• TSRデータインサイト

婦人服販売の倒産が増加、11月で前年超える 消費者の実店舗離れ加速、コスト増が経営を圧迫

~ 2025年1-11月の婦人服販売業 倒産動向 ~


 2025年1-11月の婦人服卸・小売業(以下、婦人服販売)の倒産は、128件(前年同期比18.5%増)と増勢に転じている。
 これまでコロナ禍のゼロゼロ融資などの資金繰り支援で、2021年同期93件、2022年同期92件と100件を下回り、落ち着いて推移していた。だが、支援効果が薄れ、インバウンド需要が届かない小・零細規模の婦人服販売の息切れが緩やかな増勢につながっている。
 2025年の128件は、すでに前年の通年件数(115件)を上回り、2020年(159件)以来、5年ぶりに150件台に乗せる可能性が出てきた。過去最高のインバウンド需要は大手アパレルへの恩恵にとどまり、ネット通販など販売チャネルの多様化で、小・零細規模の婦人服販売は厳しい環境に入っている。

 婦人服販売の倒産は、資本金別で1千万円未満が81件(構成比63.2%)、従業員別で5人未満が95件(同74.2%)と、小・零細規模が半数以上を占める。形態別では、破産が114件(同89.0%)を占め、再建を諦めた倒産が大半だ。
 小・零細規模の婦人服販売店は、円安や原材料費の高騰で仕入コストが上昇する一方、価格転嫁が容易ではない。また、人件費の上昇も収益を圧迫している。
 消費者の意識の変化も、微妙に影響を及ぼしている。「SNSでトレンドを把握し、ECサイトの利用が増え、店舗購入は減った」という女性消費者の声は少なくない。実店舗離れの加速で卸売業者も苦戦している。販売チャネルの多様化で、婦人服業界の倒産は増勢が続く見込みだ。
※本調査は、2025年1-11月の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、日本産業分類の「婦人服・子供服卸売業」「婦人服小売業」を集計、分析した。



原因別:最多が「販売不振」の97件(前年同期比3.1%増、構成比75.7%)。次いで、「既往のシワ寄せ」16件(前年同期比166.6%増)、「他社倒産の余波」8件(同100.0%増)と続く。

形態別:最多が「破産」の114件(前年同期比14.0%増、構成比89.0%)。再建型の民事再生法は1件(前年同期ゼロ)にとどまった。

資本金別:「1百万円以上5百万円未満」が最多の51件(前年同期比34.2%増、構成比39.8%)だった。以下、「1千万円以上5千万円未満」44件(前年同期比25.7%増)、「個人企業他」15件(同25.0%増)の順。1千万円未満は81件(同19.1%増)で、6割を超えた(構成比63.2%)。

負債額別:「1千万円以上5千万円未満」が65件(前年同期比25.0%増、構成比50.7%)で半数を占めた。このほか、「5千万円以上1億円未満」が29件(前年同期比38.0%増)、「1億円以上5億円未満」が26件(同18.7%減)。1億円未満が7割超(構成比73.4%)を占めた。ただ、「5億円以上10億円未満」が6件(前年同期比100%増)、「10億円以上」が2件(前年同期ゼロ)発生し、中堅以上での倒産も増加している。

「婦人服販売業」の倒産 件数推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハウスメーカーの倒産、26年上半期9割増の衝撃 ~ 踏み切れない抜本再生、施主の権利保護も重要 ~

コスト高や人手不足などでハウスメーカー(木造建築工事業)の倒産が急増している。2026年上半期(1-6月)は118件発生し、前年同期から約9割増えた。

2

  • TSRデータインサイト

倒産と無縁の税理士業界に異変、2026年上半期は4件発生 粉飾は詐欺罪も、コンプラ違反と健康問題がリスクに

過去、税理士事務所の倒産は半年で、概ね1~2件にとどまっていた。景気状況に相関せず、倒産と無縁の税理士業界だったが、2026年上半期(1-6月)はすでに4件発生した。

3

  • TSRデータインサイト

エブリライブの元従業員、「突然の解雇」に困惑

6月初旬から連絡が取りにくくなっているライブ配信のエブリライブ(株)(東京都港区)が、同時期に大半の従業員を解雇していたことがわかった。  解雇を通知の際、エブリライブ側は従業員に「破産予定のため」と説明したという。解雇された元従業員が東京商工リサーチの取材に応じた。

4

  • TSRデータインサイト

2026年上半期「医療機関」倒産 増勢続く 上半期で2番目の38件、「後継者難」は最多

医療機関の倒産が止まらない。2026年上半期(1-6月)に倒産した病院・クリニック(診療所)・歯科医院などの「医療機関」は、38件(前年同期比15.1%増)と大幅に増加した。上半期では、2006年以降の20年間で、2024年と2025年の33件を上回り、2009年の39件に次ぐ2番目の高水準となった。

5

  • TSRデータインサイト

愛媛県のいよぎんHDと愛媛銀が経営統合へ  メインバンク取引社数 金融Gでは国内21位に

愛媛県内にある企業のメインバンクシェア57.5%(県内メインバンク取引社数1万966社)の伊予銀行を傘下に持ついよぎんホールディングスと、県内2位で18.5%(同3,542社)の愛媛銀行が、7月24日開催の取締役会で経営統合を付議することを発表した。

TOPへ