• TSRデータインサイト

上半期(1‐6月)の「円安関連」倒産 31件 コロナ禍から最多更新、物価押し上げを懸念

2024年上半期(1-6月) 「円安」関連倒産(6月28日現在)


 6月28日、東京外国為替市場で一時、1ドル=161円台に下落した。37年半ぶりの円安ドル高で、7月に入っても1ドル=160円台で推移し、歴史的な円安水準が続いている。
 2024年上半期(1‐6月)の「円安」関連倒産は、31件(前年同期比14.8%増)に達した。今回の円安局面では、2022年7月から24カ月連続で発生し、コロナ禍からの円安が企業収益に重しになっている。

 負債総額は110億1,500万円(同94.2%減)で、前年同期に発生した携帯電話販売のFCNTほか2社で合計1,775億円の大型倒産の反動減となったが、一方で中小・零細企業への深刻な影響を示している。

 2024年上半期の「円安」関連倒産は、産業別は卸売業が14件(前年同期13件)で、半数近く(構成比45.1%)を占めた。次いで、小売業9件(前年同期3件)、製造業4件(同6件)が続く。

 東京商工リサーチ(TSR)が6月に実施したアンケート調査で、2024年にメイン商品・サービスの値上げ意向を示す企業が74.8%と7割を超えた。コロナ禍から平時に戻るなか、売上低迷から抜け出せない企業ほど新たな資金調達が難しい。円安に伴う仕入コストの上昇に見舞われると、価格転嫁も容易ではないだけに経営難に陥りやすく、倒産を押し上げる要因が揃い始めている。


上:円安関連倒産推移 下:円安関連倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-5月の「早期・希望退職」募集人数は8,711人で前年2倍に急増、相次ぐ大型募集

 2025年1月-5月15日までに「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は19社(前年同期27社)で、前年同期より約3割(29.6%減)減少した。しかし、大手メーカーの大型募集が相次ぎ、対象人員は、8,711人(前年同期4,654人)と前年同期の約2倍(87.1%増)に急増した。

2

  • TSRデータインサイト

脱毛サロン・ミュゼプラチナム、新体制と「未消化役務」 ~ 運営会社MPH・高橋英樹社長 単独インタビュー ~

従業員給与の遅延、経営混乱などで動向が注目されるMPHの高橋英樹社長と関係者に、東京商工リサーチ(TSR)は単独取材をした(取材日は5月1日)。

3

  • TSRデータインサイト

脱毛サロン「ミュゼプラチナム」、債権者が破産申し立てへ

脱毛サロン「ミュゼプラチナム」を運営するMPH(株)(登記上:大田区)に対して、債権者が破産を申し立てる準備に入っていることが5月15日、わかった。 

4

  • TSRデータインサイト

全店休業のミュゼプラチナム、「新生ミュゼ」構想が判明 ~ 運営会社MPH・三原孔明氏インタビュー ~

運営会社や株主がたびたび変更されるなか、脱毛サロン・ミュゼプラチナムに注目が集まっている。ミュゼプラチナムは現在、MPH(株)(TSRコード:036547190、東京都港区)が運営している。だが、

5

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

TOPへ