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事業再生を取り巻く環境の変化=2025年を振り返って(11)

 2025年は事業再生に新たな一歩を踏み出す1年になった。ことし4月、東京地裁で簡易・迅速な会社更生手続きを目的とした「小規模会社更生」の運用が始まった。また、昨年5月に「企業価値担保権」、ことし6月に「早期事業再生法」が成立し、どちらも2026年中に施行される。

 小規模会社更生は、民事再生と同程度のスケジュールで、迅速な手続きを進められる。対象は負債総額50億円未満の株式会社で、特徴は公租公課の扱いにある。私的整理や民事再生では、公租公課は一般優先債権として弁済禁止の対象外だが、小規模会社更生は公租公課や担保権も更生計画で権利変更の対象になる。小規模会社更生は公租公課の支払いが困難になっている中堅、中小企業の事業再生では、画期的な選択肢になるかも知れない。
 また、企業価値担保権(2026年5月施行予定)は、企業の将来性や顧客基盤、ブランドなどの無形資産を含む事業全体を担保とし、従来の不動産担保や経営者保証に依存しない新たな融資手法だ。有形資産は乏しいが、事業の将来性のあるスタートアップなどが融資を受けやすくなる。事業承継の現場では、不採算部門の整理などで有形資産が減少した場合でも、残る事業の価値を担保にすると資金調達の可能性が広がる。
 ただ、企業価値の評価は従来の不動産などと異なり、客観的な評価基準が確立していない。担保価値を正しく評価する金融機関の目利き力が重要だが、実体はそうした能力の育成は発展途上だ。再生実務家のなかには「全事業担保」と呼称する風潮もある。あらゆるものが融資の見返りになるためだが、再生実務で浸透している(プレを含む)DIPファイナンスは既存の融資慣行のなかで押さえられていなかった資産にも着目して融資する。このため、再生ファイナンスの在り方に影響を与える可能性もある。

 早期事業再生法(2026年12月施行予定)は、債権者の多数決と裁判所の認可を条件として、金融機関等が保有している貸付債権等について権利変更ができる制度だ。既存の準則型私的整理は、全対象債権者の同意が必要だったが、議決権の総額の4分の3以上の同意で権利変更が可能となる。対象債権者が多数にのぼる場合、海外債権者が存在する場合など、全行同意が確証を持って進められないケースで使われることが想定される。裁判所も関与するが、非訟事件で非公開の手続きだ。再建型倒産の利用が減少するなか、多数決による権利変更などの柔軟な仕組みは大きなメリットだ。だが、取引先は窮状を薄々でも知っている。それをあえて取引先に公開しないことは、レピュテーションリスクを起こす可能性もある。
 事業再生の手法が多様化し、再生が困難だった企業にも門戸が開かれようとしている。小規模会社更生の事例の積み上げや、企業価値担保権、早期事業再生法の実行フェーズの滑り出しが注目される。

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