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【最新決算】 私立大学、半数以上が赤字に転落 売上高トップは順天堂、利益トップは帝京大学

~ 2025年3月期「私立大学経営法人」動向調査 ~


 今年も大学入学共通テストが終了し、本格的な大学受験シーズンを迎えた。
 全国の私立大学を経営する545法人のうち、半数を超える287法人が直近の2025年3月期決算で赤字だったことがわかった。  
 赤字率が最も高い地域は四国の88.9%で、約9割に迫った。また、売上高10億円未満の49法人(構成比8.9%)の赤字率は69.3%と約7割に達した。小規模の大学ほど、運営コストの上昇を吸収できずに採算性が低下しており、地域や事業規模による利益格差がより鮮明になっている。
 また、箱根駅伝に出場した20大学のうち、売上高100億円超は19大学で8割が黒字だった。知名度とともに、経営の安定度が目立った。
 
 少子化などを背景に、入学者の減少が深刻化している。2024年度の入学定員充足率(入学者数÷入学定員)が100%未満の私立大学は、全体の59.2%(日本私立学校振興・共済事業団公表)にのぼり、約6割の私立大学が定員割れを引き起こしている。
 18歳人口の減少が加速する「2026年問題」も浮上するなか、来年度以降に募集停止や閉校を決断する大学も相次いでいる。特に、人口減少が進む地方や小規模の短期大学、女子大では学生確保が困難になり、こうした大学を運営する法人の業績悪化が急速に進んでいる。
 大学全入時代が到来し、大学経営の事業環境は、ますます厳しい状況に置かれることが必至だ。これまで培ってきた歴史や実績、ブランド力だけでなく、研究・教育や就職支援など、多方面の特色と差別化が問われている。私立大学の生き残りには経営力の強化と、淘汰の波に備える現実的な経営センスが求められている。

※ 本調査は、東京商工リサーチの企業データベースから、大学、短期大学を経営する法人の業績を抽出した。
※ 2025年3月期を最新期とし、3期連続で業績が判明した545法人を抽出、分析した。
※ 売上高は事業活動収支計算書内の【教育活動収入計】、利益は【基本金組入前当年度収支差額】を採用。法人ベースの売上高のため、付属高校などの系列校や医療、付随事業などによる収入も含む。


利益は2年連続で前期から3割減少

 私立大学経営の545法人の売上高合計は、6兆8,265億円(前期比1.5%増)と増加した。一方、利益は1,559億円(同29.1%減)で、前期から約3割減少し、「増収減益」となった。
 利益水準は2024年3月期(前期比30.2%減)に続き、2年連続で3割減となり、2年で半減した。
 受験者数や入学定員の増加には限りがあり、収入が伸び悩む一方、物価高や人件費の上昇など運営コストの増加を吸収できず、採算悪化が深刻さを増している。

私立大学の業績 年次推移

売上トップは(学)順天堂、利益トップは(学)帝京大学、医療系の強さ目立つ

 売上高トップは、医療系中心に8学部を設置する順天堂大学を経営する(学)順天堂の2,215億6,100万円で、唯一の2,000億円超え。次いで、学生数最多の(学)日本大学、(学)慶應義塾が続き、4位は西日本で唯一ランクインした(学)近畿大学。5位は全国に系列校を持つ(学)東海大学の順。売上高トップ10の顔ぶれは前年と変わらず、すべて医学部とその附属病院を持つ総合大学、医療収入の多い医科系大学だった。
 利益ランキングは、(学)帝京大学が234億9,600万円でトップ。同グループの(学)帝京平成大学も9位(74億5,600万円)でランクインした。利益上位も医学部や歯学部を持つ医療系が上位に入った。売上高、利益ともにトップ10にランクインしたのは(学)慶応義塾と(学)近畿大学の2法人だった。

上:売上高ランキング 下:利益ランキング

赤字率が初めて5割超え

 最新期の損益別では、黒字が258法人(構成比47.3%)に対し、赤字が287法人(同52.6%)で5割を超えた。赤字法人の比率は、2022年3月期決算では34.2%だったが、前々期41.1%、前期46.0%と上昇を続け、最新期ではついに半数を上回った。
 赤字の287法人のうち、3期以上にわたり赤字が継続しているのは169法人(同58.8%)で、約6割にのぼる。採算割れで厳しい経営に陥った法人が増えている。慢性的な赤字経営から脱却できない法人の中には、私学助成金への依存で経営を維持している可能性がある。
 最新期の決算のうち、売上高100億円以上の130法人の赤字率は22.3%(29法人)だったが、売上高10億円未満の49法人の赤字率は69.3%(34法人)と約7割に達した。小規模法人は単科大学や短期大学が多く、受験料や学費中心の運営が難しい法人と大規模法人との間で事業規模により格差が生じていることがわかった。

私立大学 赤字率推移

赤字率は四国が最大で約9割

 545法人の損益を地域ごとに比較した。
 赤字率が最も高いのは、四国の88.9%で約9割にのぼりダントツ。次いで、東北と北陸が66.7%、中部が63.1%、北海道が60.0%と6割を超えた。
 最低は、関東の43.5%で、関東以外の8地区はすべて赤字率が50%を上回った。
 四国と関東とは45.4ポイントの差が生じており、地域格差が鮮明となった。

私立大学 地区別損益

【箱根駅伝】出場20校中、19校が売上高100億円超

 毎年、正月の風物詩となっている「箱根駅伝」(東京箱根間往復大学駅伝競走)の本選出場校を運営する法人を抽出した。
 2026年大会で3年連続の総合優勝を飾った(学)青山学院は、売上高が386億2,300万円で、売上は41番目にランクインした。売上高が唯一、100億円に届かなかったのは(学)中央学院で、売上高53億3,600万円だった。
 中央学院を除く19法人は、売上高100億円超の大規模校で、売上高1,000億円超は(学)順天堂、(学)日本大学、(学)東海大学など5法人あった。また、利益も20法人のうち、16法人が黒字を計上しており、知名度だけでなく経営の安定度も目立つ。
 箱根駅伝は関東学連の地方大会という枠を超え、いまや全国的に注目を集めるビッグイベントになっている。出場や活躍次第では知名度、ブランド力が飛躍的に向上し、それが全国からの入学希望者数の増加にも直結する。経営戦略のコア・コンピタンスとして位置付け、一層強化に力を入れる大学も出てくるだろう。

2026年 箱根駅伝 本選出場校

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