• TSRデータインサイト

2024年度「円安」倒産84件、前年の1.4倍増 最多は卸売業、金融・保険業を除く9産業で発生

2024年度 「円安」関連倒産(3月31日現在)


 2024年度の「円安」関連倒産は84件(前年比47.3%増)で、前年の1.4倍に急増した。2024年度は、 前年度はなかった10件以上の月が5月12件、7月16件、2月12件と、増勢ペースで推移した。
 負債総額は1,046億700万円(同47.9%減)で、ほぼ半減した。負債100億円以上の大型倒産が、前年度はFCNT(株)と関連2社の3件発生したが、2024年度は丸住製紙(株)(負債590億円)の1件のみで、前年度の反動が大きかった。
 3月11日に一時、1ドル=146円55銭まで円高が進んだが、その後は円安に戻し、1ドル=150円を挟んだ推移になっている。このため、円安水準に伴う物価高の解消はしばらく見込めない状況が続くとみられる。

 「円安」関連倒産は、2022年7月から33カ月連続で発生している。2024年度は、最多が卸売業の37件(前年比42.3%増)で、以下、小売業16件(同23.0%増)、製造業13件(同18.1%増)の順。10産業のうち、金融・保険業を除く9産業で円安に起因した倒産が発生している。
 円安は、仕入コストの上昇で収益や資金繰りに影響を及ぼすと同時に、販売先への納入価格が上昇し、販売面での苦戦を強いられやすい。このため、販売価格に上昇分の転嫁が難しい中小企業を中心に、「円安」関連倒産はしばらく高水準で推移する可能性が高い。

円安関連倒産月次推移

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ゴールデンウィーク明け、「退職代行サービス」の利用は慎重に

長かったゴールデンウィークが終わる。職場「復帰」を前に例年4月の新年度からGW明けにかけ、退職する人の話題が持ち上がる。この時期の退職代行サービスの利用も増加するという。4月に実施した「退職代行に関する企業向けアンケート調査」から利用するリスクの一端が浮き彫りになった

2

  • TSRデータインサイト

トーシンホールディングスの「信用調査報告書」

5月8日に東京地裁に会社更生法の適用を申請した(株)トーシンホールディングス(TSRコード:400797887、名古屋市、東証スタンダード)を取り上げる。

3

  • TSRデータインサイト

2025年度「医療・福祉事業」倒産、過去最多 ~ 健康と生活を支援する事業者の倒産急増 ~

生活に不可欠な医療機関や介護事業者の倒産が急増している。バブル経済1988年度(4-3月)以降の38年間で、2025年度は金融危機、リーマン・ショックを超える478件と最多を記録した。

4

  • TSRデータインサイト

2026年4月「人手不足」倒産 33件発生 春闘の季節で唯一、「人件費高騰」が増加

2026年4月の「人手不足」倒産は33件(前年同月比8.3%減)で、3カ月ぶりに前年同月を下回った。 4月の減少は2022年以来、4年ぶり。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の「早期・希望退職」 は2万781人 約7割が「黒字リストラ」、2009年度以降で4番目の高水準

2025年度に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は46社(前年度51社)で、人数は2万781人と前年度(8,326人)の約2.5倍に急増したことがわかった。社数は前年度から約1割(9.8%減)減少したが、募集人数は2009年度以降で4番目の高水準となった。

TOPへ