• TSRデータインサイト

FCNT向け一部債権、民事再生後の納品分も「再生債権」

 5月30日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した携帯電話ベンダーのFCNT(株)(TSR企業コード:027062554)と、製造部門のジャパン・イーエム・ソリューションズ(株)(TSR企業コード:027062619)など3社は、相次いで債権者説明会を開催した。
 説明内容のうち、「債権の扱い」が一部で波紋を広げている。

 出席した債権者や配布資料によると、5月29日以前の原因に基づいて生じたものは再生債権として再生手続きの中で弁済され、30日以降の分は原則として共益債権として全額支払う方針が示された。
 一方で、「FCNT向け携帯端末の製造・修理事業に関する取引に基づく債権は、5月30日から再生手続き開始決定前日までの間に発生した場合でも再生債権とする」旨の説明もなされた。

 携帯端末の製造・修理から撤退することがすでに公表されているが、同事業向けの部材などに関しては、納入しても共益債権としては扱われないことを意味する。取引先にとっては厳しい内容だ。また、開始決定後は、同事業に関する契約は順次解除する方針も示された。

 3月27日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請した(株)JOLED(TSR企業コード:300600798)も、JOLEDが認めた以外の商品納入やサービスは申請後に発生した分であっても基本的に再生債権として取り扱う意向を示し、取引先に衝撃を与えた。
 民事再生法による事業再生では、申請後の商取引債権は、全額弁済されるケースが一般的だ。申請後の「再生債権化」が一般的になると、納入業者の製造・在庫管理にも影響を与えかねない。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2023年6月6日号掲載「SPOT情報」を再編集)


人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「マレリグループ」国内取引先調査 ~国内の取引先2,942社、影響懸念~

経営不振が続いたマレリグループの持株会社マレリホールディングス(株)(TSRコード:022746064、さいたま市北区)が6月11日(日本時間)、米国でチャプター11を申請した。東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースからマレリグループの取引先数(重複除く)は国内2,942社あることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

2025年1-5月の「労働者派遣業」倒産53件 人材派遣が人手不足で年間最多ペースの可能性

深刻な人手不足が続くなか、 「労働者派遣業」の倒産がハイペースをたどっている。2025年5月の「労働者派遣業」倒産は、3月に並び今年最多の15件(前年同月比400.0%増)発生した。

3

  • TSRデータインサイト

「日産ショック」とマレリ、部品サプライチェーンの再編含み

マレリホールディングス(株)(TSRコード:022746064)と主要子会社は6月11日(日本時間)、チャプター11(連邦破産法第11条)を申請した。東京商工リサーチのデータベースによると、マレリグループの国内取引先は全国2,942社に及ぶ。

4

  • TSRデータインサイト

事前調整に明け暮れたマレリHDが再度破たん ~支援プレイヤーの場外乱闘の果て~

マレリHDを巡っては、準則型私的整理の一種である事業再生ADRでの再建を目指したが、海外金融機関の反対でとん挫し、前年の産業競争力強化法の改正で規定された民事再生の一部手続きを省略する簡易再生へ移行した。

5

  • TSRデータインサイト

(株)ピーエスフードサービス 保育園への食材納品がストップ=納入業者の資金繰り悪化で

保育園などに食材を販売している(株)ピーエスフードサービス(TSRコード:352395583、さいたま市見沼区)は納品が困難になっていることを自社ホームページで公表した。

TOPへ