• TSRデータインサイト

2025年2月「負債1,000万円未満」倒産52件 7カ月ぶり50件台 年度累計は4年ぶり500件超

2025年2月「負債1,000万円未満」倒産状況


 2025年2月の負債1,000万円未満の倒産は52件(前年同月比62.5%増)で、4カ月ぶりに前年同月を上回った。50件を上回るのは、2024年7月以来、7カ月ぶり。また、2024年度は4月-2月の11カ月累計が503件(前年同期比10.5%増)に達し、4年ぶりに年度500件を上回った。
 金融機関の支援が、資金支援から再生支援に軸足を移すなかで、資金余力が乏しい小・零細企業の厳しさを示している。

 産業別では、最多がサービス業他の21件(前年同月比110.0%増)で、全体の40.3%を占めた。以下、建設業10件(同400.0%増)、小売業6件(同40.0%減)の順。
 原因別は、最多は「販売不振」の33件(前年同月比57.1%増)で、全体の63.4%を占めた。
 物価高による原材料費の上昇に加え、人件費上昇も避けられない状況下であらゆるコスト上昇が収益を圧迫し、資金繰りに余裕を欠く小・零細企業は多い。

 東京商工リサーチ(TSR)が2月に発表した「物価高・価格転嫁に関するアンケート」調査で、中小企業の21.3%がコスト上昇分をまったく「価格転嫁できていない」と回答した。また、転嫁割合が上昇分の「1割」にとどまる企業が28.1%に及び、「価格転嫁できていない」と合わせて半数近くの企業で価格転嫁がほとんど進んでいない実態が浮き彫りになった。
 連合は中小企業で6%の賃上げ目標を掲げるが、適正な価格転嫁が進まなければ絵に描いた餅になりかねない。小・零細企業が単独でコスト上昇を吸収できる収益力を備えなければ、今後も小規模倒産の増勢が続く可能性は高い。
※本調査は、2025年2月に全国で発生した企業倒産(法的、私的)のうち、企業倒産集計(負債1,000万円以上)に含まれない負債1,000万円未満の倒産を集計、分析した。


負債1,000万円未満の倒産 件数推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-5月の「早期・希望退職」募集人数は8,711人で前年2倍に急増、相次ぐ大型募集

 2025年1月-5月15日までに「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は19社(前年同期27社)で、前年同期より約3割(29.6%減)減少した。しかし、大手メーカーの大型募集が相次ぎ、対象人員は、8,711人(前年同期4,654人)と前年同期の約2倍(87.1%増)に急増した。

2

  • TSRデータインサイト

脱毛サロン・ミュゼプラチナム、新体制と「未消化役務」 ~ 運営会社MPH・高橋英樹社長 単独インタビュー ~

従業員給与の遅延、経営混乱などで動向が注目されるMPHの高橋英樹社長と関係者に、東京商工リサーチ(TSR)は単独取材をした(取材日は5月1日)。

3

  • TSRデータインサイト

脱毛サロン「ミュゼプラチナム」、債権者が破産申し立てへ

脱毛サロン「ミュゼプラチナム」を運営するMPH(株)(登記上:大田区)に対して、債権者が破産を申し立てる準備に入っていることが5月15日、わかった。 

4

  • TSRデータインサイト

全店休業のミュゼプラチナム、「新生ミュゼ」構想が判明 ~ 運営会社MPH・三原孔明氏インタビュー ~

運営会社や株主がたびたび変更されるなか、脱毛サロン・ミュゼプラチナムに注目が集まっている。ミュゼプラチナムは現在、MPH(株)(TSRコード:036547190、東京都港区)が運営している。だが、

5

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

TOPへ