2024年1‐2月 上場企業の「早期・希望退職者」募集 大型化で昨年1年間を超える3,613人
2024年1-2月上場企業「早期・希望退職者」実施状況
2024年1-2月に「早期・希望退職者」を募集した上場企業は、14社(前年同期9社)に達し、前年同期を5社上回った。対象人数は3,613人(前年同期595人)と前年同期の6倍に急増し、2023年(3,161人)の年間実績を452人上回った。
募集人数は、1,000人以上が2社(構成比14.2%)、500~999人以上が1社(同7.1%)と大型募集があり、この3社で全体の約9割を占めた。大手企業で構造改革が本格化するなか、現状ペースで推移すると2021年(1万5,892人)以来、3年ぶりに1万人を超える可能性も出てきた。
2024年1-2月の「早期・希望退職者」の募集は、対象人数が判明した14社で3,613人(前年同期595人、判明9社)で前年同期の約6倍に急増した。2024年は2カ月で昨年1年間の3,161人(判明41社)を452人上回った。
募集を開始した企業の直近本決算(単体)では、黒字が9社(構成比64.2%)と6割を超えた。上場区分では、最多は東証プライムが9社(同64.2%)だった。業種別は、これまでコロナ禍で打撃を受けた業種が中心だったが、コロナ禍の影響を引きずるアパレル関連は1社にとどまり、幅広い業種に分散した。深刻な人手不足のなか、業績回復の目立つ大手企業で「早期・希望退職者」が増えており、大手企業が本格的な構造改革に乗り出した可能性が出てきた。
経済産業省は、リスキリングなどのキャリアアップ支援事業でキャリア相談や転職支援を後押しするが、大手の構造改革への取り組み次第で「早期・希望退職者」募集はさらに増えそうだ。
※ 本調査は、希望・早期退職者募集の具体的な内容を確認できた上場企業を対象に抽出した。
※ 『会社情報に関する適時開示資料』(2024年2月29日公表分まで)と東京商工リサーチ調査に基づく。
業種別 情報通信、電気機器、食料品が最多
2024年に「早期・希望退職者」募集が判明した上場14社の業種別は、最多が情報通信(前年同期ゼロ)、電気機器(同2社)、食料品(同ゼロ)の各2社だった。
最多の3業種のうち、情報通信、食料品の2業種が前年同期は募集がなかった。これはコロナの深刻な影響を引きずった前年同期と異なる傾向をみせている。
損益別 14社中9社が黒字企業
2024年1-2月に「早期・希望退職者」の募集が判明した上場14社(単体)の募集開始の直近通期損益は、黒字が9社、赤字が5社で、全体の64.2%が黒字だった。
黒字企業9社のうち、7社が東証プライム上場だった。
一方、赤字の5社では東証プライムは2社にとどまった。赤字企業は、東証スタンダード1社、東証グロース2社と、比較的規模が小さな企業に集中した。業種別では、機械、その他製品、サービス、医薬品、食料品が各1社。
募集人数 100人以上は5社、1,000人以上は2社
募集人数(募集時点の人数が非開示の場合、応募人数を適用)では、最多は1~29人の3社(構成比21.4%)。次いで、30~99人、100~299人、1,000人以上が各2社(同14.2%)、500~999人が1社(同7.1%)と続く。
1,000人以上は、資生堂(募集人数1,500人)とオムロン(同1,000人)の2社だった。500~999人は、セブン&アイ・ホールディングスの1社だった。