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ミシンのジャノメ、時代の変化で訪問販売からの撤退へ

 家庭用ミシン大手の(株)ジャノメ(TSR企業コード:290076897、東証プライム)は9月30日、ミシンの訪問販売からの撤退と全国68直営支店の閉店を決定したと発表した。ミシン販売などでクレジット決済が普及した事や販売チャネルが広がり、従来の訪問販売のビジネルモデルが機能しなくなったと判断した。関係する部門の従業員約300人は2023年3月末に退職する予定。

1921年、日本初の国産ミシンメーカーとして創業。2021年10月の創業100周年を機に「蛇の目ミシン工業」から社名を変更した。ジャノメによると、当時高額だった家庭用ミシンの普及を目指すため、月掛予約や月賦販売を創案。最盛期には訪問販売の直営支店は541店に達していた。

しかし、クレジット決済が普及し、従来の割賦販売などが時代に合わなくなっていた。また、ミシンの価格低下や販売チャネルの増加など、事業環境も大きく変わり、直営支店による訪問販売の効率化が課題になっていた。

これに伴い、店舗不動産の減損や特別退職金など約16億円を事業再編損として特別損失を計上するほか、原材料高騰や販売価格への転嫁遅れなどで通期の業績予想を下方修正した。2023年3月期の連結業績予想は、売上高410億円(前回予想420億円)、当期純利益6億円(同26億円)を見込んでいる。

ジャノメの担当者によると、訪問販売事業の撤退や全直営支店の閉店に伴い、約300人の従業員が2023年3月末に退職する。外部の再就職支援などのサポートを行う予定という。

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