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登記情報提供サービス、代表者住所の表示を継続へ 省令変更に「反対」多く

 法務省は、インターネットの「登記情報提供サービス」で会社代表者の住所を一律で非表示とする省令案を転換した。これまで通り表示する。代表者住所を非表示とする省令案は2022年2月に公示され、9月1日に施行される予定だった。だが、パブリックコメントで反対意見が多く、一転して方針を転換した。

省令案では、法務局で取得する法人登記には代表自宅が記載されるものの、「登記情報提供サービス」で登記情報を取得した場合、代表者の住所が非表示になる予定だった。個人情報の保護を目的としていたが、「現在の法律実務等に与える影響が大きい」や「詐欺的な人物等が関与する企業との取引を排除するために必要」、「政府が唱えるDX等と反対の施策であり、紙ベースの情報に依存することになる」など、パブリックコメントで反対意見が噴出していた。施行直前の省令案が変更されるのは異例だ。なお、ドメスティック・バイオレンス(DV)被害者などの住所非表示は予定通り9月1日から開始される。

法務省の担当者は、東京商工リサーチの取材に対し、「住所非表示は、反対意見が多く省令の改正を延期した。引き続き検討していく」とコメントした。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2022年8月23日号掲載予定「SPOT情報」を再編集)

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