• TSRデータインサイト

登記情報提供サービス、代表者住所の表示を継続へ 省令変更に「反対」多く

 法務省は、インターネットの「登記情報提供サービス」で会社代表者の住所を一律で非表示とする省令案を転換した。これまで通り表示する。代表者住所を非表示とする省令案は2022年2月に公示され、9月1日に施行される予定だった。だが、パブリックコメントで反対意見が多く、一転して方針を転換した。

省令案では、法務局で取得する法人登記には代表自宅が記載されるものの、「登記情報提供サービス」で登記情報を取得した場合、代表者の住所が非表示になる予定だった。個人情報の保護を目的としていたが、「現在の法律実務等に与える影響が大きい」や「詐欺的な人物等が関与する企業との取引を排除するために必要」、「政府が唱えるDX等と反対の施策であり、紙ベースの情報に依存することになる」など、パブリックコメントで反対意見が噴出していた。施行直前の省令案が変更されるのは異例だ。なお、ドメスティック・バイオレンス(DV)被害者などの住所非表示は予定通り9月1日から開始される。

法務省の担当者は、東京商工リサーチの取材に対し、「住所非表示は、反対意見が多く省令の改正を延期した。引き続き検討していく」とコメントした。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2022年8月23日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

破産の聘珍樓に予約 約1,000組、前払い客も ~ 横浜中華街の御三家の一角、破産の影響広がる ~

横浜中華街の御三家として知られる老舗の中華料理店である(株)聘珍樓(TSRコード: 017658390、横浜市)と関連2社が5月21日、破産開始決定を受けた。

2

  • TSRデータインサイト

警備業界は大手2社の寡占化が進む 人手不足で倒産・休廃業が過去最多

全国の主な警備会社828社の2024年の業績は、売上高が1兆9,180億円(前年比2.6%増)、最終利益は1,604億円(同15.6%増)と、堅調に推移している。 業界市場は拡大しているが、大手の寡占化が進み、中小・零細事業者は人手不足でコストが上昇し、経営環境は厳しさを増している。

3

  • TSRデータインサイト

ミュゼプラチナム、第三者破産に「積極的な対抗せず」 ~ 運営会社MPH・高橋英樹社長 単独インタビュー ~

大手脱毛サロン「ミュゼプラチナム」を運営するMPH(株)の動向が注目されている。MPHのほか2社でフランチャイズ展開を進めているが、今回の第三者破産を当事者はどう受け止めているのか。 東京商工リサーチは、MPHの高橋英樹社長と関係者に単独取材した(取材日は5月21日)。

4

  • TSRデータインサイト

2025年1-5月の「早期・希望退職」募集人数は8,711人で前年2倍に急増、相次ぐ大型募集

 2025年1月-5月15日までに「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は19社(前年同期27社)で、前年同期より約3割(29.6%減)減少した。しかし、大手メーカーの大型募集が相次ぎ、対象人員は、8,711人(前年同期4,654人)と前年同期の約2倍(87.1%増)に急増した。

5

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

TOPへ