• TSRデータインサイト

民事再生のガイア、申請直前に株主変更

 10月30日に民事再生法の適用を申請したパチンコ店経営の(株)ガイア(TSR企業コード:320363295、東京都中央区)。関係筋への取材や東京商工リサーチが独自入手した民事再生申立書などで、申請直前の緊迫した動きが判明した。

 資金繰り難に陥ったガイアは社会保険料の納付猶予を受けていたが、10月6日に猶予を取り消され、13日に日本年金機構から滞納処分として店舗売上金の回収業務を委託する警備会社に対する送金請求権等が差押えられた。信用不安はすでに金融機関や業界内に広まっていたため、新たな資金調達や支払いの繰り延べなどを得ることが難しく、資金繰りはさらに厳しくなった。こうした事態を受けて、ガイアのオーナー一族は手付金の入手を目的に店舗を安値で売却するようになった。17日には想定価格の50%程度で有力店舗を売却し、その手付金で社会保険料などを払った。ただ、10月31日が期日の手形決済は非常に厳しい状況が続いた。
 廉価での店舗売却は事業価値の毀損を伴う。このため、ガイアグループの株式の担保提供を受けていた金融機関が10月30日、担保を実行した。さらにオーナー一族以外のガイアグループの主要役職員に株式を譲渡し、新株主が役員を入れ替えた。その上で新経営陣がスポンサー候補に支援を依頼し、民事再生を申請した。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2023年11月2日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)


人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【解説】秀和システムの法的整理、異変察知は「船井電機より前」

(株)秀和システム(TSRコード:292007680、東京都)への問い合せは、船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の破産の前後から急増した。ところが、あるベテラン審査マンは「ERIが弾けた時からマークしていた」と耳打ちする。

2

  • TSRデータインサイト

2025年3月期決算(6月27日時点) 上場企業「役員報酬1億円以上開示企業」調査

2025年3月期決算の上場企業の多くで株主総会が開催された。6月27日までに2025年3月期の有価証券報告書を2,130社が提出した。このうち、役員報酬1億円以上の開示は343社、開示人数は859人で、前年の社数(336社)および人数(818人)を超え、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

1-6月の「訪問介護」倒産 2年連続で最多 ヘルパー不足と報酬改定で苦境が鮮明に

参議院選挙の争点の一つでもある介護業界の倒産が加速している。2025年上半期(1-6月)の「訪問介護」の倒産が45件(前年同期比12.5%増)に達し、2年連続で過去最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

船井電機の債権者集会、異例の会社側「出席者ゼロ」、原田義昭氏は入場拒否

破産手続き中の船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の第1回債権者集会が7月2日、東京地裁で開かれた。商業登記上の代表取締役である原田義昭氏は地裁に姿を見せたものの出席が認めらなかった。会社側から債務者席への着座がない異例の事態で14時から始まった。

5

  • TSRデータインサイト

1-6月の「人手不足」倒産 上半期最多の172件 賃上げの波に乗れず、「従業員退職」が3割増

中小企業で人手不足の深刻な影響が広がっている。2025年上半期(1-6月)の「人手不足」が一因の倒産は、上半期で最多の172件(前年同月比17.8%増)に達した。

TOPへ