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「令和6年能登半島地震」関連破たん状況

全国で4件、過去の震災と比べ被害が表面化しにくく


 1月1日、石川県能登地方で震度7の地震発生から4カ月が経過した。これまでに判明した「能登半島地震」の影響による破たん(倒産1件、破たん3件)は、全国で4件だった。県別では、石川県3件、富山県1件。

 地震の影響による破たん件数は、東日本大震災(2011年3月)、熊本地震(2016年4月)と比べても少ない。これまでの大規模地震による関連破たんは、発生から2~4カ月後から目立ち始めた。今回の「能登半島地震」では、東日本大震災時の不渡報告への掲載猶予や裁判所の債権者からの破産申立への開始決定の猶予など、過去の震災で破たん抑制に効果のあった対応策がとられたことも寄与しているとみられる。さらに、コロナ禍で劇的な効果をみせた「ゼロゼロ融資」などの支援策で企業の手元流動性が高い状態にあることも寄与したようだ。

 「能登半島地震」は、震源地が企業の少ないエリアだったことから、過去の地震と比べて急激に破たんが増える可能性は低いだろう。ただ、漁業や農業、小売関係では、今後、破たんや廃業という形で顕在化する可能性が残る。また、業種的にも倒産の数字だけでは深刻な被害実態が見え難い構図になっている。
 地域の振興のためにも、資金支援にとどまらず、将来の展望を描きながら高いモチベーションを維持できる包括的な支援策の実行が急がれる。

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