• TSRデータインサイト

7月の「円安」関連倒産 4件 13カ月連続で円安関連倒産が発生

~ 【7月速報】 「為替」関連倒産(7月31日現在) ~


 2023年7月の「円安」関連倒産は、4件(前年同月1件)だった。2022年7月から13カ月連続で発生し、円安の影響が広がっている。2023年の累計は31件に達し、すでに前年1年間の24件を上回っている。

 2023年7月の「円安」関連倒産は、製造業2件、卸売業と建設業が各1件だった。円安で原材料価格が上昇し、仕入コストや製造コストのアップ、燃料費の負担増などで資金繰りに行き詰まるケースが増えている。
 為替相場は7月3日に一時1ドル=144円85銭まで円が下落したが、同月14日は1ドル=137円27銭と140円を挟んだ動きで、依然として円安局面に変わりはない。

 原材料や資材のほか、水道や電気など光熱費も上昇している。経営体力がぜい弱な中小・零細企業ほど価格転嫁が難しく、コロナ禍からの業績回復が遅れてコストを吸収できない企業は多い。また、価格転嫁できても売上(受注)減少や粗利益低下を招くケースもあり、企業の資金繰りに円安が幅広く影響している。さらに、円安による価格上昇は、消費者行動にも影響を及ぼしている。食品や生活品全般の値上げで消費者の購買意欲が停滞すると、企業業績の悪化を招きかねない。このため、引き続き円安による物価高が倒産を押し上げる可能性を残している。


円安関連倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ