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2023年1-11月の「早期・希望退職者募集」は36社  全体では小康状態も、「情報通信」が初の最多

2023年(1-11月)上場企業「早期・希望退職者」実施状況


 2023年1-11月に「早期・希望退職者」を募集した上場企業は、36社(前年同期35社)だった。前年同期を1社上回り、募集開始時点直近の決算で黒字企業が19社(構成比52.7%)と半数以上を占めた。
 業種別では、情報通信が10社(構成比27.7%)と前年同期から7社(前年同期比233.3%増)増え、2000年に統計を開始以来、初めて最多となった。一方、対象人数は2,905人(同48.6%減)と、半減した。
 コロナ禍で打撃を受けた観光や運送(交通インフラ含む)の募集はなく、外食も1社にとどまり、一服感が出た。社数では、情報通信やアパレル関連、医薬品が目立つが、コロナ禍の影響を引きずるアパレル関連以外はアフター・コロナのフェーズに突入している。

 2023年1—11月の「早期・希望退職者」は、対象人数が25社(判明分)で2,905人(前年同期5,657人、判明分25社)と前年同期から半減(48.6%減)した。これは前年1社あった1,000人以上の大型募集がなかったことに加え、100~299人の募集は7社(前年同期8社)と1社下回り、小規模の募集が多かったため。
 上場区分では、プライム市場が19社(前年同期19社)と半数を占め、中堅クラス以上の組織活性化への動きを反映している。
 2023年は新型コロナの5類移行で、3年ぶりにコロナ禍の行動制限がなく、アパレル関連を除き、コロナ禍が直撃した業種は落ち着いて推移した。ただ、2022年末から海外の大手テック企業を中心に人員削減が相次ぎ、国内では情報通信や医薬品などで次代を見据えた人員削減が増えた。

※ 本調査は、希望・早期退職者募集の実施を情報開示し、具体的な内容を確認できた上場企業を対象に抽出した。
実施が翌年以降の企業は除く。原則、『会社情報に関する適時開示資料』(2023年11月30日公表分まで)に基づく。


業種別 「情報通信」が初の最多

 2023年1-11月に「早期・希望退職者」募集が判明した上場36社では、業種別の最多は情報通信の10社(前年同期3社)だった。情報通信が募集企業の最多になるのは初めて。
 次いで、アパレル関連(同3社)と医薬品(同3社)が各5社だった。
 コロナ禍で2021年に募集が相次いだ航空・鉄道を含む運送は3年ぶりに募集がゼロだった。
 一方で、コロナ禍前に散発した医薬品や金属、紙・パルプなどの製造業で募集が目立った。
 サービスでは、インターネットサイト運営や、ソーシャルゲーム開発の2社が募集した。


主な上場企業(年次推移)希望・早期退職者募集状況

業種別

損益別 黒字と赤字が拮抗

 2023年1-11月に早期・希望退職者の募集が判明した上場36社の募集開始時点直近の通期損益は、黒字19社、赤字17社と拮抗した。黒字企業は、19社のうち、14社がプライム上場で、比較的規模の大きい企業に集中した。黒字企業は増益8社、減益11社で、増益8社のうち、7社はプライム上場だった。
 一方、赤字17社のうち、プライム上場は6社で、約3割(構成比35.2%)にとどまった。赤字企業は、スタンダード上場7社、グロース上場3社、地方上場1社と、比較的規模が小さな企業に集中した。
 赤字の業種は、情報通信(5社)、アパレル関連(3社)などが目立った。

損益別

募集人数 100人以上は9社、1,000人以上はゼロ

 募集人数(募集時点の人数が非開示の場合、応募人数を適用)では、最多は100~299人の7社(構成比19.4%)。次いで、30~49人6社(同16.6%)、1~29人と50~99人の各5社(同13.8%)と続く。300人以上は、中外製薬(応募人数374人)と大正製薬ホールディングス(同645人)の2社だった。
 若干名の3社を含め、募集人数100人未満の企業が19社(構成比52.7%)と半数を超えた。事業所やセグメントを限定した募集、規模の小さい上場企業の募集が集中したことも影響した。

募集人数



 2023年1-11月に上場企業の「早期・希望退職者」の募集は、36社(前年同期35社)で前年同期を1社上回った。業種別では、情報通信が10社と全体の4分の1以上を占めた。情報通信が業種別の最多になるのは、統計を開始以来、23年間で初めて。募集を行った情報通信の企業は、募集開始時点直近の通期決算は全て赤字か減益だった。
 コロナ禍で募集が相次いだ観光、百貨店を運営する鉄道や外食は、インバウンド需要の急回復や国内旅行の再開に加え、人流回復で客足が戻ってきた。一方で、企業活動がアフターコロナのフェーズに入った今、今度は外食や宿泊などで人手不足が深刻さを増している。業況回復に時間を要する企業やコロナ禍から需要の反動減を迎えた企業を中心に、今後、小・中堅規模の上場企業で募集が増える可能性も出てきた。

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