2025年度上半期の「負債1,000万円未満」倒産269件 3年ぶりに減少、不動産業・情報通信業・建設業は急増
2025年度上半期(4-9月)「負債1,000万円未満」倒産状況
2025年度上半期(4-9月)の負債1,000万円未満の倒産は、件数が269件(前年同期比7.8%減、前年同期292件)だった。コロナ禍での資金繰り支援が終了・縮小するとともに、年度上半期では2022年(195件)を底に増勢に転じたが、2025年は3年ぶりに前年を下回った。
物価や人件費、金利などの上昇が続くなかで資金負担は増している。また、過剰債務で新たな資金調達も難しい企業も少なくはなく、再び増勢に転じる可能性もある。
産業別は、10産業のうち、建設業、不動産業、情報通信業の3産業で増加した。増加率が最大の不動産業(前年同期比83.3%増)では、不動産代理業・仲介業が6件(前年同期1件)と急増した。
地区別は、関東が143件(前年同期比16.2%増)で唯一、前年同期を上回った。都心部では人材の獲得競争が激化し、人件費の高騰も深刻だ。中小企業を中心に、人手を確保できず売上を伸ばせないケースや、人材の確保や流出防止のための賃上げが収益を圧迫するケースが増加している。
10月からは最低賃金が全国平均1,121円に引き上げられ、2026年3月31日までにすべての都道府県で初めて最低賃金が1,000円を超える。2025年の最低賃金全国平均の上昇率は6.2%増で、5年連続の上昇だ。
物価が高騰するなかで、最低賃金の急速な上昇に収益が追いつかず、市場からの撤退を余儀なくされるケースも増えるだろう。価格転嫁が進み、小・零細企業が適正価格で受注できるように、行政などの支援が必要となっている。
※本調査は、2025年度上半期(4-9月)に全国で発生した企業倒産(法的、私的)のうち、企業倒産集計(負債1,000万円以上)に含まれない負債1,000万円未満の倒産を集計、分析した。