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働き方の多様化で労働基準法改正の議論加速 ~ 日本成長戦略会議などで労働時間規制の緩和を検討 ~

 労働基準法改正に向けた議論が進んでいる。週48時間から40時間に労働時間が削減された1987年の大幅改正から約40年。働き方は多様化し、関係法制の見直しも迫られている。通常国会への法案提出は見送られたが、高市総理は施政方針演説で「柔軟な働き方の拡大に向けた検討を進める」と表明した。日本成長戦略会議や規制改革会議などで労働時間規制の緩和に向けた検討が加速しそうだ。
 東京商工リサーチは、労基法改正の骨格を探った。


労働者や事業場の概念が大きく変化

 ことし1月、厚生労働省は労基法等の見直しの検討を目的とした「労働基準関係法制研究会」の報告書をまとめた。
 「労働者」の在り方は大きく変わり、法律で守られる労働者性(労働者に該当するかどうか)の判断が分かりにくくなっている。また、働く場所である「事業場」も大きく変容している。テレワークの浸透や仮想空間での業務など、「事業場」をどの概念に位置付けるかも焦点だ。
 長時間労働の是正に向けて、正確な時間外や休日労働の実態の情報開示を企業に求めていく。これで働き方や激しさを増す人材獲得競争の中で、差別化や改善が期待できるとしている。また、家事や育児などの時間と労働時間が混在すると「中抜け」が細切れに発生する。そのため特定の曜日に限定した部分的なフレックス制、テレワーク時のみなし労働時間制なども検討されている。
 さらに、勤務間インターバル制度も議論されている。現在は、「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定」として努力義務が課されているのみだ。研究会では、インターバルは11時間や、それよりも短い時間などを検討している。
 「つながらない権利」も焦点だ。労働時間ではない時間に業務対応を余儀なくされ、私生活と業務の切り分けが曖昧になっているとし、社内ルールを労使で話し合うことを促進するガイドライン策定なども検討する。
 年次有給休暇については、時季指定義務を「現在の5日間から変更すべき必要があると思われない」とした。ただ、計画的・長期間の年次有給休暇などのあり方は、中長期的な検討が必要だとしている。また、有給休暇取得時の賃金の算定方法として、(1)平均賃金、(2)通常の賃金、(3)標準報酬月額の30分の1の3パターンがあるが、日給制や月給制で減額されないよう「通常の賃金」にまとめる方向で議論されている。
 副業・兼業の広がりから、労働時間の通算は維持しつつ、割増賃金の支払いは通算しないよう、賃金上と健康確保のための労働時間管理は分けられるべきと指摘している。



 コロナ禍で働き方が大きく変わり、労働基準法改正の議論も加速している。働く人の健康と会社の目標をどこまで整合性をつけるか、日本成長戦略会議の方針が注目される。



(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2026年3月12日号掲載「取材の周辺」を再編集)

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