• TSRデータインサイト

2025年1-2月の「税金(社会保険料含む)滞納」倒産 25件 負債総額は10億円以上の大型倒産の発生で2.2倍に拡大

2025年1-2月の「税金滞納」倒産


 2025年2月の「税金(社会保険料を含む)滞納」倒産は15件(前年同月比11.7%減)で、7カ月ぶりに前年同月を下回った。1-2月累計は25件(前年同期比7.4%減)で、過去10年間で最多の2024年の27件に次ぎ、税金滞納による企業倒産は依然として高水準で推移している。

 負債総額は160億1,800万円(同123.9%増)で、前年同期の2.2倍と大幅に膨らんだ。これは医療法人3件を含む負債10億円以上が4件(前年同期ゼロ)発生したため。
 コロナ禍を経て、企業の業績回復は二極化が拡大している。業績不振の企業は、社会保険料の引き上げや納税が資金繰りを圧迫し、滞納に至るケースも増えている。行政と金融機関は、企業の事業性と納付意思を確認し、徴収可能な納付方法への支援も必要だろう。

 産業別では、学習塾(3件)、一般病院(2件)などのサービス業他が9件(前年同期比50.0%増)で最も多い。労働集約型で、従業員が多いほど社会保険料の滞納額が嵩む傾向になる。
 また、物価高や賃上げの機運が高まり人件費も上昇するなか、過剰債務を抱えて新たな資金調達が難しい企業は資金繰りが窮屈になり、運転資金の確保で納税を後回しにすることもある。

 滞納は事業継続の大きなリスクになる。健全な納税に向けた収益力向上のため、生産性向上や経営合理化への自助努力と環境作りへの支援が求められる。
※本調査は、2025年1-2月に全国で発生した企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「税金滞納」関連を集計・分析した。

「税金滞納」倒産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

制御機器メーカーのIDEC(株)が早期退職募集を実施=国内従業員の300人が退職

制御機器メーカーのIDEC(株)(TSRコード:570011370、大阪府、東証プライム)がセカンドキャリア支援制度を実施し、今年6月までに国内従業員の約300人が退職していたことが東京商工リサーチの取材でわかった。

2

  • TSRデータインサイト

上場企業の「早期・希望退職」募集 1-8月で1万人超え 募集の大型化で前年同期比1.4倍増、前年1年間を上回る 

今年1月から8月31日までに判明した上場企業の「早期・希望退職」募集の対象人数が、1万人を超えた。募集の大型化が目立ち、3年ぶりに1万人を超えた2024年の年間募集人数1万9人をすでに上回った。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

4

  • TSRデータインサイト

分配金遅延の「みんなで大家さん」、出資者が返金求め訴訟提起へ

不動産投資商品「みんなで大家さん」の出資者への分配金が遅延している問題で、投資商品を扱う企業に対して5名の出資者が1億円の返還を求め、東京地裁に訴訟を提起する。出資者側の代理人事務所は、リンク総合法律事務所。

5

  • TSRデータインサイト

銀行員の年収、過去最高の653万3,000円 3メガ超えるトップはあおぞら銀行の906万円

国内銀行63行の2024年度の平均年間給与(以下、年収)は、653万3,000円(中央値639万1,000円)で、過去最高となった。前年度の633万1,000円(同627万5,000円)から、20万2,000円(3.1%増)増え、増加額は3年連続で最高を更新した。

TOPへ