• TSRデータインサイト

11月の 「円安」倒産 41カ月連続で発生 件数3件、4カ月ぶりに前年同月を下回る

~ 2025年11月 「円安」関連倒産(11月30日現在)~


  2025年11月の「円安」倒産は、1月、3月、7月と並ぶことし最少の3件(前年同月比66.6%減)だった。2022年7月から41カ月連続で発生したが、4カ月ぶりに前年同月を下回った。
 2025年1-11月累計は59件(前年同期比22.3%減)で、2025年は5年ぶりに前年を下回る見込み。
 負債総額は5億1,000万円(前年同月比85.4%減)で、5カ月連続で前年同月を下回った。件数減少に加え、負債10億円以上の発生がなく(前年同月2件)負債を押し下げた。
 高市首相が就任した10月21日のドル円レートは、1ドル=151円16銭だったが、11月20日は一時、1ドル=157円78銭と円安が進んだ。その後、戻しているが、1ドル=155円~156円で推移している。
 円安は、輸入コスト上昇につながり、資金力が乏しい中小企業の資金繰りや収益の悪化に拍車を掛けている。このため、しばらく円安倒産は一進一退で推移するとみられる。

 11月の「円安」倒産は、製造業、小売業、運輸業の各1件だった。円安で物価安定の好材料は乏しく、価格転嫁が難しい小・零細企業の息切れ倒産を招いている。

円安関連倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ