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2026年の展望=2025年を振り返って(13)

 2025年の企業倒産は緩やかな増勢が続き、2年連続で1万件超が確実となった。26年も一進一退を繰り返しながら増勢が見込まれる。注目するポイントは次の4点だ。

 1点目は、「地政学リスク」による先行き不透明感だ。特にトランプ関税の行方と日中関係の悪化は日本企業を直撃する。トランプ関税の影響は自動車メーカーやアメリカへの直接輸出がある企業を直撃しているが、2026年はこうした企業からの発注単価の引き下げなど、中小企業へ影響が広がる可能性がある。また、日中関係では、訪日観光客の減少や日本製品・サービスへの不買が懸念要素だ。

 2点目は、サイバー攻撃だ。ビールメーカーやネット通販の大手企業などが被害を受け、取引先にも影響が広がった。中小企業が攻撃で受注に対応できなくなれば、取引打ち切りのケースも想定される。サイバー攻撃は、そのまま経営リスクに直結する時代に突入している。

 3点目は、物価高と為替相場だ。高市早苗氏が自民党総裁に就任した10月21日(17時)の為替は1ドル=151円16銭だったが、1カ月後の11月20日には一時、1ドル=157円78銭まで円安が進んだ。その後はわずかながら円高に振れたが、円安の流れは2026年も続く可能性がある。このため、物価高が長引き、資金力がぜい弱な中小・零細企業に大きな負担になるだけでなく、個人消費の停滞につながりかねず、物価高倒産は高止まりも予想される。

 4点目は、金利動向だ。2025年1月に日本銀行は政策金利を0.50%に引き上げた。現政権では積極財政を掲げているが、日銀がさらに引き上げるとの観測は根強い。現実となった場合、連動して金融機関の貸出金利は上昇し、過剰債務を抱えた企業の資金繰りへ影響を与える。また、住宅ローン金利引き上げは個人にも影響する。国債など債券価格は下落し、含み損により金融再編が再燃することも想定される。

 外部環境は激変している。融資や債務整理の手法多様化だけでは国内企業の活性化は叶わない。事業規模の拡大や地域・産業を跨いだ再編などが2026年の焦点の1つになりそうだ。

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