「調剤薬局」の倒産が止まらない、過去最多の38件 大手は統合再編へ、小規模店は倒産が加速
~ 2025年「調剤薬局」倒産動向 ~
2025年に倒産した「調剤薬局」は、38件(前年比35.7%増)と大幅に増加し、過去最多を更新した。これまで最多だった前年の28件をさらに10件上回り、2年連続で過去最多を更新した。
負債総額は44億8,400万円(同68.3%減)で、前年から約7割減少した。これは、負債10億円以上が1件(前年3件)にとどまる一方で、負債1億円未満の小規模倒産が29件(前年比81.2%増)と大幅に増加、全体の8割近く(76.3%)を占めたため。
調剤薬局業界は、大手を中心に再編の動きが活発化している。2025年8月に(株)アインホールディングスが、同業の「さくら薬局」の経営会社を買収した。また、群雄割拠が続くドラッグストアチェーンも、付加価値の高い調剤併設店舗の比率を高めている。スケールメリットと資金力で優位に立つ大手、独立系の小規模企業との格差が拡大し、経営維持が難しい中小調剤薬局の破綻が顕在化している。
調剤薬局の再編やM&Aが相次ぐ背景には、深刻な薬剤師不足もある。大手が率先して賃金引上げなどの待遇改善に着手し、薬剤師の囲い込みが進んでいる。一方で、そのしわ寄せは中小の調剤薬局を直撃し、調剤薬局を取り巻く事業環境は大きな転換点を迎えつつある。
2026年度の調剤報酬改定は、いわゆる「門前薬局」のあり方や地域偏在の解消が大きなテーマとなり、今後は小規模の調剤薬局の乱立が抑制される可能性もある。
大手が再編で攻勢を強めるなか、独立系の小規模調剤薬局はマーケットが狭まり、淘汰の波が押し寄せてきた。過当競争の中で、地理的、歴史的な好条件に依存していた企業ほどビジネスモデルの変化は避けて通れなくなってきた。
※本調査は、 2025年1-12月の負債1千万円以上の倒産集計から、日本産業分類「調剤薬局」を抽出し、集計、分析した。

原因別:「販売不振」が最多の25件(前年比127.2%増、構成比65.7%)で、前年(11件)の2倍以上に増加。次いで、他社倒産の余波が7件発生した。
資本金別:「1百万円以上5百万円未満」が21件(前年比40.0%増、構成比55.2%)で最多。以下、「1百万円未満」と「個人企業他」が各5件、「5百万円以上1千万円未満」が4件の順。
負債額別:「1千万円以上5千万円未満」が20件(前年比81.8%増、構成比52.6%)で、以下、「5千万円以上1億円未満」が9件、「1億円以上5億円未満」が8件。
形態別:「破産」が33件(前年比94.1%増、構成比86.8%)で約9割を占めて最多。以下、「会社更生法」が3件、「民事再生法」と「特別清算」が各1件発生した。