• TSRデータインサイト

2024年11月の「後継者難」倒産34件 1‐11月累計は430件、年間で最多の前年に並ぶ

2024年1-11月の「後継者難」倒産


 代表者の高齢化が問題になるなか、後継者不在が一因の倒産が増勢をたどっている。11月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は34件(前年同月比12.8%減)で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。
 しかし、1-11月累計は430件(前年同期比8.0%増)に達し、通年で最多の2023年(430件)に並び、最多更新が確実になった。

  「後継者難」倒産のうち、最多は代表者「死亡」の239件(前年同期比29.8%増、構成比55.5%)で、半数を超えた。代表者の高齢化が年々進むだけに、事業承継の準備や後継者育成の遅れは事業の継続に大きな影を落としかねない。

 産業別は、最多は建設業の99件(前年同期比5.3%増)。もともと職人不足が顕在化しているなか、後継者不足も深刻さを増している。
 資本金別は、1千万円未満が260件で6割(構成比60.4%)を超えた。
 負債額別は、1億円未満が288件(前年同期比2.3%減)と、6割以上(構成比66.9%)を占めた。ただ、「1億円以上5億円未満」が124件(前年同期比39.3%増)、「10億円以上」が7件(同133.3%増)、「5億円以上10億円未満」が11件(前年同期同数)と、中堅規模以上で増加が鮮明になっている。

 コロナ禍から人手不足に伴う人件費の上昇や物価高など、コスト上昇が企業収益を圧迫している。そうしたなか、企業は事業承継への対応も迫られているが、業績回復が遅れた企業ほど事業承継の準備や後継者育成まで手が回っていない。事業承継は待ったなしの状態にきており、金融機関などの事業再生に向けた支援だけでなく、M&Aや廃業支援も急務になっている。

※本調査は「人手不足」関連倒産(後継者難・求人難・従業員退職・人件費高騰)から、2024年(1-11月)の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)を抽出し、分析した。


「後継者難」倒産推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ