫りになっている。

 東京商工リサーチは、金融支援と事業継続に関するアンケートを実施した。経営の逆風を感じる際に借入やリスケ支援が受けられなかった場合、自主的な廃業や私的・法的手続きを選択していた可能性が高いとの回答は中小企業で13.6%に達した。延命措置との批判もある緩和的な金融支援だが、急激な引き締めは中小企業の退出に直結する可能性を示す一方、制度や政策の変更は、関係先との綿密な調整が必要なことを物語る。
 一方で、逆風下でも事業を継続した企業では、「経営改善の見込みがあった」と回答した中小企業は41.9%と半数を下回った。先行きを見通せない企業への継続的な支援は、「ゾンビ企業」を助長するとの批判も根強い。このため、公的な信用保証による代位弁済への影響や公的な伴走支援プログラムの有効性とも兼ね合わせながら、支援入口での対話の重要性が増している。
※本調査は、2026年3月31日~4月7日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答6,352社を集計・分析した。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。


Q1.直近3年(概ね2023年4月以降)の貴社の経営状況は以下のどれですか?最も近いものをお選びください(択一回答) 
事業拡大、企業規模間で大きな差
 最多は「大きな変化はなかった」の41.05%(6,352社中、2,608社)だった。以下、「事業拡大、または成長投資を検討・実施」の31.8%(2,021社)、「売上減少や資金繰り悪化など、経営の逆風を感じた」の26.4%(1,678社)と続く。
 規模別では、「事業拡大」は大企業で40.2%(447社中、180社)に対し、中小企業は31.1%(5,905社中、1,841社)で、10ポイント近く差が開いた。
 「事業拡大」と回答した企業を業種別(中分類、母数10以上)でみると、トップは「ゴム製品製造業」の66.6%(18社中、12社)だった。一方、「逆風を感じた」のトップは「織物・衣服・身の回り品小売業」の60.0%(15社中、9社)などアパレル関連が上位だった。


Q2.Q1で「経営の逆風を感じる時期だった」と回答された方に伺います。その際、貴社は以下のいずれかの対応をしましたか?(択一回答) 
借入、リスケが過半数
 「逆風を感じた」を選択した企業のうち1,455社から回答を得た。
 「借入、リスケ(返済条件の変更)ともに行わなかった」は44.6%(650社)、借入かリスケ(いずれか、両方)を行った企業は55.3%(805社)だった。
 規模別でみると、「借入とリスケを行った」は大企業では15.8%(82社中、13社)に上るのに対し、中小企業では7.5%(1,373社中、103社)にとどまった。
 借入かリスケ(いずれか、両方)を行った企業の業種(45分類、母数10以上)は、製造業やリースが上位を占めた。どちらも行わなかった業種は、労働者派遣業や自動整備業などが含まれる「他のサービス業」が最も多く、63.7%(69社中、44社)だった。


Q3.Q1で経営の逆風を感じる時期だった」と回答された方に伺います。そのような状況下で事業を継続した理由は何ですか?(複数回答) 
関係先への影響を考慮
 「逆風を感じた」を選択した企業のうち1,559社から回答を得た。
 最多は「取引先や従業員への影響を鑑みて」の46.3%(722社)だった。
 規模別でみると、「経営改善の見込みがあったため」は大企業では62.9%(89社中、56社)だったのに対し、中小企業では41.9%(1,470社中、616社)にとどまった。
 また、「取引先や従業員への影響を鑑みて」は大企業の38.2%(34社)に対し、中小企業は46.8%(688社)に達した。



Q4.Q2で「新規借入を行った」「返済条件の変更(リスケ)を行った」「新規借入とリスケを行った」と回答された方に伺います。新規借入や返済条件の変更が出来なかった場合、当時どのような判断をしていた可能性が高いですか?(択一回答) 
中小企業、市場からの退場も視野
 Q2で、借入かリスケ(いずれか、両方)を行ったと回答した企業のうち728社から回答を得た。
 最も多かったのは、「変わらない規模で事業を継続」の37.9%(276社)だった。ただ、それ以外の62.0%(452社)は事業規模の縮小や撤退、廃業や私的・倒産手続きへ移行する可能性があったようだ。
 規模別でみると、大企業では「不採算事業の撤退や事業再編」の比率が高く、中小企業では廃業や私的・倒産整理を選択した可能性のある企業が合計15%近くに達した。
 廃業や私的・倒産手続きを選択した可能性のある企業の業種(45分類、母数10以上)をみると、最も多いのは「プラスチック製造業」の54.5%(11社中、6社)だった。



Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

一般社団法人日本ショートスリーパー育成協会(東京)が解散

一般社団法人日本ショートスリーパー育成協会(TSRコード: 017886082、法人番号: 6011005006736、渋谷区)は10月26日、官報に同協会の解散を公告した。

2

  • TSRデータインサイト

「社長の住む街」 「赤坂」が14年連続で全国トップ 「港区」は住民の6人に1人、 「福岡市中央区」も人気

全国の「社長の住む街」トップは、14年連続で「港区赤坂」の4,709人だった。前年から113人増えた。2位は「新宿区西新宿」の4,038人で、初めて4,000人を突破した。3位は「港区六本木」の3,638人だった。

3

  • TSRデータインサイト

1-9月「医療機関」倒産 過去最多の59件 身近なクリニック、歯科医院で苦境が鮮明

医療機関の倒産が再び勢いを増している。2026年1月-9月に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は59件(前年同期比28.2%増)と、過去最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

佐川急便の個人情報漏えい、過去最多の5,323万件

佐川急便(株)(TSRコード:641070357、京都市南区)は10月23日、Webサイトの「お荷物問い合わせサービス」への第三者による不正アクセスについて、流出した可能性のある個人情報の件数が最大約5,323万件(重複を含む)に及ぶことを発表した。

5

  • TSRデータインサイト

滋賀銀・池田泉州銀の統合検討 メインバンク取引社数は金融グループ17位に

地銀再編が各地で本格化してきた。TSR「2026年メインバンク」調査で、「滋賀銀行」(滋賀県:メインバンク取引社数1万799社、金融G取引社数順位27位)と、「池田泉州銀行」(大阪市:同9,085社、同37位)を傘下に持つ池田泉州ホールディングスの2行が経営統合を検討していることを発表した。

TOPへ